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 第3話  【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の3】

 せかへい 外伝 クリスマス


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第3話
 【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の3】




 負けたバイズはちょっとしょげていた。しかし、ミリアの成長は嬉しい。



 ずっと隣で見てきたのだ。そしてこれからもお守りするつもりだ。



 バイズは剣をしまうと気になっていたことを聞いた。



「なぜ突然手合わせなどと言い出したのですか?」



 それもミリアが得意としている短剣の二刀流ではなく、通常の剣による腕試し。



「ああ、そうだな、そろそろお前にも伝えておこう。……手伝ってもらわなければならないしな」




「私にできることなら何なりと……。それでなんでしょうか?」



「サンタクロースを捕まえる!!」



 それを聞いたバイズは首を傾げた。



「サンタクロース? なんですかそれは?」



 バイズには聞き覚えのない単語だ。新手のモンスターの名前だろうか?



「先日ある書物を読んだ。その中で異界にはこの季節にサンタクロースというおっさんが現れて、良い子にプレゼントをあげるらしい」



「ほぉ、また変わった話ですな」



 ミリアは屋敷の方を見る。



「異界では良い子にプレゼントをあげるのに、なぜこの地ではそれがないのだ。不公平ではないか」



「まぁ、そうですね」



「だから私はそのサンタクロースというものをとっ捕まえて、我が妹達にプレゼントをあげされるのだ!!」



 それを聞いたバイズはミリアのことが可愛く見えてきた。
 さっきまで騎士である自分のことすら倒してしまったこと少女の、子供ぽい一面を見た気がする。



 そしてミリアの説明を聞いていたバイズはちょっとだけ思い出した。だからこそミリアが可愛く思えてしまったのだ。



 前にフルート王国で騎士として働いていた時に、そのサンタクロースというものの話を聞いたことを思い出した。
 その時は名前が間違えられていたのか、名前を聞いただけではしっくりとこなかったが、説明を聞いて思い出した。



 雪の降る季節に、赤い服を着た老人が子供達にプレゼントを配ると言う話。だが、それは異界でも作り話である。
 実際にはサンタクロースという人物は存在せず、私達の想像上で存在しているだけである。



 しかし、ミリアはやると言ったらやる人間だ。それにそういうものを信じているのが少し可愛いし、見守ってみたい。



「分かりました。でも、そのサンタクロースを捕まえに行くのですね」



「そうだ。だからお前も着いてこい。バイズ、私とお前ならどんな強敵であろうと、必ず屈服させることができる」



 ミリアの中では、サンタクロースはどんな凶暴な存在とされているのだろうか。






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