第6話 【はじまり 其の6】
せかへい 外伝24
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第6話
【はじまり 其の6】
モンスター討伐の依頼を受けて、捜索をしていたイングリッドとグラオス。しかし、途中でこの世界に送られていたヤマブキと出会う。
ヤマブキから情報を得ようとしたグラオス達だったが、討伐依頼にあったモンスターの襲撃を受ける。
最初は余裕であったが、モンスターの腹から別のモンスターが現れる。そのモンスターと交戦する二人であったが、なかなか手強いのであった。
砂埃の舞う中、モンスターは立ち上がる。体に目立つ外傷はない。
「…………こいつ……A級よりも遥か上、それもS級でも上位の方だ」
グラオスはモンスターを見てそう言った。
モンスターにはランク付けがされる。F〜Aランク。世間一般ではそのモンスターが公表されている。
しかし、称号を持つ冒険者の中にはSランクのモンスター討伐依頼が存在する。
F〜Dランクまでは駆け出し冒険者や村の防衛隊が対処できるレベル。C〜Aは冒険者でも経験のある者、Aは熟練の冒険者が対処できる。
という形でランクが作られている。
しかし、実は熟練冒険者でも手強いモンスターSランクが存在する。
それは国家や世界規模の危険なモンスターであり、称号を持っている冒険者でも討伐するのは難しい。
「応援を呼ぶ?」
イングリッドは少し身体を宙に浮かせながら言った。
「そうしたいところだな……お前の足も気になるし……」
グラオスはそう言ってイングリッドの足を見た。モンスターに蹴りの攻撃をしてからだろうか、イングリッドの足は大きく膨れて腫れてきた。
「…………これくらいは問題ない」
イングリッドはそう言って強がるが、
「あまり強がるな。……毒だろ」
グラオスはそう言った。
グラオスはマントの中から小瓶を取り出す。
「とりあえずこいつを塗っておけ……。痛み止めにはなるはずだ」
そしてイングリッドに投げつけた。イングリッドは小瓶を受け取る。
「…………すまんな」
イングリッドが礼を言ったところで、モンスターが動き出す。
モンスターは身体についた土を払うように身体を振る。
その振り方はまるで犬のようだ。
イングリッドは腫れた場所に薬を塗りながら言う。
「あのモンスター。見たことある?」
イングリッドの問いにグラオスは首を振る。
「いや、知らないな……」
「そう……少し考えたんだけど、可能性として人工的に作られたモンスターという可能性もあると思う?」
「さぁな。だが、まるでキメラみたいな身体だしな。可能性としてはありそうだな」