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77 はみがきって?

おばあちゃんとしていた体にいいことを聞かれたサーヤは、何を勘違いしたのかおばあちゃんとしていた日課を語り出した。まあ、あながち間違いではない?
なんやかんやで、みんなのところに戻り、改めて皆で話を聞くことにした。
まずは二回出てきたからにはきっと重要だったのだろうと、

〖サーヤ、二回出てきた「はみがき」ってなあに?大事なこと?〗
ジーニ様が歯磨きについて聞きます。

「んちょ、はぶりゃちっちぇゆう、ちっちゃい、ぶりゃちで、はと、べりょ こちこち。むちばよびょう 、びょうきよぼう」
お口をいーってして、身振り手振り顔芸を混ぜて、はみがきを説明。

『はぶらし?それはなぁに?それが病気の予防になるのぉ?』
精霊樹の精様が不思議そうに聞いてきます。病気などの予防になるようだというのは分かったようだが

「あい。こーにょくりゃいにょ、ぼぉに」
顔の前で二本指を立てて棒の長さを説明。
「こぉにょくりゃい…」
ちっちゃい手でOKマークを作って大きさを示そうとするが、立ってる指三本が丸まってプルプルしている。ついでに片目も閉じてウインク状態。やはりぷるぷるしている。
そして、なぜか前のめりのつま先立ち。やっぱりぷるぷるぷるぷる。
そして、見ている皆の肩もぷるぷるしている。

「ちっちゃい ぶりゃちで」
指をギザギザに動かしている。
歯ブラシの形を表現したいらしい。
「はちょ、べりょをこちこち」
歯をいーっと見せてこしこし、舌をあっかんべーと見せてこしこし?して見せているが、やりすぎたのか、
「うぎゅ!うぇー」
となっている。
フゥが慌てて駆け寄って背中をさすっている。
みんなは顔を背けてぶるぶるしている。
けほけほして落ち着いたサーヤが説明を再開。

「おくちにょにゃか、ばっちいちょ、むちばにゃりゅ だめだめ!うきゃーっ」
ムンクの叫び!!

ぴゅい?『むちば?』
きゅい?『にゃに?』
双子が何それ?と、同じ方向に首をこてん。
「ん~、む~…し!ばっ」はあはあ
し、が言えなくてはあはあしてるサーヤの背中をフゥがぽんぽん。
みんなはまた肩がぷるぷる。

「むちばきん」

『むしばから、むちばに戻ったのね』
なんですか?フゥ。

「むちばきん、はに くりょい あにゃ あけりゅ。いちゃいいちゃい。はいちゃちゃん、や!きゅいーん!ががががっ!やー!」

サーヤは頭に指で角を立ててから、ドワーフが穴を掘るような動きをして、耳に手を当てて、いやーとしゃがみこんでしまった。

その様子を見てちびっこ同盟は
『お父さ~ん』
ぴゅいきゅい『『いやーん』』
『『こわい~』』
『『『ぶるぶるぶる』』』
サーヤと一緒に震えている。わけは分からないが痛いのと怖いのは伝わったらしい。

『ん~、歯に黒い穴あける?確かに汚い冒険者とか見ると、歯がない奴とか多いか?』
『魔法使える冒険者とか、身綺麗にしてる冒険者は歯あったかも?』
フゥとクゥが見た事のある冒険者を思い出しながら言う。

〖だとすると、クリーンが有効なのかしら。歯の隙間や舌まできれいにするのなら、体にクリーンかける時一緒にやればいいかしらね?〗
う~んとジーニ様が推測すると
『ジーニ様。もしかして口の中だけは何か食べたらクリーンをかけた方がいいのでは?』
ギン様が更に推測を重ねる。
〖どういうこと?〗
『ちょっと、サーヤに聞いてみます。サーヤ』

そう言うとイヤーっとしゃがんだままのサーヤにギン様がたずねます。

「あい。なんでしゅか?ぎんしゃま」
『もしかして、ご飯の後、毎回そのはみがきをしていなかったか?』
食べた後に出てくるので、もしかしてと聞いてみたのだ。

「あい。たべちゃら、はみがち!はにょあいじゃ、ごみ、だめだめ。ちょくに、よりゅちょ、あちゃ おっきちたりゃ、じぇっちゃい!!むちばきんじゃにゃい、ばいきんみょいっっっぱい!びょうきにょもちょ!!」
サーヤは一生懸命に歯磨きしないとダメだと説明する。
虫歯菌もバイ菌も、怖い怖い病気の元です!

『やはりそうか。ありがとう。サーヤ』
「あい!」
サーヤはギン様の質問に答えられてにこにこしている。

『今の話から察するに、やはり食事によってついた汚れが虫歯という病気を引き起こすようですね。更に口の中には虫歯になる原因の他にも色々な病気の原因がいると。歯磨きによりその汚れを落とすことで虫歯予防、病気予防になるなら、やはり毎回した方が良さそうですね』
ギン様がサーヤの話を分析しながらまとめると、

〖そうね。歯の汚れは毎回クリーンをかけるとして、こしこし?してたってことは、多分マッサージ効果みたいのもあったのかもね。それは夜だけでもいいんじゃないかしら?〗
ジーニ様も頷きながら、違う可能性に目を向ける。

