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王の誕生2

 国主たちは名を奪われた上で辺境に幽閉される。

 新王の戴冠式を新たにできた神官庁が行うことになった。慌ただしく世界は変わっていく。
 霧が晴れた様に、隣国である故郷と陸を通じての行き来ができる様になったと聞いてすぐに両親に手紙を書いた。
 聖女としてのお披露目も、予定されていて、ただ忙しく日々が過ぎていく。

 王を選んだ後も私の魔法は残ったし、メアリとシェアリは私の侍女のままだ。

「サラ、よく似合っている」

 マクスウェルが私にむかって微笑む。
 今は彼の戴冠式のためのドレスを試着しているところだ。

 大人になった彼は、自分の気持ちを隠そうとしない。
 今だって自分の戴冠式なのだから彼の衣装の準備に時間を割いた方がいいのに態々私の元へ足しげく通っては甘い言葉をささやかれる。

「俺が君のおかげで大人になれた事なんて公然の秘密みたいなものだ」

 そう言って、私に愛を伝えるのを半ば当たり前の様にしてしまう彼に私の心臓はもちそうに無い。
 私の選んだ王様は私のために王になるのだと本気で思っている様だ。

 少しずつ聞いていくマクスェルの生い立ちは孤独で、大切な物等作れなかっただろうと私にもわかる。

「思えば最初からサラは特別だったんだろうな」

 マクスウェルが笑った。
 大切じゃないものに命を賭けようととは思わないだろう?

 あの時は何も分かっていなかったけれど、今はその言葉が嬉しいと思う。

 この気持ちを何と呼ぶのかはもう知っている。

「マクスェル」

 私の大切な人の名を呼ぶと、その若い竜はその瞳を緩ませて微笑んだ。

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