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 第3話  【雪山の温泉 其の3】

 せかへい 外伝21


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第3話
 【雪山の温泉 其の3】



 旅館に着いたパト達は荷物を整理した後、日が落ちるまで外で遊ぶことにした。



 雪は村で降る雪よりも多く、気をつけないと腰まで浸かってしまう場所もある。
 パト達は旅館のすぐ側の広場を借りて、雪遊びを始めた。



 ヤマブキは寒いのが苦手で、まるで雪だるまのように厚着をしている。



「ヤマブキさん、寒いの苦手なの?」



 カナーが聞くと、ヤマブキは頷く。



 すると、カナーは雪を集めて何かを作り始めた。



「ほら、あんた達も手伝いなさい」



 雪を投げ合って遊んでいたパト、エス、ルンバを手伝わせると、カナーはかまくらを作った。



 雪で出来た人が二人くらい入れそうなスペース。中に入ると意外と暖かい。



「おー、良いなこれ」



 パトとエスができた瞬間に入って、そんな感想を言っていると、



「ほら、あんた達は出なさい」



 カナーに引っ張り出された。



「なんだよ〜」



 エスが口をとんがらせて文句を言う。しかし、カナーはエスのことなんて気にかけていない。



「ほら、ヤマブキさん、どうぞ」



 カナーはヤマブキを中に入れてあげる。すると、ヤマブキは暖かくて良いのか、結構気に入った様子だ。



 パトはかまくらを作ってくれたカナーに礼を言う。



「ヤマブキさんのために作ってくれたのか。ありがとう」



「まぁ、来る時も寒そうだったしね」



 寒いけどみんなと遊びたかったのだろう。苦手な寒さなのにヤマブキはついてきた。



 ヤマブキはかまくらの中で雪を集めて、小さな雪だるまを作って遊んでいる。



「俺はヤマブキさんと一緒に遊んでるよ」



 パトはそう言ってかまくらの中に入る。



「分かった。このバカ二人は私が雪まみれにしてくる」



 カナーはそう言うと、エスとルンバの首を両脇に挟みそのまま連れて行く。
 ルンバは少し怯えていたが、エスは興奮してた。



 二人になったパトとヤマブキはかまくらにある雪を集める。



 ヤマブキが小さな雪だるまを完成させる。ヤマブキは自分の作った雪だるまを手のひらに乗せると、表情には出さないが嬉しそうに見つめている。



「お、そっちも完成したか。俺もできたぜ」



 ヤマブキの完成から少し遅れてパトも何かを完成させた。それは雪で作られたエビフライ。かなりクオリティ高く作られている。



 ヤマブキはパトの作った雪エビフライを見て驚く。



「俺なんだかんだで器用なんだ。このゴーグルだって昔父ちゃんに貰ったものなんだが、壊れるたびに自分で直してるんだ」



 パトはそう言うとゴーグルを自慢げに見せる。しかし、ヤマブキはそんなゴーグルには興味なく、雪エビフライをじっと見ていた。



「おい、食えないからな」




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