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 第1話  【盗賊のプハッー!! 其の1】

 せかへい 外伝26


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第1話
 【盗賊のプハッー!! 其の1】




 オーボエ王国にあるある酒場で二人の男が酒を飲んでいた。



「プハッー!! こいつは染みるぜ!」



 青髪に青いバンダナの男はそう言って酒を飲み干した。その向かい側では薄茶色に角刈りの男が、串に刺さった肉を食べていた。



「それでミニバン、今日の儲けはどれくらいだったんだ?」



 青髪の男が角刈りの男に聞く。ミニバンは肉のなくなった串を青髪に向けた。



「金貨四枚……」



 それを聞いた青髪はあちゃ〜って顔をした。



「プハッー!! やっぱり奪うならあの女からだったか」



 そう言って青髪は悔しがる。しかし、そんな青髪にミニバンは、



「あの男を襲えって言ったのはアプーだろ」



 と言う。アプーはそれを言われて、頭を抱えた。



「だがよ〜、相手は女だぜ、襲えるかよ……」



 アプーがそう言うと、ミニバンは串を齧りながら、



「まぁ、そうだよな。俺たちには無理だな……」



 二人は盗賊だ。昔は冒険者を目指していたが、冒険者試験に落ちて、それから色々あって盗賊になった。



 しかし、二人は今まで一度も、女性をターゲットにしたことがない。



 それは彼らが紳士だからではない。女性に武器を向ける勇気がなかったのだ。



 アプーとミニバンが酒場で話していると、二人のテーブルに一人の女性が割り込んできた。



「ほ〜ん、またその程度しか得られなかったのか」



 その女性は二人の手に入れた金貨を見て、そう言いながら馬鹿にしてきた。



「あ、てめー!!!!」



 アプーは入ってきた女性を睨む。女性はミニバンの食べていた串を一本奪うと食べた。



「あ、俺の……」



 ミニバンは奪われた串を哀しく見つめる。



 赤髪にバンダナを巻いた女性。



 そしてアプーとミニバンが女性を襲うことに恐怖を覚えるようになった原因。



「プハッー!! 何しに来やがった、グラニット」



 彼女の名前はグラニット。二人の先輩の盗賊だ。



 グラニットはミニバンの肩に手を回し、がっしりと掴む。ミニバンは怯えるようにアプーの方を見た。



「おいおい、先輩に向かって、何しに来やがったはないだろぉ〜。お前達が熊の爪(オングル・ウルス)の罠張りに入りそうになった時、助けてやったのは誰だと思ってるんだ〜」



 グラニットはそう言い、ミニバンの首を絞め始める。ミニバンは涙目になりながらアプーに助けを求める。



「プ、プハッー、何しに来たんですか? グラニット先輩」



「それでよろしい」



 グラニットは満足すると、ニコニコしながらミニバンのことを離した。





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