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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(27)

 う~ん、でも? 先程?

 そう、魔王ルシファーさまと勇者見習いである一樹との武器や肉弾戦による争いの最中に。魔王ルシファーさまが、金髪碧眼の少女は自分だと説明──。説明を聞いた一樹が何度も憤怒──。今の彼とは違う、冷たい目をしながら違うと、否定を続けたように。今でも……。



 と、言うか?


 一樹自身が、己の転生前の人物である、たぬきの御老体から呟かれても納得はできない。

「えぇえええ~! 爺さん。ルシファーさんは、俺がどう見て確認をしても大人の女性だぞ」と。

 一樹は、たぬきの御老体へと苦笑しながら呟き、終えれば。今度は魔王ルシファーさまへと視線を変えて凝視──。

「先程から俺が何度も言っているけれど。俺が探しているのは、ルシファーさんのような美しく麗しい大人の女性ではなく。可愛い少女を探しているんだよ。爺さん……」

 一樹は自分の、新たな妻になる女性だと告げられた魔王ルシファーさまの容姿を凝視──。褒め称えた上で、己が探している少女とは似ても似つかない。


 そう、妖艶、官能、年齢、髪の色、目の瞳の色も全然違う。金髪碧眼の可愛い少女を探しているのだと、たぬきの御老体へと再度不満を漏らすのだ。

 でも、たぬきの御老体は、と、言うか? 彼は? いくら一樹に不満を呟かれて、全く気にもしないし動じない。ついでに、只今、自身の主さまに魅入り、見詰められている魔王ルシファーさまの方も、動揺することもなく。また己の主に見詰められたものだから、純情、乙女らしく『ポッ』と、自分自身の頬を薄い桜色に染めて、照れ恥ずかしそうに、一樹へと振る舞って魅せるだけ。

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