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重要な使命を与えられた

真也が意識を失ってから2週間ほどたった。彼を図工王国へスカウトした者その正体はにっくき美術人民共和国軍の二重スパイだった。真也は本当は本人の気づいていない数学の才能が潜んでいる。それは算数大陸にとって有用でIT合衆国にとって有害な資質だった。そこで美術人民共和国軍のエリートを金と女とIT合衆国の移住許可証で買収し図工王国へヘッドハントしたのだ。彼は真也が目を覚ました後真也の記憶を全て消して国元へ返すつもりであったが真也はそれを望まず。彼の記憶は保持されたまま、今は魔法による洗脳を受けていた。

しかしそんな事情を露知らない人々はその少年のことを噂していた。彼は誰々さんが誘拐しようとしたところを逃げ出したとかいう話を聞いたり。その人はどうなったんだろうと思ったりするが誰も確かめようとする者はいない。
そんなある日の事だった。一人の女性が病院を訪ねてきたのは。その女性はまるで中世の修道女のような格好をしており病室の前に立つとノックをした。その女性はドアの前で中からの返事を待つと静かにその部屋に入っていく。
彼女は真也を見つけると優しく声をかけた。
「真也君、具合はいかがですか?」

「え……だれ……? どうして……僕のこと知ってるんですか……!?」
その反応に驚いた女性だが、落ち着いて話しかける。するとベッドの上に座って怯えた表情をしている少年は落ち着いたようであった。
「そう怖がらないでください」
「ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。それでお話があるのですが」
「はい」
「私は神に仕えているものです。そして真也君にとても重要な使命を与えに来たのであります」
「しめい」
真也はこの人何を言っているんだろうと疑問を持った目をしながら復唱する。しかしその言葉は彼女にとっても予想外のようで慌てていた。しかし真也の瞳を見て決意を決めたのか真剣な眼差しになる。そして彼女は真也に向かって言った。
「実は私と一緒にある場所に来ていただきたいのです」

彼女が言うにはこうだ。あるところにとある少女がいる。彼女は自分が何のために存在しているかを知らず、世界に対して何も期待もせず、毎日を過ごしていた。

そこに現れたのが彼女の師にあたる人物で。彼もまた世界の成り立ちやなぜ自分が生まれてきたのかということについて理解していなかったのであるが。彼は自分の研究に没頭することにより日々を忘れようとしていた。しかしある時彼はあることに気付き始める。自分の弟子である彼女に自分以外の人間との触れ合いによって心が芽生え始めていることに。このままでは彼女はやがて壊れてしまう。
だからこそ自分がそばにいなくても、誰か信頼できるものと共に過ごす時間が必要なのだ。それが今だと彼の勘は告げていたのだった。
「その少女は……一体……なんなんですか……それに僕が行って……どうすれば良いんですか……?」

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