27 みんなが大好き
お読みいただきありがとうございますm(*_ _)mお気に入り登録、フォロー、応援などとても嬉しいです。ありがとうございます。
土日は一日三話更新予定です。よろしくお願いしますm(_ _)m
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
急に叫びはじめたサーヤ。びっくりしたクゥやもふもふたちも集まってきた。
ぴゅきゅ『『サーヤ?』』
『ど、どうしたの?』
『サーヤ?話せるか?』
泉に映る姿を見ておかしくなったサーヤを双子や、駆けつけたクゥたちも心配して囲んでいる。
サーヤは相変わらず水面に映る姿を指差して
「あ、あれ。さーにゃ、
と、言ってぷるぷる震えている。
ぴゅ?『え?ちがう?』
きゅう?『どうゆうこと?』
双子がサーヤはサーヤだよと、オロオロしてます。
そこへ森の主様がゆっくり隣にやって来て
『愛し子様。もしや、愛し子様は世界を渡る時に姿が変わられたのではないですか?』
と、話しかけてきました。
「ふえ?」
姿が変わった?
『あっ!そういえば、女神様に「すこ~し若返っちゃったけど」とか言われたとか言ってなかった?』
フゥがサーヤから聞いた女神様のお話を思い出してサーヤに聞くと、
「あい。
それに、こんなお人形さんみたいに可愛くなかったよ。
『色?何色だったんだ?』
クゥがサーヤが落ち着くように背中を撫でながら聞いてくれます。
「
そう、みんな黒だった。今は銀色のつやつやの髪に、銀色の目、白い肌、ぷくぷくしたほっぺは健康的な赤みがさしているし、唇もぷるぷるしてる。
「
そう…あんまり思い出せないけど、決して健康的とは言えなかった気がします…
『そうですか。ではやはりこちらに渡られた時に変わってしまったようですね』
森の主様が静かに頷きます。
『なるほど。若返っただけじゃなかったんですね』
『でも、今のサーヤはとっても可愛いからいいじゃない?』
クゥとフゥが森の主様の言葉に納得しながら、可愛いんだからいいんじゃないかと言うと
「さーにゃには、
『もったいない?なんで?』
思ってもみない言葉が返ってきてみんなが驚いていると更に
「さーにゃ、かわいくにゃい、やくたたじゅ、わりゅいこ、いりゃないこ」
『『『『………』』』』
思いもよらない自分を全否定するような言葉が返ってきて、皆黙り込んでしまった。何よりそれを言うサーヤの顔が全くの無表情だったのだ。さっきまでの豊かな表情は欠けらも無い。そしてゾッとするような抑揚のない声…
『…そんなこと言われてたのか?』
クゥが静寂の中、何とか言葉を絞り出した。
「あい。
相変わらず無表情のサーヤが答える
『じゃあ、おばあちゃんは?』
今度はフゥが優しく聞くと
「おばあちゃん?」
表情が無くなっていたサーヤの表情がピクッと少し動いた。それを見たフゥは重ねて聞く
『そう。お名前のヒントくれたおばあちゃんよ。おばあちゃんはなんて言ってたの?』
フゥはサーヤを落ち着かせるようにゆっくり静かに話しかけます。その間もクゥは優しくサーヤの背中をさすっています。
おばあちゃん?おばあちゃんは…
「かわい、やさしい、いいこ、いってくりぇた」
サーヤが思い出しながら答えます。
『そう。あとは?』
もう少し、引き出そうとするフゥ、
みんなはそのやりとりを静かに見守っている。
「いっちょ、うれちい。ぽかぽかしゅる ゆってちゃ」
おばあちゃんはやっぱりサーヤを大事にしてくれていた。
『うん。私はおばあちゃんが言ってたことが正しいと思うわよ』
『うん。おれもそう思う』
ぴゅ!『あたちも!』
きゅ!『ぼくも!』
フゥとクゥも、モモとスイもおばあちゃんが正しい!と自信たっぷりに言いました。
「え?」
優しくて強いみんなの目が、真っ直ぐ自分に向けられていることにサーヤが驚いている。
『だって、最初に会った時のサーヤなんて言ったか覚えてる?』
フゥが頭をなでなでしながら思い出してみてと言う。
「さいちょ?」
お空落っこちてる時?
『覚えてないか?「ドラゴンさん助けて」「ドラゴンさん、おちちゃう。死んじゃう、ダメ」って言ったんだぞ』
クゥが仕方ないなぁと教えてくれます。
「あい。いっちゃ」
それは覚えてるよ。
『でもね、あなた自身を助けてとは一度も言ってないのよ』
フゥがもう一度思い出してみてって言いました。
「しょうだっちゃ?」
わたしは覚えてなかったけど、フゥが『そうよ』って言います。
『そうそう。だから俺たちサーヤと契約したんだぞ。自分を助けてじゃなくて、こいつらを助けてって言った変なやつだからな』
ニカッとクゥが笑いました。
ぴゅいぴゅい『サーヤやさしいよ』
きゅいきゅい『サーヤあたたかいよ』
ぴゅいきゅい『『サーヤがまもってくれたよ』』
双子がきゅっと抱きついてくれます。
『ね?私たちだってサーヤのおかげで強くなれたのよ。それも忘れちゃった?』
『そうだぞ。サーヤの暖かい魔力のおかげで体もこんな大きくなったんだ。サーヤと会わなかったら俺たちはまだ手のひらサイズだったんだぞ?』
「あっ」
サーヤも名前をつける前のフゥとクゥの姿を思い出したようです。
『ね?サーヤはすごいでしょ?私たちの大好きな自慢の家族よ。ね?おばあちゃんは正しいでしょ?』
フゥとクゥはにこって笑いながらサーヤのおかげだって、自慢の家族だって言ってくれます。じゃあ、
「さーにゃ、いらないこ、ちやう?」
『絶対違うわ。そんな悲しいこと言わないで。みんなサーヤが大好きなんだから』
『そうだぞ。これ以上おれたちの大事なサーヤを悪く言ったらおれたちみんな本気で怒るぞ』
ぴゅいぴゅい『そうだよ!サーヤ!』きゅいきゅい『だいすきなサーヤに』
ぴゅういきゅい『『いじわるゆっちゃメッ!』』
フゥとクゥも、モモとスイも今度は怒ってくれてます。
キキッ『メッ』
チチっ『愛し子様』
キャン『かわいいよ』
『『『いいこだよ!』』』
会ったばかりのもふもふたちや妖精さんたちまで怒ってくれてます。そして、
『愛し子様。ここにいる者は皆、あなたを歓迎していますよ。あなたから出ている魔力はたいへん温かく、ここにいる誰のものより清らかだ。あなたはいるだけで周りを癒しています。ここにいる者であなたを悪く言うものは一人もいませんよ。安心してください』
森の主様が安心してここにいていいって優しく言ってくれてます。
『ふふ。ね?だから泣かなくていいのよ?』
フゥに言われて気づきました。いつの間にか泣いていたみたいです。一度自覚してしまったら止まらなくなって、気がついたら声を出して泣いていました。