第5話 【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の5】
せかへい 外伝 クリスマス
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第5話
【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の5】
デンボ山の頂上に着いたミリアとバイズ。しかし、そこにはサンタクロースはいなかった。
だが、
「あれは…………」
そこにあったのは木造で出来た小さな古屋だ。
「もしかして、あそこにサンタクロースが住んでいるのか!」
ミリアはそう言いながら古屋を見る。ミリアの言葉を聞いたバイズは驚いた。
「ま、まさか、本当に…………」
サンタクロースは想像上の存在だ。だが、本当に存在していたとしたら大発見になる。
ミリアは腰にある剣に手を置くと、
「バイズ、行くぞ……」
そう言うと古屋の方へとゆっくりと近づいていく。
「待ってください」
バイズもミリアの後ろを追いかけて古屋の方へと歩いていく。
古屋に近づくと二人は身体を低くして、古屋の壁に引っ付く。
そしてゆっくりと窓から中を覗いてみた。
中も木造のテーブルや椅子が置かれて質素な内装だ。中には温度を管理することができる魔道具も置かれている。こんな雪山に住んでいるのだから当然の装備だろう。
しかし、中に人影は見えない。
「ミリア様……いませんね」
「ああ、だが、さっきまではいたようだ。あれを見ろ」
ミリアはそう言うとテーブルに置かれたマグカップを指した。
「あのマグカップからは湯気が出ている。入れた手だ……」
バイズが中を見ると、ミリアの言った通りマグカップからは湯気が出ている。ということはさっきまではいたということだ。
しかし、この古屋の主はどこに行ってしまったのだろうか。
「古屋を一周してみるか……」
ミリアとバイズは古屋の周りを一周してみることにした。そして入り口の近くを通った時、何が発見した。
「…………み、ミリア様!!」
「なんだ…………っ!?」
そこで発見したのは雪に埋もれた人間だ。
「バイズ、すぐに救出しろ!!」
「はい!!」
バイズは雪に埋まっていた人間を引き摺り出す。ミリアはその間に古屋の中に入ると魔道具を起動させて古屋の中の温度を上げた。
「早く入れろ」
バイズは雪の中に埋まっていた人物を背負い、古屋の中へと入れる。
そして古屋にあったベッドに寝かせた。
しばらくしてその人物は起き上がった。
「ぐっ…………わしは今まで何を…………」
その人物は白髪に白い髭を生やした老人であった。意識を戻した老人にミリアは聞く。
「何があったんだ。…………サンタクロースに襲われたのか?」
それを聞いた老人は首を傾げた。
「サンタクロース?」