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113 おいちゃんはスーパーヒーロー

エンシェントスライムってどんな力があるんだろう?魔法使えるのかな?
あれぇ?そういえば

「にぇーにぇー おいちゃん」
『ん?なんだサーヤ?』
「おいちゃんみょ、もーもーさんちゃちみょ まほーちゅかえりゅにょ?」
サーヤも魔力あるから練習したら使えるでしょ?おいちゃんもかな?

『おう!俺は使えるぞ!牛たちは分からんけどな。天界ってとこでちょっと神様たちに見てもらったらな、ほら!今までの経験値とか言うのか?あれがあるお陰で、結構すごいらしいんだよ』
そっかー。やっぱり使えるんだね!しかも、わはは!って笑いながら、自分で結構すごいって、言っちゃってます。それにしても?

「けーけん?」
なんの?日本で魔法使ってないよね?

『おう!俺の職業だよ!農業は土と緑相手だろ?作ったもんで料理も研究するだろ?それから家畜相手だから、獣医みたいな真似事もすれば、飼料や肥料の研究や調合もする。しかも力仕事だから体も鍛えてたし、農具や機械なんか自分で作ったり治してたりしてただろ?害獣駆除もやってたしな』

「あい。おいちゃん、にゃんでみょ できりゅ しゅーぱーひーりょー」
おいちゃんはスーパーヒーローです!一人でなんでも解決しちゃいます!すごいおいちゃんです!

『スーパーヒーロー?それは言いすぎたぜ!わははは!でなぁ、それが全部経験値になってるらしくてな?スキル?とか言ったか?とにかく全部、魔法とやらと繋がったらしいんだよ』
「ほえ~」
そうなんだぁ。なんかすごそ~。

〖バート、それ以外にもありそうなんだけど?〗
呆れたようにジーニ様が聞く。

『はい。この方、本当に多趣味と申しますか、研究肌と言いますか、知識量が凄いのです。お酒の作り方や、薬草の栽培方法や使い方、医学書までお読みになり、果ては炭作りから鍛治までこなしておられたようで…天界におられた全ての神に気に入られて、今では魔神様以外全ての神々から加護を受けてらして…』
バートさんも、はぁ~。ってため息つきながら説明してくれます。

うんうん。おいちゃんは色々作ってて、よくおすそ分けしてくれました。おいちゃんの作ったお味噌とか、お醤油とかも美味しかったよ!甘酒とか~じゅるり。

〖全てって、武神や工芸神も?〗
あの脳筋に偏屈までなんで?ってジーニ様がものすごく驚いてます。なんか、武神様たち酷い言われようだね?

『ええ、その通りです。何を隠そう、そちらの食器や、先にお渡ししたサーヤのおもちゃなどを作られたのはその方ですよ』
バートさんがテーブルの上の食器を見て言うと
〖え?〗
これ?と手にしたカップを見るジーニ様と、その他一堂(サーヤは除く)

『あ~下手の横好きってヤツだよ。土いじりしてると落ち着くんだよ』
「さーにゃみょ、おしゃりゃ、ちゅくっちゃ!」
『そうだな!おばあちゃんも焼き物好きだったもんな。時々一緒に作ったよな』
「あい!まちゃやりちゃい!」
『そうかそうか!じゃあ、サーヤにも粘土探しと窯作り手伝ってもらおうかな』
「あい!いーよ!」
わ~い♪がんばるよ~♪何作ろうかな?

〖いやいや、下手の横好き?そんなレベルじゃないでしょ〗
『そうよねぇ、美しいわぁ~これぇ』
ジーニ様も精霊樹の精様も目の高さにカップとソーサーを持ち上げてしげしげと見てます。ジーニ様たち大人のカップは、綺麗なお花の絵の書いてある白いティーカップです。ティーポットとかもお揃いです。
〖この繊細な美しい茶器をあの厳つい手でどうやって〗
ジーニ様、おいちゃんを見て食器を見て信じられないって言ってます。
『こんな上から見たらお花みたいな形の器とかぁ、しかもこんな薄いのよぉ』
精霊樹の精様は、お茶菓子が乗ったお皿を恐る恐る撫でてます。

『そう思われますよね?それはそれは見事な技術と手際でこれらを作られまして、しかもあのように謙遜なさるのですよ。ついには、あの工芸神様が教えを請いまして、今、夢中でご自分の工房に篭っておいでですよ』
〖へ、へえ…〗
『そうなのぉ』
みんなどうしたのかな?お顔ヒクヒクしてるね?

