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94 安定のジーニ様と、サーヤのおでん?

ジーニ様がサーヤを撫でくりまわしていると

『ジーニ様、空の魔石をどうするのですか?』
ジーニ様とサーヤの世界をなるべく壊さないように、ギン様が恐る恐る聞く。壊したら…ぶるっ

〖あっ!そうだったわね~。空の魔石を使って魔力を増やすと共に、自分を守るアイテムが作れるかもしれないと思ってね〗
ギン様の心配を他所に機嫌よく答えるジーニ様。それほどサーヤが自分から来てくれたことが嬉しかったようです。

『そうですか』
ギン様、心底ほっとしてます。良かったね。

『あ~なるほどぉ。私も可愛いの欲しいわぁ』
精霊樹の精様が自分も欲しいと言いました。しかも可愛いの!

〖ちょっと気が早いわよ〗
ジーニ様が呆れてます。まだ石すら用意出来てないのに。

『でもぉ、サーヤには可愛いのつけてあげたいでしょう~?きっと森のみんなだって可愛い方がいいと思うわよ~?ね~?』

森のみんなもいつの間にか興味津々という感じで集まって頷いていました。

〖仕方ないわね~ まあ、物が集まってからそれは考えましょう〗
ため息をつきながらジーニ様が言う。
〖でも、サーヤに可愛いものをっていうのは大賛成よ!〗
ビシッと精霊樹の精様に向かってサムズアップ!
『でしょう~?』
あっ、そこは決定なんだね。


〖こほん。さてと、話が大分横道にズレて申し訳ないわね。話を戻すわね。まず、さっきのハクたちのように自分の中の魔力を探してもらうわ。目を閉じて、自分の体の中を静かに見つめてみて、焦らなくていいわ。最初はみんな出来なくて当然よ。ゆっくり自分のペースで探してみて。さっき触ってもらった魔素の集まり、それに似たものを探して感じてみてね〗

先生モードに戻ったジーニ様の声に従って、みんな目を閉じて自分の中の魔力を探し始めました。

〖そう、深くゆっくり呼吸をしてみて。立ったままがやりにくいなら寝転がったっていいわよ。体の力を抜いて、気を楽にして〗

ジーニ様が集中し始めたみんなを見渡してからサーヤを見てみると、サーヤは頑張っていた。頑張りすぎて、眉間にシワがよって口がタコになっている。どうしたらこうなるのだろうか?

〖サーヤ、力を抜いて。まずはお顔を元に戻して〗
力を抜いてって言ったのに、力が入ってるわね。しかも何でそれが顔なのかしら?
ジーニ様はそう思いながら、サーヤの眉間のシワをむにむにと伸ばして、口を元に戻すためにほっぺたを引っ張っている。

「うにゅ~うう」
力抜く~?

〖そうそう。力抜いて。体の中で、特にぽかぽかしてるところ、なぁい?〗
良かった。ひとまず顔は元に戻ったわね。

「ぽかぽか~?」
体の中のぽかぽか~?

〖そうよ。一番あったかいところ〗
あ、また眉間にシワが…伸ばして伸ばして。

「ん~?」
一生懸命探しているからか、サーヤの顔は直しても直しても百面相だ。ジーニ様は笑いを必死に堪えながら、撮影をすることは忘れない。お気づきかもしれないが、本気で自動追尾撮影魔法を完成させていたジーニ様だった。
(あとで絶対見直さなきゃ!あ~可愛い~♪)

その様子を呆れてみている三人がいた。
『ジーニ様も充分顔に出てるわよね~』
『実際にあの魔法を完成させているのが恐ろしいな』
『アルコン様、甘いです。まだですよ。研究はまだまだ途中だそうです』
精霊樹の精様とアルコン様、ギン様だ。

『そうか…』
『私たちは森のみんなを見ましょう』
『子供たちもな』
『そうですね』
いまだ、サーヤを見て悶えているジーニ様に視線を送り、三人ため息をつくのだった。
『『『はぁ~ぁ』』』

