第3話 【氷の女王 其の3】
せかへい 外伝29
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第3話
【氷の女王 其の3】
集まった賢者と大賢者達は会議を始めた。今回の会議ではフェスが参加できず、クリスタ、ガレッド、ジェイが行う。
このような会議は他の大賢者達も行っており、それぞれの部署で行われている。
「それで今回の奴隷の状態だが、どうだ?」
ジェイはテーブルに肘を置いて聞いた。それに対してクリスタが答える。
「問題ないのぉ、奴隷は着々と増えておる。じゃが、人口も増えれば問題もある。リュウガ様は何を考えおるのかのぁ」
ジェイの専門分野は奴隷の管理だ。アングレラ帝国では奴隷は国民として認められて、国外に出ることのできない労働力として働かせている。
反乱が起きないように生活の保証もしているし、奴隷の意見も聞き入れるようにしている。
魔法の使えないこの国では人力が基本であり、魔法の力を補うために人の力を使っている。それがこの国なのだ。
そのために多くの奴隷を必要とする。だが、奴隷が増えれば人口も増える。それによる多くの問題もある。
「その辺りはエンド様に策があるようだ。そちらの報告を待とう」
しかし、その問題はリュウガの側近であり、大賢者の一人であるエンドが引き受けた。どういう解決法があるのかは分からないが、ジェイよりもエンドの方が位は上である。
同じ大賢者であるが、エンドだけが少し発言力を持っている。
「ジェイ様、少し良いですか?」
話し合いの最中にガレッドが手を上げた。ジェイはガレッドの発言を許す。
「フェスについてです。最近女性の奴隷を集めているという話を聞きますが、良いのですか?」
フェスは賢者であり、奴隷管理には欠かせない魔法を使う人物だ。
特殊な首輪を作り、それで人の自由をコントロールできる。この魔法を使えるものは簡単には身つかない。かなりの人材なのだ。
しかし、フェスには色々と問題があり、今回の会議にも顔を出していないが、それは今回だけではない。
いくつかの会議も理由をつけて参加しないのだ。
それにガレッドが言った通り、女性の奴隷を中心に集めている。
帝国が認めているのは奴隷を帝国の労働力としての活用だ。それを犯罪的な行為に使うことは許していない。
「そうだな。フェスには見逃せない部分もある。フェスについてはガレッド、お前に任せて良いか?」
ジェイはそう聞くと、ガレッドは胸を張る。
「はい。任せてください。俺が奴の裏を暴いてやりますよ」
そんな感じで会議は進む。