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63 眷属

『そういえば、先程お前たちはなぜ奇妙な踊りを踊っていたのだ?』

「うにゅ?」
きゅぴゅ『『う?』』
唐突な双子のお父さんからの質問に首を傾げるちびっ子同盟。なにせサーヤ本人は大真面目。その他はサーヤの真似をしていただけで踊っていたつもりはミジンコほどもないのだ。

『『『あ~』』』
『それはですね…』
『実は…』
『主神様が…』
と、主神が帰り際に落とした爆弾発言によりサーヤに名づけして欲しいものが長蛇の列を作ってしまったこと。サーヤが名前が思い付けなくて踊って「なやんじぇ!」コホン、悩んでああなっていたことをクゥ、フゥ、ギンが説明した。

話を聞いた父親ドラゴンは、呆れたようにため息をつきながら
『そういうことか。まったくあの主神様は…』
説明した三人も苦笑いしている。

『ですが、そういうことなら、全員に名を付けずとも良いのではないか?なあ、魔神様』
何か考えがあるのか父親ドラゴンがジーニ様に言うと

〖そうね。試しにあなた名前つけてもらったら? 〗

『ふむ。そうですな…』
何を言いたいのか察しているのか、簡単に言うジーニ様に、これまた簡単に納得する父親ドラゴン

『お、お待ちください!』
『どういうことでしょうか?』
フゥとクゥが慌ててたずねると、ジーニ様が、説明をしてくれました。

〖ん~そうね。眷属って分かるかしら?〗

『は、はい。何となく』
『一族なり種族なりのまとまりですよね?』
フゥとクゥが答えると

〖そう。その眷属の長と契約すれば、必然的にその下にいるもの達も従うことになるのよ〗
事も無げに言うジーニ様。

『あっ それじゃあ、今回の場合であれば、この森にいるそれぞれの種族の長に名前を付ければ大丈夫ってことですか?』
フゥとクゥが理解を示すと父親ドラゴンが肯定する。

『そうだ。そうすれば大分名付けをする数が減るのではないか?気に入ったものがいれば後から個として名をつければいいしな』

『なるほど』
『そういう事ですか』
フゥとクゥが納得したところで、双子ドラゴンの父親はサーヤに優しく向き直り、話しかける

『どうかな?サーヤ。試しに我と契約してくれぬか?そうすれば今は遠くに散っている我の眷属も力になるぞ』

「ふにゅ?けいやく?」
契約が何かわからないサーヤ

〖そうよ?〗
『そうですよ』
ジーニ様と父親ドラゴンは頷くがサーヤはイマイチな顔…

「おにゃまえ、ちょもだちと、かじょく、ちゅくりゅ、ちやう?」
サーヤにとって名付けとは友達や家族を作るということなのだ。

〖いいえ。違わないわ〗
ジーニ様が微笑みながら違わないと言う。
『ああ。サーヤ、私とも家族になってくれないか?』
双子のお父さんも優しい声で家族になって欲しいって言ってます。
契約とか難しいことは分からないけど、家族なら
「あい!かじょくなりましゅ!」
大歓迎です!

ぴゅ『おとうしゃんも?』
きゅ『サーヤと?』
『ああ。そうだな』
きゅぴゅ『『やった~』』
「やっちゃ~!」
みんな家族ーっ
ジーニ様に抱っこされたまま体を乗り出して双子とハイタッチ!となれば、当然…

「ありぇ?」
ずりーっ

『『わーっサーヤ!』』
フゥとクゥが叫んで

〖あっ!〗がしっ
魔神様がサーヤの足を慌ててキャッチ。ブランブラン宙ずり状態になったサーヤの顔面はとっさに下に滑り込んだハクの背中に……ずぼっ

〖あ、危なかったわね〗
『よ、良かった…』
『ハク、偉いわ』
『間に合って良かった~』
安堵する四人、そして、

ぴゅ「サーヤ、ぱんちゅ…」
きゅ「ぽんぽんも」
ぴゅきゅ『『まるみえ~』』
『モモ、スイ、そんな身も蓋もない…』
しくしく。いいもん。お顔はもふもふだもん!もふーんだ。

『あら?そう言えばジーニ様、エンシェントドラゴン様の提案、簡単に納得なさったわよね?』
『ん?そう言えばそうだな?まるで何を言うつもりか初めから分かっているようだったよな?…あれ?』
フゥとクゥがある可能性に気づいて、ジーニ様を見ると

〖な、なんのことかしら~?〗
と、顔を背けるジーニ様…

『『まさか…』』
『ジーニ様、初めから気づいて…』
『サーヤのゴロゴロを見る為に…』
『『わざと黙って…』』
ジトジトー

〖ほほ、ほほほ。なんのことかしら?〗
汗がダラダラ流れてますよ?

『『ジーニ様…』』
ジトジトー

ダラダラダラダラ…
〖あ~ん、ごめんなさ~い〗

ジーニ様、アウト!

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