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ある日の豆まき日記 番外編

「おには~しょちょ!ふくは~うち!」ぱらぱら~
ぴゅいきゅい『『やったな~』』
「きゃっきゃっ」
ぴゅい~『おには~そと!』ぱらぱら~
きゅい~『ふくは~うち!』ぱらぱら~
「ふにゃ~ああ」
ぴゅきゅ~『『きゃはは~』』

泉のそばでサーヤとモモとスイの賑やかな声がしてます。
何かを投げあってるようです。しかも謎の呪文を唱えています。

〖サーヤ、モモにスイも楽しそうね。何をしてるのかしら?〗
『あらぁ?しかも、はっぱまみれぇ?』
『何をしていたのだ?』
ジーニ様が何をしてたか聞いてきました。精霊樹の精様とアルコン様はサーヤたちにくっついた葉っぱを取ってくれてます。

「えへへ~おにはしょちょ~」
ぴゅいきゅい『『えへへ。ふくは~うち~なの』』
三人でえへへと説明です。

『サーヤ、それ説明になってないわ』
『そうだな。何も分からないぞ』
フゥとクゥもやって来て髪の毛に絡まった葉っぱを取ってくれてます。ごめんね?

「まめみゃき~」
ぴゅい『おまめないから~』
きゅい『はっぱまいてたの~』
ニコニコして説明します。これで分かったでしょ?

〖ごめんなさい。サーヤ、さっぱりわからないわ〗

「ほえ?」
ぴゅきゅ『『あれぇ?』』
なんですと?

『サーヤ~そもそも何でお豆まくの~?』
『おにはそとって何?』
『ふくはうちって何?』
ハクとフルーとフライも分からないって。

「んちょ?せちゅぶんに、まめみゃき。おにしゃん、わりゅいちと?ちゅにょあっちぇ~、あかちょか~あおちょか~」
ぴゅい『それでね、おうちはいってきちゃうとたいへんだからね』
きゅい『おまめぶつけて、でてけーちて、おっぱらうんだって』
「ふくにょかみしゃん、いいちと?」
ぴゅい『しあわせこいこい』
きゅい『おうちにどうぞしゅるんだって』

サーヤが双子に説明したらしいことを三人で一生懸命説明します。

〖え~と?節分が何かわからないけど、角のある鬼が悪い人なのね?赤い鬼と青い鬼?〗
「あい」こくこく
『それで鬼が家に入ってくると悪いことがあるから、豆をぶつけて追い出すのか?』
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、あたり~』』
鬼さんのことは分かってもらえたようです。
『それでぇ、福の神様?は、いい人だからぁ』
『お家の中にどうぞって招き入れるのか?』
「しょう!」
ぴゅいきゅい『『だいせいかい~!』』
パチパチ
精霊樹の精様もギン様もみんな当たりです!

『それで~お豆ないから~』
『お豆の代わりに』
『葉っぱまいてたの?』
「しょう!」
ぴゅい『ハクとフルーとフライも』
きゅい『おおあたり~』
ぱちぱちぱちぱち~

『なるほどね。でも葉っぱはやめなさい』
『髪の毛えらいことになってるぞ』
「ありゃ?ごめしゃい」ふへへ
フゥとクゥに怒られちゃった。

〖ん~?サーヤのいた所の儀式みたいなものかしらね?サーヤ、それはいつもやるの?他に何かしてたかしら?〗
ジーニ様首傾げて聞いてきます。

「んちょ?だいちゃい、にがちゅみっかにやりゅにょ。おにしゃんにおまめまいちぇ、おまめ、とちにょかじゅと、たしゅいち、ぽりぽり」
『にがつみっか?サーヤたちのいた世界の暦か?まあ、断定してるってことは、一年に一度だろうな』
『撒いたお豆を歳の数足す一、ポリポリ?食べるのか?』
「あい。たべりゅ」こくこく

『うわ~お父さんの歳の数だけ食べたらお腹おまめでぱんぱんになっちゃうね~』
『確かに…考えたくないな』うぷ
ハクが大人は大変だね~って言ってたらギン様が想像したのか嫌なお顔してます。
『我も考えたくないな。というか、最早自分の歳が分からん。ジーニ様も精霊樹の精もそう思…っう』
〖『は?』〗ごごごごご
『い、いや何でも…』
アルコン様がジーニ様たちにも同意を求めると、ジーニ様達から何かが出てます!これは見たことあります!大変です!

