10 双子の赤ちゃんドラゴンさんたちが起きました!(忘れてたわけじゃないよ)
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フゥとクゥから、ぐりぐりむにむに攻撃を受けていると、なにやらお腹の辺りで、もぞもぞと動く気配が…
ハッ!と下を向くと、あ~んなとんでもない状況でもしっかり寝ていたドラゴンの赤ちゃんたちが、起き出していました。
くわぁ~って、あくびしたり、目をこしこしこすったり、ん~って伸びをしたり、しっぽをふりふりしたりしてます。すると、かわいいおめ目でこちらを見て
『きゅい』
『ぴゅい』
と鳴きました。
「ふあ~あああっ」
か…可愛い~ぃ
思わずなでなで、むぎゅうって抱きしめてほっぺたスリスリ。
ドラゴンたちも、やられっぱなしはずるい!とばかりに『きゅいー』『ぴゅいー』と鳴きながらベロンと顔を舐めてきました。
「うひゃー」ぱたんっ
二匹同時のベロン攻撃に耐えきれず、ついに後ろに倒れちゃいました。
「うきゃー」
ベロンベロン攻撃がそれでも続く中、呆然とその光景を見ていた妖精ふたりが、
『わあ!サーヤ』
『こら!やりすぎだぞ!』
ようやく我に返って、サーヤを助け出してくれました。
「ふにぃー」
ようやく、ペったん座りで一息です。
サーヤから引き離されたドラゴン達は「なにするんだよぉ」って感じで、自分たちを抱えあげたクゥの顔を『きゅい』『ぴゅい』言いながらペシペシ叩いています。
『いてて!こら、叩くな!』
あっ、しっぽでも叩かれてる。
ありがとう。クゥ、がんばって!
『驚いたわねぇ』
「あい~」
くしゃくしゃになったサーヤの髪を、撫でて整えてくれているフゥが、
『ドラゴンが赤ちゃんとはいえ、こんなに初めから懐くなんて普通はないのよ』
って、ベロンベロンされたお顔を拭きながら、教えてくれました。
『よっぽどサーヤの魔力が美味しかったのかしら?』
「ふにゅ?」
んんん?今なんと?
「
なんてことでしょう!まさかの知らないうちにサーヤ、エサ認定?
大丈夫かな?知らないうちにエネルギー不足でしぼんだりとか…
これ以上ちっちゃくなったら大変なような?
でも、この可愛い子たちのためなら歩くミイラになっても…なんて考えていると
『あはは。違う違う』
と笑われちゃいました!
なんと、やはり心を…
『違うわよ~今度はところどころ声になってたわよ~』
そうでしたか…
『まあ、全部顔に出てるから、声が出てなくても想像つくけどなぁ』
「ぶー」
クゥってば失礼な!
ぷぅーと、ほっぺたを膨らますと、その顔が面白かったのかな?相変わらずクゥの顔をぺしぺししながら、ドラゴンさんたちは笑ってるみたいです。
『まあ、魔力が美味しいっていうのは、自分に合った魔力。とでも言うのかしら』
『俺たち妖精にせよ、ドラゴンみたいな聖獣とか神獣に近いものは、より清らかな美味しい魔力に敏感なんだよ』
ほうほう。美味しい魔力に敏感と…
『そもそも私たちがサーヤに気づいたのも、清らかな気配を感じたからなのよ』
『そうそう。そしたら「女神様のおばかー」って絶叫しながら落ちてくるサーヤを見つけたんだよ』
くすくす笑いながら言われちゃいました。
そうでしたか。そうするとサーヤはみなさんのごちそうなんですね。
『ん~?ちょっとちがうかな?食べるとかというより、空気中に漂うそういった魔力や、たま~にサーヤみたいな清らかな魔力を持つ者から漏れだした魔力を、ちょっと吸わせてもらってるって感じかしらね~』
ほうほう。たまに…。でも、いつの間にかサーヤの元に戻ってきたドラゴンさん達が、サーヤの指をぱくっと咥えて
「ちゅーちゅーちてるよ?」
ほら。って教えると
『え?』
『わ~!』
『『ぴゅきゅーっ』』
二人が慌ててサーヤからドラゴンさんたちを引き離しました。さすがに直接吸われるのは良くないんだって。
溢れ出てる魔力は言わば余ったものだけど、いくらなんでも直接吸われたら生きるのに必要な分まで吸われてしまう可能性があるんだって。しかも赤ちゃんとはいえドラゴン。しかも二匹。何があるか分からないと…
そんなことまだ分からない二匹はご馳走を取り上げられたからか、一生懸命イヤンイヤンと手足をパタパタしている。可愛い…
『ぴゅいーっ』バタバタっ
『こら!だめよ!』
『きゅいーっ』ぺしぺしっ
『いててっ!これは急いで何かたべさせないとなぁ』
と、フゥとクゥが困ったなって言ってます。
「どりゃごんしゃん、まりょくいがいも、たべりゅ?」
何を食べるんだろ?
『そりゃあ、ドラゴンだからな色々食べるぞ』
『もちろん妖精もね。むしろそっちがメインね。魔力はあればいただく、おやつみたいなものかしらね?』
そうか、サーヤはおやつなんだね…
ちょっと複雑な心境。と、ここで
「きゅるるるるる~」
と、どこからから音が…そういえば
「おにゃかへっちゃ」
おなかが減りました。
「きゅるる~」
『『あ・・・』』
『『ぴゅきゅ?』』
しばらく何も食べてないような気がするよ?…すみません。サーヤにも何かください。
「きゅるるるる~」