バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

106 水まんじゅう?

ギン様が妖精さんたちから受けとったものを見て困惑しています。
亀じぃも覗き込んだまま黙り込んでしまいました。
サーヤとハクは頑張って何かを持ってきてくれた妖精さんたちを救出しています。
樹の洞の出口でバタンっと倒れ込んだ四人、ぐったりと上半身で木の洞に引っかかっています。

「ようしぇいしゃん、ちっかり~」
『大丈夫~?』
サーヤとハクが動かない妖精さんたちを心配して声をかけると
『『『『やっぱりダメ~きゅぅ~ぅ』』』』ぐでんと
大丈夫と言ってた妖精さんたち、やっぱり疲れきって倒れちゃいました。さっきの大丈夫は強がりだったみたいです。

「ふわわっちゃいへんっ」
『しっかり~』
サーヤは「よいちょよいちょ」っと、洞から妖精さんをせっせと引っ張り出しては、ハクの頭に乗せています。サーヤは妖精さんたちを寝かせてあげてるつもりみたいです。見た目的にはどのみちぐったりしているので、あまり代わり映えはしません。でも、むしろもふもふのハクにうつ伏せのまま乗せられているので、妖精さんたち息ができているのか…

サーヤは四人とも引っ張り出すと、ひと仕事終わったとばかりに「ふい~」とおでこの汗を拭っています。

『妖精さんたち大丈夫~?』
「おちゅかりぇちゃみぁ~」なでなで
『『『『うぐぐ…』』』』

サーヤがお疲れ様~と、よしよししているが、せめてうつ伏せはやめてあげた方が……

ハクが気がついて、
『サーヤ~、せめて背中に仰向けにしてあげた方がいいんじゃない~?』
と、サーヤに言うと
「しょっか~ごめしゃい。よいちょよいちょ」
と妖精さんたちをひょいひょい裏返しにしていきます。そして、裏返した妖精さんたちをずるずると頭の上から背中に滑らせてます。
『うう…』
妖精さん、小さく呻いてます。
『サーヤ~。もうちょっと優しくしてあげた方が~』
うめき声が聞こえたハクが、ハラハラしながらサーヤにアドバイス
「あい。よいちょよいちょ」
『『『『ふう~…』』』』
サーヤ、丁寧にしてあげてね…

息ができるようになったけど、まだ起きられない妖精さんたちの元に

『『『あれ~?』』』
『『『みんなどうしたの~?』』』

と、他のところに石を探しに行っていた妖精さんたちが戻ってきました。ハクが何があったか説明すると、

『『え~大変だったね』』
『『大丈夫?』』
『『冷やさなきゃ~』』

そう言って寝込んでる妖精さんたちのおでこに水の玉?みたいのを乗っけて、手の平からそよそよ風を送り出しました。

「かじぇ?」
あれ?水の妖精さんなのに?
『すごいね~水の妖精さんなのに風も出せるの~?』
ハクも不思議に思ったみたいで聞いてます。

『ん~風というか~』
『冷気かな~?』
『水魔法をもう少し頑張ると~』
『氷魔法が使えるようになるんだけど~』
『水を冷やすと氷になるでしょ?』
『その冷やす時の冷気を当ててるんだよ』

「ほえ~」
『なるほど~』
あ、だからさっきから~

『『うううう』』
『『さささ、さむい~』』
ガタガタガタガタ
って、なってたんだね~

『『『あっ。ごめん』』』
『『『冷やしすぎちゃった』』』
てへっ♪

『『『『うううう…』』』』がくがくぶるぶる

あわわっ
てへっ♪じゃなくてやめてあげて~

しばらくすると妖精さんたちが復活しだしました。

『あ~』
『つかれたぁ』
『あれ』
『なんだったの~?』
妖精さんたちはやっぱりさっきの訳の分からないものがなんだか知りたいみたいです。

『そう言えば、お父さんたちに渡したままだったね~。お父さ~ん』
「ぎんしゃま~?かめじぃ~?」
二人を見るとまだ固まっていました。何だったんだろう?
みんなで顔を見合わせて、固まってる二人をツンツンすると、ようやく二人が動きました。

『あ、ああ。すまん』
『しかしのぉ これは……』
一瞬立ち直ったギン様たち。でもまたすぐに黙り込んじゃいました。何か大変なものなのかな?

