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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(19)

 そんな立場の前魔王、佐多名衛門の助(サタナエモンノスケ)殿は、己の転生者である一樹の気持ちや。一樹の【姉さん】こと朱華嬢の気持ちなど考えずに、と、言うか?


 後先考えずに、魔王ルシファーさまを一樹のやると──。

 己の娘である魔王ルシファーさまを嫁にやるから大事にしろと安易に告げてくるから。一樹自身も顔色を変えながら動揺……。



「(ど、どうしよう? 爺さんは、簡単にルシファーさんを約束通りやると……。そう、嫁にやるから大事にしろと告げてくるけれど。俺は姉さんにどう言い訳をしたらいい……。それに爺さんは、ルシファーさまの気持ちも考慮しないで、安易に俺に嫁としてやると言っているけれど。ルシファーさんの気持ちを思えば……)」と。

 己の脳裏で思いながら、魔王ルシファーさまの顔を『チラリ』と凝視──。

 まあ、一樹自身も恐る恐るではあるのだが。魔王ルシファーさまの顔色を窺うのだ。

「(ルシファーさんが怪訝な表情をしていたらどうしよう……)」

 気落ちをしながら見て確認する。


「(……ん? あれ? ルシファーさん……。怪訝な表情と、言うか? 爺さんの話しを聞いても、彼女はこれと言って気にしている様子でもない……)」と。

 一樹は己の心の中で思う。と、同時に?


 魔王ルシファーさまと一樹は、目と目が合う。お互いの心と心が通じ合う。恋人や鴛鴦夫婦のようにね、だけではないのだ。

「別に勇者さま、わらわは、お父さまのお決めになったことに対して異存は御座いません。王家の娘は、父が決めたことは絶対で御座いますから。今後は宜しくお願いしますね……」と。

 一樹に会釈をしながらあっさりと呟くのだ。

「あなた~。わらわのことを可愛がってくださいね~」も添えてね。

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