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 第1話  【雪山の温泉 其の1】

 せかへい 外伝21


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第1話
 【雪山の温泉 其の1】



 サージュ村の村長の家。そのうちの部屋に六人の男女が集まっていた。



「おい、お前ら俺の部屋で何してるんだよ」



 パトが集まっているメンバーを見ながら言う。



 そこにいるのは、門番でありパトの友人のエスとルンバ。そして村にある銭湯で働く娘でありパトの友人のカナー。
 さらにパトの家に住み着いているヤマブキと、天才魔法使いで王国で学生をしているはずが、たまにこうして帰ってきているエリスがいた。



 金髪の少年エスと茶髪の少年ルンバ、そして緑髪で二つのお団子髪のカナーは部屋の真ん中の床で円を作るように座っている。
 ヤマブキはその円から少しズレた場所で座って窓の外を見ている。エリスはベッドに座り腕を組んでいる。



 カナーが円の中央に小さな紙を置く。それは縦長の紙だ。



「当たったのよ」



 カナーはその紙を置くとそう告げた。
 パトは不思議そうに返す。



「何が?」



「温泉旅行のチケットがよ!!」



 カナーは嬉しそうにそう言った。エスとルンバは浮かれており、エリスほやれやれとした表情をしている。
 そしてヤマブキはずっと外を見つめている。



「あー、あれか。少し前に応募してたやつか」



 少し前にパト、エス、ルンバの三人で村の銭湯に行った時、カナーと喋り、銭湯においてあるチラシに適当に応募したことがある。
 それは温泉旅行の応募であった。



「それでこのメンバーはなんだ」



 パトはそう聞く。



 意外と珍しいメンバーだ。エスとルンバ。そしてカナーは分かる。しかし、エリスはともかくヤマブキはこのメンバーとあまり接点がなかったはずだが……。



「これ六人までいけるんだよ」



 ルンバが説明する。



「メンバーどうしよっかって話をしている時にちょうどエリスちゃんが帰ってきてるのを見つけてね。ヤマブキさんも一緒だったからどうかって」



 エリスはなんだかんだでよく帰ってきている。今回も少し前から帰ってきてはいたが、みんなには知らせてなかったのか……。



 というかメンバーはかなり適当感があるが、まぁ、刺そうとしたらこの二人しかいないから、ちょうどよかったのか。



「分かった。そういうことか。でも、二人ともいけるのか? 予定とか大丈夫か?」



 パトはエリスとヤマブキの二人に聞く。



 まずエリスが答える。



「私は問題ないよ。どうせ暇だし」



 お前は暇じゃないだろって思ったが暇だからここにいるんだ。



 次にヤマブキが外を見ながら答えた。



「私モ問題アリマセン。…………旅館料理……」



 食べ物で釣られたらしい。


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