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第10話 わらわは♂これで魔王をやめました(4)

 まあ、一樹はこんな調子だよ。いくら自身の精霊であるたぬきの御老体から。麗しい魔王は『儂の末の娘だ!』と告げ、説明をされても『ピン!』と、こないと言うか? 彼は実感が湧かない。

 だって余りにもお二人の容姿……。麗しい妖艶、容姿端麗な魔王さまと、設樂焼のたぬきの容姿をした御老体では余りにも容姿が違い過ぎるから。

 自身の腕を組み、魔王さまとたぬきの御老体を交互に見詰め、確認をしながら。

「本当に魔王さまは、爺さんの娘なのか?」

 と、嘲笑い、と、いうよりも?

 一樹は苦笑しながら、鼻で笑い告げるのだよ。

「はぁ~。一樹~。お前なぁ~。儂の今の容姿を凝視──。苦笑しながら。嘲笑っているようだが。生前の若かりし頃の儂の容姿を笑えば一樹! 己自身の容姿も笑うことになるのだぞ、一樹! お前は儂の転生した姿なのだから。今のお前の容姿は、儂の若い頃に瓜二つと言っても良い程。容姿は似ているのだから」と。

 自身の設樂焼たぬきの容姿を嘲笑う一樹に対して、たぬきの御老体は、不満を漏らすのだよ。一樹自身は、自分の転生した姿なのだから。自分を嘲笑うと言うことは、己を嘲笑い、苦笑をするのと変わらぬと。

「まあ、確かに、そうだけれどさぁ……」

 たぬきの御老体の不満を聞かされた一樹は、苦笑いしながら言葉を返す。

「えっ? そうなのですか? お父さま? 勇者は~、ではなくて。わらわの目の先にいる勇者さまは、お父さまの転生した姿なのですか?」と。

 二人の会話……。



 そう、勇者見習いである一樹とたぬきの御老体の会話を聞いた魔王さまは、驚愕しながら自身の父である。たぬきの御老体へと訊ねる……だけではない。

「あ、あの? 本当にわらわにお父さまなのですか?」とも。

 たぬきの御老体へと、相変わらず驚愕した表情で問いかける。

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