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 第5話  【盗賊のプハッー!! 其の5】

 せかへい 外伝26


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第5話
 【盗賊のプハッー!! 其の5】




「その女の正体はなぁ」



 ラピッドが言いかけた時、



「言うな!!」



 ミニバンとアプーが止めた。



 ミニバンとアプーはグラニットよりも前に出た。そして武器を構える。



「分かってる。グラニットが何者かなんて……」



「プハッー! だが、それでも良いんだ。俺たちみたいな奴を助けてくれた、この人だからなぁ」



 そしてラピッドに斬りかかる。ラピッドはどうにか攻撃を防ぐが、かなり厳しい状況だ。



「ぐぅ、……これは厳しい……」



 ラピッドはそう言うと、出口の方へ飛ぶ。



「報酬は減ってしまうが仕方がない。金よりも命の方が大事だからな」



 ラピッドは地下室を出ていく。追おうとするミニバンとアプーを



「待て……深追いはするな。それで十分だ」



 そう言って止めた。



 そのあと、グラニットは水晶を持って館を出る。ミニバンとアプーも持てるだけの財宝を持って外に出た。



「いや〜、今日は大量だ〜!」



「プハッー! これもグラニットのおかげだな」



 二人はそう言って喜んでいるが、グラニットはさっきの出来事があってから静かだった。



「グラニット…………」



 二人は心配して声をかける。グラニットは下を向いて言った。



「気づいていたのか……」



 それを聞いた二人は両手を前に突き出した。



「プハッー、気づいているのは俺たちだけだ。そして俺たちを捕らえれば、口封じもできる」



「そうだぜ、ほら捕まえな」



 しかし、グラニットは首を振る。



「その必要はない。……私は盗賊だからな」





 ミニバンとアプーと別れたグラニットは水晶を持って王国のある路地にいた。
 路上で周りを見渡し、誰もいないのを確認すると、魔道具を取り出した。



 この魔道具は他の魔道具と通信することができる魔道具だ。距離はあまり長くないが、建物二、三軒程度の距離なら届く。



「……聞こえるか。ああ、任務は成功した。無事に水晶も手に入れた。水晶はここに置いていく。回収を頼む。……………………問題ない、まだ誰にもバレていない。…………あの二人はまだ利用できる。それに本質はこちら側だ。……………………はい、では」



 グラニットは魔道具をしまう。そしてその場から立ち去ろうとした時、



 空から人が降りて来た。赤いフードを着た男だ。



「よう、盗人……」



 さっきまで誰もいなかった。いや、屋根の上にいたのか。



 グラニットは警戒する。



 そんな中、フードの男は歩いてくる。グラニットは剣を抜こうとするが……。



 身体が動かない。



「ぐ…………」



 グラニットは何もされていないはずなのに、地面に倒れる。そして朦朧とする意識の中、



「グラニット!!」



 二人の声が聞こえた気がした。





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