バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第8話 驚愕! 驚嘆!(3)

 だから車のキー、鍵を回してエンジンをかけて安易に……。

 そう、衰弱している彼女の身体を温めてあげようとエンジンをかけ、ヒーターのスイッチを入れても皆さんも御承知の通りでね。自動車を持ち、運転をする人達ならばわかることだとは思うのだが。

 この寒い時期、季節はエンジン自体が冷えている状態な上に、只今の景色、風景。そう辺りも日が暮れ、漆黒の闇に覆われた状態だから。更にエンジンが冷たく。

 それも? 凍るくらい冷たく、冷え込んでいる状態だと思われるから?


 夏場の冷気のエアコンならばいざ知らず。と、いうか?


 エアコンは車のエンジンをかければ直ぐに使用、利く。

 そう、車内に冷気を送り、広がる。冷たくしてくれる。

 でも? 温かいヒーター。車内を温める。温める行為をおこなうのは。先ずは車のエンジンが温まる。温まった後から温風が出る。

 だから今はヒーターのスイッチを入れても冷風しか出ない。出ないのだよ。

 と、なるから。困ったなぁ~。どうしよう? となる。僕なのだが。

 さてさてどうしようか? 思案を始めだすのと同時に、僕はあることを想い出すのだ。

 そう? 先程彼女にお茶……。緑茶を自動販売機で購入して飲ませてみたのだが。緑茶が苦い為だろうか? 口から直ぐに出す。と、いうか?


 彼女は緑茶を飲まない。受け入れないのだ。

 だから彼女の唇。只今お茶が漏れた為に濡れ輝いて見える艶やかな唇から。沢山のお茶が漏れ、こぼれ、彼女の頭の髪、顎、喉元辺りが大変に濡れている状態だと思われるのだよ。

 と、なれば? 彼女──。

 そう、頭にヘルメットを被る、ッて。彼女が頭に被っているのはヘルメットではなく。兜だった。だったよ。

 でッ、その兜の中が多分? いや、間違いなしに『ビショ、ビショ』濡れていること間違いない。と、確信できるくらいお茶の缶からお茶がこぼれたのだ。

 だから彼女をこのまま……。

 そう、濡れたままで放置をしておけば風邪をひくこと間違いないと思われるから。彼女が被る兜だけ外すことにするよ。と、僕は想いながら。異国の女性の頭──。彼女が被る兜へと、己の両手を『ソッ』と、当てるのだった。


 ◇◇◇◇◇

しおり