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第12話 誤解?(2)

「いやぁあああ~。そんなことはない。そんなことはなしないよ~。僕は君を捨てるようなことはしない。しないから~。と、言うよりも? 僕は君をおもちゃにする。すると、言うか? 僕は君に対して疚しいことなど、何もしていない。していないからぁあああ~」と。

 この後に及んで、未だこんなウソや言い訳の言葉と台詞を魔王は、勇者である私へと、平然と告げる。告げるのだ。

 こんな命乞いまで含みながら。

「だからぁあああ~。助けてよ~。君~。お願い。お願いだからぁあああ~。僕の首──。喉元へと入っている。絞めている。君の二の腕を緩ませ、離し。僕のことを解放──。解放をしてよ。君~。お願いだからぁあああ~」と、だけではないのだ。魔王の奴は、更にこん台詞をも、勇者の私へと告げてくる。

「き、君は、何か、僕のことを誤解──。誤解をしている。いるようだけれど。僕は君が、不快感を募らせ憤怒! 怒りをあらわにしながら。寝ている僕を殺そうと襲う。襲うような疚しいことは一切していない。いないのだよ~。それに? 先程から君は僕のことを魔王と呼んでいるけれど。僕は、そんな架空の人物……。人物ではない。ないのだよ……。だから君の誤解。誤解だから。君の二の腕を離し。僕のことを解放。解放して欲しい。お願いだから。頼むよ。君……」


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