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44 続・愛し子が寝ている間に(クゥ視点)

『神様、もうひとつ気になることがあります』
おれは聞いていいのか迷いつつ、聞かずにはいられなかった

〖なんだい?〗
主神様はおれが何を聞きたいのか気づいておられるようだった

『さきほど主神様は〖確認したいことがある〗と仰いました。それは…』
嫌な予感がするのだ。ずっと
『それにさっき、主神様がサーヤにしていたのは…』
サーヤの頭に置かれた主神様の手は光っていた。まるで、暗示をかけているようにも見えた。
『主神様、サーヤの記憶は、もしかして⋯』
まだ⋯

一度空を仰いだ主神様は
〖はぁ…そうだよ。クゥ、君が考えている通りだ〗

やはり…外れていて欲しかった。
思わず膝の上で拳を握るクゥ…

〖さっきは後をシアに頼んだと言ったけど、やはり時間が無くてね。シアもギリギリまで頑張ってくれたけど、サーヤの魂の修復は完全には出来なかったんだ。さっきは僕が離れた後、どの位修復を進められたか、それを確かめたんだよ〗
悔しそうに話しだす神様。
ジーニ様がその神様の肩に手を置く。大丈夫だと言うように。

〖ヤツからサーヤを隠すためとはいえ、途中で諦めるしか無かった…いや、この先に賭けるしかなかった。この世界で生きる為に体は先に作らねばならなかったからそちらは大丈夫。ここで鍛えれば更に丈夫になるよ〗

『では…やはり』
不完全なのは

〖そう。記憶だ。私は嫌な記憶を全て消して、おばあちゃんとの楽しい記憶だけ残したかったんだ。だけど、記憶は複雑に絡みあっている。操作するなど簡単ではない。ヤツの気配を感じたのは正に最後の仕上げをしようとしているところだったんだ。粗方の記憶の整理は済んでいた。だから、これからの周りからの支えと、サーヤ自身の強さと成長に賭けようと思った。運が良ければ自分が思うより悪い記憶は消せているかもしれないという思いもなかったとは言えないかな〗
自嘲気味に主神様は続ける。

〖結果は、思ったより問題は根深かかった…でも、希望も同時に生まれた。「自分はいらない子」そう言ったサーヤに、君たちが希望と自信を与えてくれただろう?あの時、逆にこれで良かったんじゃないかとさえ思ったんだ〗

いつの間にか俯いて聞いていたおれたちはバッと主神様のお顔を見た。優しく微笑んでいるお顔を

〖君たちがいてくれれば、サーヤは乗り越えられる。むしろ強くなれる〗

ジーニ様も優しく頷いている

〖そう思ったんだ。サーヤに後からしたことはおまじないみたいなものだよ。必要以上に暗い記憶に引きずられないように、おばあちゃんとの楽しい記憶をたくさん思い出せるように〗

主神様はおれたち全員を見渡して続ける
〖ここにいる皆の力と思いがあればサーヤは大丈夫。そのために我々も協力を惜しまない。どうか、力を貸して欲しい。よろしく頼む〗
そう頭を下げてくれる主神様とジーニ様。その後ろに他の神々の姿も見えた気がした。

『主神様、ジーニ様、それに神界にいらっしゃる神様方、おれたちを信じてくれてありがとうございます』

フゥと目を合わせる。フゥもみんなもきっと同じ気持ちだ。
『私たち、必ずサーヤを守ります。一緒にいられるように強くなります』
『我らも同じ気持ちでございます』
『おれたちからもお願いします。サーヤを守るために、一緒にいるために、おれたちに力を貸してください』
『『『よろしくお願いします』』』
みんなで頭を下げてお願いすると、
神様たちは優しく微笑んでくれた。

きっと大丈夫。おれたちはきっと強くなる。

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