「あるこんしゃまあるこんしゃま、おばあちゃん、いってちゃ」
『サーヤ?』

前に~
「じびゅんにょ、とち、いっこ、に~こ、さんこ…おばあちゃんは~?」
「あらあらまあまあ、あのね?よ~く覚えておくのよ。女はいくつになっても女。大人の女性に歳を聞いてはいけないの」にこにこにこにこ
「あ、あい」こわこわこわこわ?
「だからね、初対面の大人の女性には必ず『お姉さん』って呼ぶのよ。おばあちゃん、おばさんは『そう呼んでね』と言われてからに呼ぶの。いい?分かったかしら?」にこにこにこにこ
「あ、あい。わかっちゃ」こわこわこわこわ

っていうことがありました。
「おばあちゃん、にこにこ。でみょ、こわこわ」
『そ、そうか。分かった、気をつけよう』
うんうん。気をつけてね。

〖素晴らしいわ。おばあちゃん〗
『本当にねぇ「女はいくつになっても女」名言だわぁ』
〖『気が合いそねぇ』〗
うんうん。ってジーニ様と精霊樹の精様が頷きあってます。

『でも確かおばあちゃんって、サーヤに「ぼんっきゅっぼんのうらやまけしからんボディ!女の敵!」って仕込んだおばあちゃんよね?』
『ジーニ様たち、敵認定されそうだよな』
フゥとクゥがコソッと言って来ました。
「あい。おばあちゃん、ぺったん…」ハッ!きょろきょろ。危ない危ない…いなくてもゆっちゃダメな気がします。
『そ、そう』
『激しいおばあちゃんだな』
ダメだよ!そんなこと言っちゃ!

『ねえねえ~サーヤ~。ほんとの鬼さんいたの~?』
ハクが鬼さんどんなだった?って
「んちょ、おににょ、おめん、もーもーにょおいちゃんかぶっちぇ、おにしゃんに、なりゅにょ」
こういう時はもーもーのおいちゃんの出番です。いつも手作りのお面被ってくれて、鬼は~外でお豆ぶつけます。おいちゃんのお面は本物にしか見えないからサーヤは泣きながらお豆なげるの。

『怖い鬼さんなの~?』
ぴゅいきゅい『『ないちゃうの?』』
『『怖~い』』
『『『おまめさがさなきゃ!』』』
ちびっ子たちが慌ててます。

〖ふ~ん?鬼はアルコンでいいわね~〗
『そうよねぇ?石ぶつけたって魔法ぶつけたって平気よねぇ。頑丈だものぉ』
〖『うふふ~』〗
『なっ……』
ああ~アルコン様、根に持たれちゃったね~
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん、がんばれー』』
『モモ、スイ、そんな…』
あれ?豆まき決定?お豆ないよ?

『サーヤ、お豆は木の実で代用出来るんじゃない?』
『せめて、できるだけ柔らかい木の実を探そう』
フゥとクゥが既にただならぬ雰囲気をまとっているジーニ様と精霊樹の精様を見て、もうやらないという選択肢はないんじゃないかなって言ってます。
「あわわ」
アルコン様、ごめんね~

その後
『うわぁっ』
〖鬼は~外ーっ〗
『福は~内ーっ』
アルコン様はジーニ様と精霊樹の精様に追いかけられて、何かぶつけられてます。爆発?

「あわわわわ」
ぴゅいきゅい『『ちゅどーん』』
『『どっかーん』』
『アルコンさま』
『せなか』
『もえてる~?』
やっぱり燃えてるよね?
『お父さ~ん、豆まき出来ないね~』
『仕方ない。私が鬼をやるから、あちらは放っておこう』
『そんなっギン様!鬼ならクゥがします!』
『ええ?』
『何よ!ギン様にやらせる気?』
『わ、分かったよ。俺がやるよ』
『そうか?』
フゥの一声でちびっ子たちはクゥを鬼役にして豆まきです。
そして…
「おには~しょちょ」へにゃ~ぽろぽろ
『うん。サーヤ、さすがにもう少し強くて大丈夫だぞ?』
「うにゅ~」
投げても届かないサーヤをみんなが気の毒に思ってクゥをサーヤの前に置いてくれました。クゥは今サーヤの前で体育座りしてます。
『サーヤ~がんばれ~』
ぴゅいきゅい『『こうだよ~』』
『『鬼は~外~』』ぱらぱらっ
みんなが見本を見せてくれます。
「あい。おには~しょちょ~」ぺちぺち
『おお!その調子だぞ』
なぜかぶつけられてるクゥが褒めてます。
『『『つぎ~ふくは~うち~』』』ぱらぱら~
「あい。ふくは~うち~」ぺちぺちっ
『おお!さっきより強くなったぞ~』
『サーヤ、がんばったわね~』
「えへへ~」
『良かったね~』
『そうだな。こちらは平和だな』
ギン様が意味ありげに見た先には

〖待ちなさいっ〗
『逃げちゃダメよぉ~うふふ』
ドカーンドカーンッ
『うわあああっ』
もはや豆まきでも何でもない状態になってました。
女性に歳は聞いちゃいけない。みんな覚えた!

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