バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

竜の国の悲願

 最初に二つの流星がありました。
 一つは赤き流星で、もう一つは白き流星でした。

 その二つの流星はこの地に下り立って国を作りました。

 けれど、この国には王はおりませんでした。
 王というものは神によって選ばれる存在です。

 現在の国主は赤き流星の末裔です。
 赤き竜の特徴を持ったものはこの国では高貴な者たちばかりです。


 食事をした後メアリがしてくれたのはこの国に伝わる伝承だった。

 私の国の王も戴冠するときには司祭から冠を受ける。神によって選ばれたものだけが本当の王になれる。

「そのためこれまでこの国には王がおりませんでした」

 それで国主と呼ばれているのだろうという事は想像ができた。
 それに星だと言われていたことも納得がいった。

 この国は流星の民だと信じている竜の国なのだ。

「王がいない代わりに、この国の民は不思議な力があります」

 メアリとシェアリが続ける。

「この国の人々は名を呼ぶことでその相手を支配することができます」

 この国にはエムリスの様に家名を呼ぶ習慣がありません。
 それにみだりに名前を呼ぶ習慣もありません。

 名前は婚姻の時やそのた限られたときにしか伝えないらしい。

 そこで私ははたと気が付く。
 私は忠誠の証として二人の名前を聞いていた。

「お二人の名前はあだ名の様なものですよね?」
「勿論、本物の名前ですわ。
私たちの二人の命をお預けしているとお考えください」

 二人は鏡写しの様な笑顔を浮かべた。

 それは私には荷が重すぎる。正直そう思ってしまった。


「何故、私に命を預けてくれるのですか?」

 理由が分からなかった。

しおり