第4話 【ベアウルフ討伐イベント 其の4】
せかへい 外伝15
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第4話
【ベアウルフ討伐イベント 其の4】
リトライダーがベアウルフに短剣で斬りつける。しかし、奇襲に気付いたベアウルフは後ろに飛び上がって躱した。
「ダズ!!」
ベアウルフに攻撃を躱されたリトライダーはダズの名前を呼び、援護を指示する。
「了解っす!!」
ダズはベアウルフを狙うのではなく、近くの木を殴って倒す。
ダズのスピードではベアウルフを攻撃することはできない。そのためダズが行うのは援護だ。
ダズが倒した木はベアウルフを囲うように倒れる。そして木によりベアウルフの逃げ道を塞いだ。
だが、一つだけ道はある。それはリトライダーの待ち受ける道。こうなってしまったベアウルフの取る選択肢は一つだ。
リトライダーを倒して広い場所に逃げること。
ベアウルフは飛び回って勢いをつけると、リトライダーに噛みつこうと突撃してくる。
リトライダーはまず自身に魔法計算を行い、自身に魔法を付与する。
今までリトライダーはこの場面では軽量化の魔法を自身に付与していた。
軽量化の魔法は身体が軽くなる魔法であり、自分や装備につけることで移動速度を上げることができる。荷物につけると移動が楽になる魔法だ。
しかし、その分、攻撃力が下がってしまうのが弱点であった。
リトライダーはこの魔法を使うことでベアウルフと同等のスピードを出すことができた。
実際にそれはリトライダーの得意分野であり、冒険者試験でもこの魔法を使って合格した。
だが、この魔法ではベアウルフを討伐することはできない。それは攻撃力が下がってしまうことで、ベアウルフにダメージを与えられないからだ。
そのため、リトライダーは作戦を変えた。
今までは一人で戦っていた。しかし、今は違う。仲間がいるのだ。無理して自分がダメージを与える必要はない。
「ミエ!! 頼む!!」
リトライダーはミエに魔法の付与を指示する。
「任せなさい!!」
ミエは杖をリトライダーに向けると、リトライダーの周りに空気の鎧が出来上がる。
「空気の鎧(エール・アルミュール)」
リトライダーはベアウルフに向けて腕を差し出す。
「さぁ、来い!!」
リトライダーの出した腕をベアウルフは噛み付く。しかし、空気の鎧があることで牙はリトライダーの腕を砕くことはなく。
リトライダーの腕に牙は刺さったが重傷というダメージではない。
リトライダーはその状態でもう片方の腕でベアウルフのことを掴むと、そのままベアウルフの方へと体重をかけた。
「重いし、抜けられないだろ。重量化魔法と身体強化のコンボ技だ」
リトライダーはベアウルフを捕まえた。
「やれ! ダズ!!」
「行くっすよ!」
そして動きを止めたベアウルフに向かって、ダズが拳で殴り飛ばした。