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31 神様降臨

サーヤが寝てしまったのを確認した時、急に泉に一筋の光が降りてきた。
そしてその光の中に金色に輝く髪と目を持つ美丈夫が立っていた。
只者ではない雰囲気を感じ取り、皆が無意識に膝をつき頭を垂れる。まさに神々しいという言葉が相応しい姿。その人物は…

〖いいよいいよ。皆、頭を上げてくれるかな。僕は堅苦しいのは苦手なんだ〗
神々しい光を纏ったまま水音も立てずに水面をこちらに歩き出した。そして、にっこりしながら語りかけてくる。

『お、畏れながら、神様であらせられますか?』
森の主様が少し震える声で尋ねる。

〖そうだよ。この世界の主神イリュースだ。君の夢に神託を下ろしたのも私だよ。無事に愛し子たちを迎え入れてくれてありがとう〗
『い、いえ。そんな、もったいないお言葉…』
目の前に降臨されたイリュースと名乗る主神様に、森の主様は再び頭を垂れる。そして、

〖それでね、愛し子を突き落とした女神シアというのは、私の娘なんだよね~。ははは〗
主神様はいきなり爆弾を落とした。

『は?』
『『え?』』
ぴゅきゅ?『『へっ?』』
『『『『『ええ?』』』』』
これには流石に主様だけでなくフゥ、クゥ、モモとスイ、森のみんなまで反応した。

〖いやあ、まさか僕も突き落とすとは思ってなかったんだよ~?ほんとごめんね。あっ女神はちゃ~んと叱っといたから許してあげてくれると嬉しいな〗てへっ
てへっと笑う主神様。さっきまでの威厳は、威圧感はどこへ…!

この時一同の思いはひとつになった。
この神様軽っ!!!間違いなく残念女神様の父親だ!!!と…だが、

〖それでね。ここからは真面目な話なんだけど〗
再び急に変わった雰囲気に皆ハッとする。皆もこれからの話を聞くために姿勢を正す。

〖愛し子…今はサーヤだったね。ありがとう。あの子に名前をつけてくれて。とても良い名だね〗
主神様がフゥとクゥに目線を合わせ、微笑みながら礼を言う。

『い、いいえ』
『とんでもない』
神に話しかけられて戸惑いながらも答えるクゥとフウ。

〖サーヤから少し話は聞いたよね?その時に、あの子が間違えて違う世界に生まれてしまったといて聞いると思うんだけど、実は少し違うんだよ。サーヤにはまだ聞かせたくないんでね、私がサーヤを眠らせたんだ〗
サーヤには聞かせたくない話と聞いて、みんながハッとしてクゥに抱っこされて眠っているサーヤを見る。
サーヤは気持ちよさそうにすやすや眠っている。

〖これから話すことはサーヤには時が来るまで知られたくないんだ。今はここにいる皆の中だけの話にして欲しい。頼む〗
そう言って頭を下げる主神様…。
神が頭を下げるなんて…!そんな驚きの姿を見せられた皆は、目を合わせ、頷く。

『かしこまりました。一同他言はしないとお約束いたします』

代表して森の主様が答えると、みんな主神様を向いてしっかりと頷く。みんなの目には決意が宿っていた。

主神様は、その目をしっかりと見つめ返し
〖ありがとう。やはり、君たちを選んで正解だった。では聞いてくれ〗

いよいよ、神の話が始まる。

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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)mしばらくシリアスになります。

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