『でも何で?我々のような獣なら、そこらの木でもいいでしょうが…』
ギン様がごもっともな疑問を投げかけるが、みんな

〖『『『『う~ん⋯』』』』〗

一様に黙り込んでしまった。
そこへ、下からちょいちょいとクモのお母さんが。おしりから出した糸を丸めてみんなに見せている。

〖 『『『『あっ』』』』〗

「んにゅ?」
なあに?
クモのお母さんがみんなに糸を見せてくれます。

『そうか、マッサージだけなら、ちょうどいい硬さの糸をサーヤとクモさんで見つけてもらえばいいですね』
『じゃあ、はみがきはなんとかなりそうね~』
フゥと精霊樹の精様はこれで何とかなりそう!良かった~と喜んでいると、

〖クリーンの魔法は当面、私がかけるけど、早めに自分でできるように覚えてもらいましょう〗

「ふお?まほー?じーにしゃま、まほー、できりゅ?」
魔法と聞いて途端にサーヤのおめ目はキラキラ!
〖ええ。みんな一緒に練習しましょうね〗
「やっちゃ~!がんばりゅにぇ!」
わ~い!と、ぴょんぴょん。
〖ええ、期待してるわね〗
思わぬ所から、サーヤの魔法の練習開始が決定した。

『あとは、何を言ってましたっけ?』
フゥが歯磨きの他にも何かたくさん言ってましたよね?って、聞くと

『え~と、たしかぁ、おばあちゃんとたいそう?』
思い出しながら精霊樹の精様がいいます。

「あい。けがちないように、じゅんびたいしょう。いち、に、しゃん、ち。ごう、りょく、にゃにゃ、はち」
号令をかけながら奇妙な動きをするサーヤに、みんなが首をひねっていると

『とにかく、怪我をしないためなら、後で一緒にやってみよう』
アルコン様が人型のもの達に目配せをすると、みんなが頷く。そして、

きゅい『にわとりと、たまご?』
スイが次はぼくだよ!って質問してきました。
「こけこっこー なく、とりしゃん。あしゃに、ちゃまご うんじぇくりぇりゅにょ」
コケコッコーと鳥が歩く真似してからお尻ふりふり。もしかして卵産むまね?
『なるほど、鳥を飼育して、卵をあさに収穫してたのか。それなら毎日新鮮だもんな』
クゥが納得しています。

ぴゅい『じゃあ、モーモーさんとミルク?』
「おちょなりのおいちゃんの、もーってなく、うししゃん、おちち ちぼりゅ」
両手出してしゅっしゅっ。乳搾り?

『ん~?母乳を出す動物をお隣のおじさんが飼育してて、お乳をもらってたってことぉ?』
精霊樹の精様が話を整理しようとしてます。
『この世界にもいるか?』
アルコン様、もっともな疑問。
『あ~いたかもぉ。でも、けっこう大きい動物だったわよねぇ?飼えるのかしらぁ?』
『どうだろな?』
〖どの道、家畜はあとよ。探さなきゃいけないもの〗
ジーニ様の一言で家畜関係は一旦保留になりました。

ぴゅいきゅい『『はたけと、やしゃいは?』』
「だいこん♪ちょまちょ、に~んじん♪ほかにみょ い~っぱい!」
サーヤが歌いながら説明します。

『くっく これは、畑作らなきゃな。種はサーヤが出せるんだろ?』
『そうですね。後で畑にする場所を見に行きましょう』
アルコン様とギン様が楽しそうにするサーヤを見て、これは急がないとな。って言ってます。更に

「おこめ♪だいじゅ♪お~ちゃ♪」
〖お茶?お茶は飲み物じゃなかったの?〗
「はっぱかりゃ、できりゅの」
〖そうなのね〗
「あい!けんこう!びよう?」
〖作りましょう!〗
美容と聞いて飛びついたが、
『ジーニ様、まずは魔力きたえてからよぉ』
〖も、勿論よ ほほほ〗
精霊樹の精様からツッコミが…

『あとはぁ?』
〖『ゆずの化粧水!!』 〗
「ほぇ?」
今度はジーニ様だけじゃなくてフゥまで食いついた!
『サーヤ、言ってたわよね?』
「あ、あい」
フゥが近いです!
〖他にも何か塗ってなかった?〗
ジーニ様も近いです!
「え、えちょ、ゆじゅのたにぇちょ、なにかまじぇりゅ」
『柚の種と何か?たぶん、異世界辞書で分かるわね』
〖ふふふ。楽しみねぇ〗
こ、こわこわこわ

「あ、あちょ、はちみちゅちょ、あぶりゃ?いりょいりょできりゅ」
〖『はちみつ!?』〗
ぐりっと二つの首が蜂の女王様へ。女王様が突然話を振られてビクッとしている。更に追い打ちをかけるように
『あ~そうよねぇ。私の髪もお肌も蜂さんのおかげでツルツルだものね~』と精霊樹の精様が…

〖そう…〗
『そうなんですか。詳しく聞かないといけないですね』
〖『うふふふふふふ』〗
こ、こわこわこわこわっっ

「は、はちのじょおうしゃま ごめにぇ~」
サーヤは失敗したことに気づいた!
巻き込んじゃったはちの女王様と抱き合って震えていると、
『……』
女王様はぷるぷると首を振ってくれます

こ、こわいよ~
がくがくぶるぶる

しおり