『お父さん。それなあに~?』
「うにゅ~?」
『『『『これがあの重いヤツ~?』』』』

ギン様はサーヤたちにも見えるようにそれを下に下ろしてくれたんだけど…それは銀色に輝く透明のまあるいプルんっとした

「みじゅまんじゅう?」
美味しそう…じゅるり。

『サーヤ~…』
『『『『よだれ…』』』』
サーヤのお口がキラキラ

『サーヤ、みずまんじゅうが何かは知らんが、これは食べられないぞ?』
『そうだのぉ。これはおそらく、スライムじゃからのぉ』
ギン様と亀じぃがこれはスライムだと教えてくれると

『『『『えええ~!!!!』』』』
叫んだのは妖精さんたち
『だって!』
『硬かったよ!』
『重かったよ!』
『ぷにぷにじゃないよ!』
そうだよね?カチカチ~

『だからのぉ、困っとるんじゃよ』
『どう見ても普通じゃないからな』

そっかあ。それにしても、まったく動かないね。
サーヤたちは近づいて触ったり、突っついたり、叩いたり。
「こんこんこん。しゅりゃいむしゃん、はいっちぇましゅか?さーにゃ…や、でしゅよ~」コンコンコン
『サーヤ~』
『『『『きっと何か違う~』』』』
『そうだな。違うな』
『まあ、入ってはないだろうのぉ』
「うにゅ?」
何が違うのかな?なんでそんなおめめ?
みんなの目が可哀想な子を見る目です。

「ちんじゃっちゃ?」
『えぇ?死んじゃったの~?』
『いや、生きてる。と、思う』
ギン様からなんとも頼りない答えが…
『とりあえず、洞に一緒に入っとった石と共に魔神様にお聞ききしに行くかのぉ』

石?石…
『「あっ」』

『「あっ」?ハク、サーヤ…』
『さてはお主たち、忘れとったのぉ?』
亀じぃが、片方の眉毛?シワ?をピクって持ち上げてサーヤたちに言います。ギン様は呆れ顔です。

「『えへへ~♪』」

水まんじゅ『スライムでしょ~?』…スライムのおかげで忘れるとこでした~。あぶないあぶない。

『そうだ~お父さん!水の妖精さんたちがね、ぼくたちの石を見つけてくれたんだよ~。ね~?サーヤ』
それもでした!たいへんたいへん!忘れちゃダメダメです!ハクが思い出してくれてよかったです。

「あい!みゃえ、ひちょちゅにょ いしちゃん。はくちょ、ぎんしゃまがいいっちぇ!」
石ちゃんが楽しそうに教えてくれたよ!

『私とハクの?』
ギン様がびっくりしてます。
『そう~。この二つの石ね~?元はひとつの石だったんだって~。すごいでしょ~?』
「しゅご~いにぇ~」
探してきてくれた妖精さんたちもすごいです!
『ああ。すごいな』
ギン様も嬉しそうです。

ハクから石を受け取りながらギン様が妖精さんたちにお礼を言います
『妖精たちよ。ありがとう。まさか、我の分まで探してくれるとは…』
『ありがとう~』
ハクもお礼を言います。

『えへへ~』
『たまたまだよ~』
『見つかって』
『良かったね~』
『ね~』
『そう言えば~』
『樹の洞にあった』
『石は~?』
『ふたつ』
『あったよね~?』

そうでした。スライムさんと一緒にあった石ちゃん!

