第1話 【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の1】
せかへい 外伝 クリスマス
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【貴族の妹達に幸せを!(クリスマス) 其の1】
ヤザ村。そこはレンガ作りの建物が多く立ち並ぶ村だ。村の入り口には大きな道があり、そこを進むと村の中央にある広場に着く。
そこには英雄を題材にした銅像が置かれており、村の守護と繁栄を示している。
そんな中央からさらに進んだ先にある屋敷がある。村で一番大きなお屋敷。そこは村を収めている貴族ニーオン家のお屋敷だ。
ニーオン家は十二貴族と呼ばれる大貴族の一つであり、王族と同じく、魔法文明を作ったとされるマジーの子孫だと言われている。
そしてそのマジーの血を持つものが使えるとされる固有魔法。それを使いこなすこともできる。
さらにニーオン家は王族との繋がりが強く、現当主のゴード・アドラス・ニーオンはオーボエ王国とフルート王国の戦争の際に大きな功績を残しており、現在のオーボエ王国の王とは強い繋がりがある。
そんなニーオン家。そこには三人の娘がいる。
屋敷の庭で剣を振る練習をしている黒髪短髪の少女。彼女の名前はミリア・アドラス・ニーオン。
ニーオン家の長女であり、今のニーオン家を継ぐことになっている。
正義感が強く、行動力もある。上品さには欠けるが、人々のことを考えて行動することができる心優しい少女だ。
ベッドの上で身体を休めながら、窓から娘の様子を見ていると、扉が叩かれた。
「入って良いぞ」
すると、中に入ってきたのは黒髪の小さな少女達。まだミリアに比べるとかなり小さい。
彼女達はサリスとミーニャ。
ミリアとは少し歳の離れた妹達である。
サリスはミリアに違い短髪だが、癖毛がありよく髪が跳ねている。ミーニャは肩まである髪で二人とは違い髪を伸ばしている。
「お父さん、見てください!!」
「これ面白い!!」
二人は双子であり、亡き妻が最後に残してくれた力である。
そしてベッドから腰を曲げて二人を見た。
ゴード・アドラス・ニーオン。今の屋敷の当主であり、この村を管理している。
過去には大魔法使いとして王国で名を残した有名な魔法使いだった。
だが、戦争で身体を動かすことが困難になり、今は昔から体が弱かったが、戦争以降持病が悪化してしまい、こうして一日中部屋で過ごすことがほとんどだ。
「どうしたんだ?」
ゴードは二人が持ってきたものを見る。
サリスとミーニャはゴードに近づくと持ってきていた本だ。
「良い子にしてると、サンタさんがプレゼントをくれるんだって!!」