第3話 【ユキザル討伐クエスト 其の3】
せかへい 外伝28
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第3話
【ユキザル討伐クエスト 其の3】
リトライダーとミエ、そしてダズはガーラの指示に従い、魔道具を指定された位置に設置した。
ガーラに渡された魔道具は手のひらサイズの長方形の魔道具。
それをガーラの魔道具を合わせて、四角形を作る形で設置した。そして設置し終えると、ガーラはリトライダー達に戻ってくるように指示した。
それに従い戻った後、ガーラはもう一つの魔道具を手に持っていた。
「この魔道具は?」
ミエは聞くがガーラは答えない。
三人はこの魔道具を知らない。だが、何らかの使い道があるのだろう。
ガーラが取り出した魔道具はリモコンだ。そしてそれを操作してボタンを押す。すると、四人が設置した魔道具が起動して、それを角にして結界が貼られた。
「こ、これって…………」
「あれっすよね」
その魔道具を見たリトライダー達は驚く。そして見覚えがなかった理由をわかった。
リトライダー達は冒険者だ。そのため一定の場所に留まることはない。金もないわけではないが、仕送りしていたり、道中は必要ないため預けていたりする。
ガーラの魔道具は結界が完成した後、結界内が暖かくなり始めた。
「これがあの魔道具っすか」
冬になると金持ちの家や金のあるお店では、暖房魔道具を使用する。結界魔法で温かい空気を閉じ込めて寒い風を入れない。
そして炎魔法を調節した魔石により、結界内の温度が上昇するのだ。
「ユキザルは温度喧嘩に弱いからな。今回はギルドから借りてきたんだ」
ガーラはそう言った。
ギルドでは魔道具の販売やレンタルをしている。その一つとして借りてきたのだ。
この暖房の魔道具は拠点を持たない冒険者には必要のないものだし、クエストにも必要にならない。
それに値段もそこそこするため使う冒険者は少ない。
だが、ガーラはユキザルの討伐にこの方法を使う。ユキザルはガーラでも倒すのが困難なモンスターだ。
そのためこのようにユキザルの弱点を突くことで、ガーラはユキザルを討伐してきた。
しかし、ユキザルの時にこの作戦を使うと、魔道具を設置している間に逃げられてしまうこともある。この魔道具は角に設置する必要があるため時間がかかるのだ。
だが、リトライダー達がいれば、ユキザルの逃げ場もないし、魔道具も素早く設置できる。
「よし、あとはユキザルを討伐するだけだ。この結界は人間やモンスターなどは出たり入ったりできる。逃すなよ!」
「はい!!」