「うにゅ~」
〖あ~可愛い♪〗
安定のジーニ様…そして、

「うにゅ~うぅ」
体の中~?
サーヤは一生懸命体の中のぽかぽかを探しているのだけど、なかなか見つけられません。ジーニ様は焦らないでと言っていた。寝っ転がってもいいらしい。

うにゅ~でも、寝っ転がったら、きっと寝ちゃうぅ…

サーヤは頑張って立っていることにした。

うみゅ~?一番ぽかぽかのとこ~どこ~?フゥたちはお腹の下あたりゆってた?お腹の下~おなかのした~?おへそのした~?おへそ~ でべそ~……ちや~うぅ

サーヤはあやうくひとり連想ゲームを始めるところだった。

う~?おへそのした~ した~ あれぇ?そう言えば~?


「……畑をね、耕す時はおへその下に力入れるのよ」
「おへしょ~?」
「の、下ね。丹田って言ってね、昔から大きな声を出したり、力を出したい時はそこに力を入れるといいって言うのよ」
「ちゃんでん?」
「そう。丹田」
「おいちしょうにぇ~」
「おいしそう?なんで?」
「おでん すちー」
「あらあらまあまあ、おでんはおばあちゃんも好きだけど、だいぶ違うわ…」
「おでん~ おいちいね~♪だいこん~ちくわぶ~」
「くすくす 分かったわ。お夕飯はおでんに決まりね」
「おでん~ やっちゃぁ~」
って、おばあちゃんが言ってた~?


〖サーヤ?大丈夫?〗
あれだけ百面相してたサーヤがピクリとも動かなくなった。心配になったジーニ様が声をかけると

「あい。じーにしゃま。おでん」
〖は?おでん?〗
おでんって何かしら?

「ちやった。ちゃんでん」
〖たんでん?〗
とりあえず、おでんは間違いなのね。

「あい。おへしょにょちた。こにょへん」
〖うん。たんでんっていう場所なのね?それで?〗
おでんも何か知りたいとこね。何だか美味しいものな気がするわ。

「ちかりゃ、いれりゅちょこ ちゃんでん。ここ ぽかぽか?」
〖そう。あったかいところが見つかったのね。良かったわ。そこをもっと意識して覚えてね〗
やっぱりおへその下あたりなのね。

「あい。おぼえたりゃ、どしゅりゅ?」
〖え?もう覚えたの?〗
「あい。おばあちゃん おちえちぇくりぇちゃ」
〖そういうことね…〗
前の世界でおばあちゃんと何かをした時に覚えたのね。

〖分かったわ。そうしたら、その暖かいのを体の中を隅々まで流して、ぐるぐる何度も循環させるの。ただ、初めはゆっくりね。川の幅をそろえるように。暴れる川じゃなくて、ゆっくりゆったりした川でいいわ〗
「あい。ゆっくり~」
ジーニ様が様子を見ながら助けてくれます。

〖そう。そうしたら、だんだん細く、もう少しまとめるようにして、スピードを少しだけ速めましょうか〗

ジーニ様がゆうとおりにやっていると、だんだん体全体がぽかぽかしてきました。

「じーにしゃま、ぽかぽかしちぇきちゃ~」

〖とっても上手よ。もう少し、そのまま続けてね〗

「あい」
がんばる~。

魔神は驚いていた。突然サーヤの意識がお腹の辺りにいっていると思ったら、サーヤがピクリとも動かなくなった。心配になりサーヤに大丈夫か聞いてみると、おでん…違う丹田?と言い出した。おばあちゃんが教えてくれたと言うから何かを思い出したのかもしれない。
そこからのサーヤは凄かった。少しのアドバイスで的確に魔力を流し始めた。少しまとめるように言うと、あれだけ炎のように外に溢れ出ていた魔素が体内に戻りだしたのだ。もう少し、そのまま続けるように言うと疲れた風もなく続けている。これなら…

ジーニ様はサーヤの様子を見て次の段階を考えていた。

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