『そして武術に関しては…』

「おいちゃん、たちゅじん!」
すごいんだよ!
バートさんがおいちゃんの武術について説明しようとすると、サーヤが我慢できなかったのか、嬉しそうに話に割って入って来ました。

〖た、達人?〗
ジーニ様、お顔がまたまたヒクヒク。

「あい!さーにゃちょ、おばーちゃん、ちゃべようちょちちゃ、わりゅい、くましゃん、ごちん!て、たおちた!」
命の恩人です!おりゃあ!ってかっこよかったんだよ!その日の山菜の天ぷらはお預けになって悲しかったけど、その代わり、おいちゃんが熊鍋ご馳走してくれました!

〖は?〗
もうジーニ様、目が点です。

『サーヤたちが熊に食べられそうになってたのも問題だけどぉ』
『ご、ごちん?』
精霊樹の精様も信じられないってお顔で、アルコン様はまさかな?っていいながら殴るまねをします。

「あい!ごちん!」
アルコン様合ってるよ!おりゃーって眉間ってところに一発です!サーヤはグーでパンチのまねをします。
おいちゃんすごいでしょ?エッヘン!

『ん?サーヤ覚えてるのか?それ、怖い思い出だろ?』
おいちゃんの言葉に、みんながハッとしてサーヤを見ると

「んにゅ?いみゃ、おみょいだちちゃ」
怖かったけど、おいちゃんすごかったよ!
『…そうか。それだけ俺がかっこよかったってことだな!』
「あい!かっちょいい!しゅーぱーひーりょー!おりゃーっ」
サーヤはごちんってパンチの真似です。実際はへろへろパンチです。
『そうかそうか!かっこよかったか!わははは』

おいちゃんも上手く話を合わせたお陰か、サーヤに特に変わった様子はなさそうだ。みんなそっと息を吐いた。

『ジーニ様…』
〖後よ、後にしましょう〗
小声で会話しているギン様たち。サーヤに気づかれない内に話題を戻す。

〖ねぇ?何か特別な武術でも習っていたの?〗
異世界とはいえ、凶暴な熊を素手で一撃って…

『愚問ですよ。この方、何者ですか…体術だけではありません。全てこちらの世界には無い型ですが剣術に弓まで。エルフが自慢の弓で負かされて泣いてましたよ。武神様など笑いながらこの方と打ち合いをして、闘技場を半壊させて騎士たちに怒られてましたからね。挙句、武神様と鍛冶神様がこの方専用の武器と防具を作ると張り切ってしまって…』はぁ~っ。
バートさん、なんかお疲れ?大丈夫?

〖闘技場って、|あの戦闘バカ《武神》が壊さないように私がかなり厳重に魔法をかけたはずなんだけど…〗
あれぇ?ジーニ様がなんだかズーンって落ち込んでる?どうしたのかな?

『ん~、日本古武道ってな、まあ、色んな流派があるんだが、少しな』
〖少しって…〗
少し位じゃ私の魔法は破壊できないはずなのにってジーニ様がブツブツ…あれ?泣いてる?
『魔神様、お気持ちお察し致します』
バートさんが、目頭押さえてます。

「にぇーにぇー、さーにゃみょ、できりゅ?」
『やりたいのか?』
「あい!」
えいやって投げたり~、ばびゅんって弓やったり~、出来たらすごいよね?

とんでもないことを言い出したサーヤに、みんながギョッとするが、おいちゃんはみんなにウインクしながら、
『まあ、準備体操からな。何事も基本からだ!』
「あい。わかっちゃ~」
軽~く、できることに目を向けさせた。さすが!!
おいちゃんはサーヤの扱いについても達人のようです。

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