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第5話 真冬の怪奇?(7)

〈ガサガサ〉

〈ガシャン、ガシャン〉

〈ズルズル〉

「うぅ、ううう……」

 う~ん、どうしよう? どうしようか?

 これがね? 僕の今、只今の心境と言う奴。奴なのだ。

 だって? 女性の鎧武者と思われる。物の怪、妖怪、幽霊、お化けと思われる物が。僕のもう直ぐ後ろ──背迄迫っている。いるのだ。

 相変わらず、何かわからない金属。鋼の物を引きずりながら。ッて?

 鎧武者のお化けが持つ、鋼の物と言えば、物々しい物。刀か槍しかない。ないから。

 更に僕は畏怖。恐れ慄いている最中なのだ。

 だから僕は本当ならばこの場──。己が今の今迄片づけをしていた。こなしていた物の。

 そう僕が今日、この農協の購買部の店先。店頭と言う場所で販売をしていた商品等。この場にある僕の荷物を置き去りにしてでも逃げたい衝動に駆られているのだが。

 僕自身が恐怖。畏怖、恐れ慄いている余り。己の身体が金縛りに遭ったように硬直。自分の足が竦み動かない状態が続いているから。

 この場にある商品や荷物を置き去りにして逃げ、逃走を計ることもできないのだ。

 でも、こんな状態へと陥っている僕の気持ちや様子などお構いなしに、鎧武者、お化けの女性は、「はぁ~、はぁ~」と、息荒く。苦しそうに迫ってくるのだ。

〈ガサガサ〉

〈ガシャン、ガシャン〉

〈ズルズル〉

『うぅ、ううう~。うらめしや~。うらめしや~』とね。

 闇の地、底。冥府から聞こえてくるような低く重たい声を嘆き、呟き、漏らしてくるのだ。

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