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第9話 魔王と勇者見習い(16)

 力の無い気落ちをした声色で嘆願。命乞いを始めだすのだ。

 でも、魔王さまの華奢な喉元を力強く握り──。彼女の妖艶、官能的な甲冑を身に纏う。麗しい肢体を強引に持ち上げ──。見上げている一樹の方はと言うと?


 魔王さまの喉元を力強く握り力を緩め──解放する気は無く。更に彼は『グッ、ググぐ』と、力強く握り。

「魔王! この城、この部屋に、少女がいるはずだが。何故いない?」

 と、荒々しい声色。口調で問いかけてきたのだ。

「し、知らぬ! そんな少女など、このお城。この部屋にはいない……」

 魔王さまは、勇者見習いである一樹の荒々しく強引な問いかけに対して、悲痛な表情と声色で言葉を返すのだよ。

「知らぬことはないだろう。知らぬとは……? 俺はあるひとに頼まれて。このお城にいる少女を見つけるようにと頼まれている……」

 一樹は少女のことなど知らぬと悲痛な表情で申してくる魔王さまに対して、このように説明をする、だけではなく。

「そのひとが俺に説明をしてきたときに、このお城の中……何処かに少女が必ずいると力強く告げてきた。だからいないはずはないはずはない。だから何処だ、魔王? 少女がいるのは?」と。

 一樹は更に荒々しく告げてくる。だけでは、魔王さまを済まさない。

 だって今の一樹の問いかけを聞き魔王さまは「……!」と、一種だが己の顔色を変えてしまったのだ。

 一樹が自身の喉元を力強く握り。苦しむ悲痛な表情を浮かべながらもがいている己の容姿を、恐ろしい形相で睨み、見上げながら観察をしていることを忘れ──。

「(このお城にいる少女のことを勇者に悟られたらどうなるのだろうか? もしかして? 父のように殺されてしまうのだろうか?)」と。

 ついつい思って、思案を始めるから。魔王様は、顔に出してしまう。

 そんな彼女の様子を一樹は一瞬たりとも見逃さない。

「魔王貴様―! 少女のことを知らないと俺に言っているが。本当は知っているのだなー!」と。

 一樹は魔王さまへと怒声を浴びせながら。そのまま、床へと彼女の華奢な身体ごと叩きつけるように放り投げるのだ。


「きゃぁあああ~」

 床に荒々しく叩きつけられた魔王さまは、刹那になり。絶叫をあげる。

 そう、彼女はあげるのだが。勇者見習いである一樹は、弱々しく横たわる魔王さまのことを許す気はなく。

 彼女へと威圧をかけながらじわじわと迫りくるのだ。

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