『これだな。サーヤ、これはどうだ?何か言っているか?』
ギン様が石を見せてくれます。石ちゃん、どうですか?えっと~

『ん~?さーにゃ、ごはんあげちぇ だいじぶっちぇ』
すごい!サーヤの大丈夫な石ちゃん、二つも一緒に見つかったよ!

『二つともかのぉ?』
「あい」
そうだよ~!
『そうか。それはよかったのぉ』
「あい!」
亀じぃもにっこりしてくれました。あっそうだ!

「ようしぇいしゃんちゃち、あいがちょ~」
石ちゃん見つけてくれてありがとう。
『『えへへ』』
『『どういたしまして~』』
またお礼しなきゃだね!

『それじゃあ、一度地上に戻るか。みんなのおかげでだいぶ空の魔石も集まったしな』
ギン様が一度戻ろうって言いました。

「あ~い!みんにゃも いこ~♪」
『ほっほ ワシらもかのぉ?』
「あい!いこ~♪」
亀じぃも妖精さんたちも行こ~♪

『亀じぃ、水の妖精たち、申し訳ないが共に来てくれまいか?こやつのこともある』
そう言ってまだ動かない水まんじゅ…スライムを見るギン様。

『そうじゃのぉ、共に行くべきだのぉ。ケルピーもそろそろ戻る頃だろうしのぉ。妖精たちも良いかのぉ?』
『『『『は~い』』』』
『『『一緒に』』』
『『『行こう~♪』』』
わ~い!みんな一緒~♪
『『『『イエーイ!』』』』ぺちっ
『『『『『『やったね〜』』』』』』ぺちっ
「やっちゃ~♪」
妖精さんたちとハイタッチです!妖精さんたちちっちゃいから音も可愛いです。

『それじゃあ、またサーヤは私の背中に。亀じぃ、ハクを頼む』
ギン様がスライムさんを背中に乗せてサーヤもギン様の背中に移動です。サーヤはスライムさんが落ちないように見張ってるね!
『了解した。では、ハク行こうかの』
『は~い』
「あ~い」
帰り道、行きより余裕が出来たので、みんなでお話しながら追加の石を見つけたり、珍しい貝殻とかお花とか拾いながら帰りました。お部屋に飾るんだ~♪
もちろんギン様のもふもふも堪能します。もふもふもふもふ~♪妖精さんたちも一緒にもふもふしてるよ!ギン様のもふもふは最高だよね!
そう言えばケルピーのじぃじは大丈夫かなぁ?すぐって言ってたけど。
そうこうしてると、洞窟を抜けたみたいです。明るくなりました!すると、そこにはケルピーのじぃじがいました。良かった!大丈夫だったんだね!

「じぃじ~!おかいり~」
『ほっほ。ただいま。サーヤたちもお帰りだの。楽しかったかの?』
「あい!たのちかっちゃ~♪」
お友達も沢山できたよ。

『そうかそうか。それは良かったの。おや?サーヤそれは…』
じぃじが見つめるのは

「みじゅま『スライムね~』しゅりゃいみゅしゃんでしゅ!」
樹の洞から妖精さんたちが頑張って出してくれたんだよ!
『でもね~?動かないんだ~』
カチカチなんだよ~それに重いんだよ~。

『なんと、そっちもかの……』
じぃじがとってもびっくりしてます。その様子を見て義様が
『そっちも?じじい、まさか?』
って、ギン様がじぃじに聞くと…

『そのまさかさじゃよ。ほれ』

ぴょこっとじぃじの頭に金色のスライムさんが顔をのぞかせました。みんなびっくりです。こんなことあるんだね。

そしてみんなで一言。

『動いとるのぉ』
『動いてるな』
『動いてるね~』
『あい。うごいちぇりゅにぇ』
『『『『動いてる』』』』
『『『『『『ね~』』』』』』

こっちのスライムさんは動いてます。

「みずゅまんじゅうが、ふえちゃ」じゅるり
『サーヤ~…』

しおり