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36 女神様もがんばっていた

神様のお話は続きます。

〖それとね?その双子のドラゴンの子達なんだけど〗

『『え?』』
きゅい『ぼく?』
ぴゅい『あたち?』
フゥとクゥは突然モモとスイの話になってびっくり。
モモとスイも自分たちを指さして主神様に確認している。

〖そう。君たちだよ〗にっこり
主神様に優しく微笑まられて肯定されたモモとスイは、びっくり顔でお互いの顔を見つめています。

〖ふふ。君たちが珍しいのは、色だけじゃないんだ。もちろん、双子と言うだけでもない。君たちのお父さんがね、ちょっと特別なドラゴンなんだ。それでね、君たちは複数属性の持ち主なんだよ。一匹でも強いけれど、二匹で力を合わせたら素晴らしい力を発揮できるんだ。だから、ずっと仲良くしてね。きっと強くなってサーヤを守ってくれる。それにサーヤは動物が好きでね。よく庭に遊びに来る動物と遊んでたんだ。もふもふーって、言いながら〗

もふもふ。この言葉で一気に場が和んだ
『ふふっ、もふもふ』
『それはさっきので想像できます』
『すごかったもんね~』
『ぼく食べられちゃうかとおもったもん』
あはははは

そんな和やかな空気の中、意気込む二匹が
ぴゅいぴゅい『かみしゃま、かみしゃま』
きゅいきゅい『ぼくたち、つよくなる?』
興奮気味に主神様に詰め寄る。

〖うん。大丈夫。君たちも特別だ!必ず強くなれるよ〗にこっ
モモとスイに太鼓判を押す主神様。

きゅい?『ほんと?』
ぴゅい?『とくべつ?』

〖ああ特別だ!でも頑張らなきゃいけないよ?それに、今よりもっともっと仲良しになるといいね〗
神様が屈んで二匹に視線を合わせて話しかけると

きゅい!『がんばるよ!』
ぴゅい!『つよくなるよ!』
ぴゅいきゅい『『もっとなかよち!!』』
きゅいぴゅい!!『『サーヤまもるよ!!』』
二匹は腕を組んで元気よく宣言!

〖偉いね!頼むよ〗にこっ
そんな二匹の頭を優しくなでなでする主神様。

きゅいぴゅい『『あい!』』
約束だね!

その光景を見ながら、みんなも同じことを決意していた。

強くなって、団結し、サーヤを守る

〖ありがとう。それから、女神の件なんだけどね?どうか怒らないでやって欲しいんだ。ヤツからサーヤを奪い返した私は急いで神界に戻ったんだ。そして女神と二人がかりで急いで愛し子の魂の修復をしていたんだけど、あと少しというところでヤツが探している気配を察してね? 〗

皆、主神様の話を静かに聞いている。

〖私は後を女神に託し、仕方なく途中でその場を離れ、ヤツを探し、サーヤを隠すことに力を入れたんだ。だが、ヤツの気配が小さくてなかなか掴めなくてね。戸惑っている内に女神の存在に気づかれてしまったようなんだ〗

主神様はその時のことを思い出して辛そうな顔をしている。苦渋の決断だったのだと伝わってくる。

〖その時の女神はね、なんとか目覚めてくれたサーヤに、これから新しい世界でして欲しいことを伝えていた時だったんだ〗

新しい世界で?
『あっ、サーヤが言ってた温泉とか畑とか?』
『先ほど主神様が教えてくださったおばあちゃんとの?』
フゥとクゥが思い出したようです。

〖そうだよ。おばあちゃんとしていたこと、楽しかったいい記憶だけを思い出してもらえるために、そして気負わずこれから暮らしてもらうために。本人曰く、そう思ったら、わざとああいう軽い言い方をするしかなかったそうなんだけどね?ドラゴンたちを託そうとした辺りでヤツの気配を感じたらしいんだ。だから早く逃がすためにああいうことになってしまったと謝っていたよ〗

苦笑いしながら神様があの時の女神様の置かれた状況を説明すると、更に思わぬ所から声が

ぴゅいきゅい『『あのね?』』
ぴゅい~『めがみしゃまにおねがいされたの』
きゅい~『わざとめがみしゃまにかみついてって』
双子がもじもじしながら話し始めました。

〖え?モモ、スイ、それは本当?〗
これは主神様も初耳だったようだ。目を見開いて驚いている。

ぴゅい『うん。ほんちょ』
きゅい『ぼくたち、めがみしゃま』
ぴゅいきゅい『『だいすきだもん』』
ぴゅい~『でも~なかよくしてたら』
きゅい~『サーヤがつれてってくれないかもって』
モモとスイが悲しそうに言います。

〖それで女神が噛み付いてって言ったんだね?〗
ぴゅい『うん。サーヤとね』
きゅい『なかよくしてねって』
〖そうか。ありがとう、モモ、スイ。娘のお願いを聞いてくれて〗
ぴゅいきゅい『『かみしゃま』』
〖なんだい?〗
ぴゅい~『めがみしゃまに』
きゅい~『ちゅたえてくれる?』
〖うん。何て伝えたらいいかな?〗
ぴゅい~『おてて』
きゅい~『いたくちて』
ぴゅいきゅい『『ごめんね』』
ぴゅい~『いっちょ』
きゅい~『あしょんでくれて』
ぴゅいきゅい『『ありがちょ』』

モモとスイのおめ目がうるうるしてます。
短い間だったけど、モモとスイを保護して面倒を見ていたのは女神シアだ。可愛がっていたのも知っている。

〖分かったよ。必ず伝えるからね〗
主神様がモモとスイを抱きしめて約束します。
ぴゅいきゅい『『うん!』』
モモとスイはようやく笑顔です。

『そうだったのですね』
『サーヤから話を聞いた時は驚いたのですが、そういう事でしたか』
『神様、女神様にお伝え頂けますか?サーヤを助けてくれてありがとうございましたと…』
『それから、失礼なことを思ってしまって申し訳ありませんと』

『『『申し訳ありませんでした』』』
森の主様とフゥ、クゥは心からここにはいない女神様に感謝と謝罪を込めて、頭を下げた。

〖ハハ 大丈夫。伝えておくよ。それから気になってることがあるから確かめたいんだ〗

『確かめたいことですか?』

森の主様の質問に主神様は答えることなく、複雑な表情を浮かべた。

〖 ……さて、それじゃそろそろサーヤを起こしてサーヤの能力について話そうか〗
そう言うと、サーヤがぽうっと光って、ゆっくり目を覚ました。

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