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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(28)

 となれば?


 やはり、一樹は、二人……。仲の良い親子の様子を凝視して「はぁ~」と、また溜息を漏らすのと。

 これも? 何度一樹は、自身の脳裏で思ったのかわからないぐらい。多々思ってしまった。

 困ってしまって、『ワンワン』と、鳴きたくなるような状態へとまた陥る。

 そう、陥るのだが。一樹とたぬきの御老体こと、前魔王佐多名衛門の助(サタナエモンノスケ)は、各自独立した意思を持ってはいるのだが。基本二人は、転生前と転生後の同一人物になるので、以心伝心お互いの心の中が読める、と、言っても?


 一樹自身は、先程から何度も魔王ルシファーさまに告げ、説明をしている通りで、勇者見習いの身分……。未だ修行中の身だから、たぬきの御老体の脳内──思案をしていることを悟ることはできない。

 でも? たぬきの御老体こと前魔王佐多名衛門の助(サタナエモンノスケ)殿は、この世界の伝説、古の魔王であり。振るい物語の書物にも搭乗する程の、超有名人だから、自身の転生者である一樹が、今己の脳内で、思案、困惑していることもみなわかる、と、言うか以心伝心で悟ることができるから。

「フェイン~、ファイン! いるのだろう? と、言うか? いるのだから。そろそろ、悪戯をする行為は辞めて、ルシファーの魔法を解け。フェイン──。今直ぐ、早く──!」と。

 たぬきの御老体は、一樹から魔王ルシファーさまへと視線を変えて呟き──下知を始めだすのだ。【フェイン】とね。

 でッ、それを聞けば、一樹の口からも「フェイン?」と、困惑した声色での台詞が、自然と漏れてくる。

 それも? 一樹の場合は?


 美しく麗しい魔王ルシファーさまから、自身の転生前の武人であるたぬきの御老体へと視線を変える。


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