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50章 裏世界の紹介

 アカネは裏世界を写真に収めていく。

 信頼を得ているからか、誰も反対はしなかった。第三者を味方につけるのは、いつの時代も大きな武器になりうる。

「これは何ですか?」

「学校ですね。15歳までは、義務教育を受けています」

 裏世界ではきっちりと教育をしているのか。

「我々が力を入れているのは、食事、武器開発、医療です。この三つは、国づくりにおいて欠かせません」

 歴史や科学を学ぶのではなく、生活の基盤を勉強するのか。自分の国を守ること、自国民の健康に力を入れているようだ。

「学校では食べ物について勉強します。身体に有害な食べ物、身体によくない食べ物について学んでいます」

 長生きをするための基礎を学んでいるのか。アカネも小学生の頃、勉強した記憶がある。

「人口も少ない街なので、全員に長生きしてもらう必要があります」

 総人口はかなり少なめだ。一人一人の寿命が、発展に大きくかかわってくる。

「武器開発では、武器の作り方を学んでいきます。どこかの国から侵略されたケースを想定しています」

 軍事力はいつの時代も重要な要素だ。これなくしては、国民を守ることはできない。

「人間以外も侵略してくるので、武器は多めに作っています」

 人間以外と戦うこともあるのか。裏世界の生活は楽ではなさそうだ。

「アカネさんが結界をはってくれたので、大丈夫かなとは思っています。これからは武器の教育は、減っていくかもしれません」

 武器を手に持たなくてもいいのであれば、それに越したことはない。防衛目的で作ったとしても、内輪もめの道具に使われることもある。国を守るために作ったのに、国を滅ぼす要因になりかねない。

「医学では治療に関することを学びます。一人でも多くの人を救えるような、教育をしています」

「セカンドライフの街」は病人かかったものは、潔く死ねばいいというやり方を取っていた。こ
ちらにもメリットがあるので、一長一短の関係にあるのではなかろうか。老人が無駄に長生きを
すると、国の発展の妨げになりかねない。

「学校には畑があります。ニンジン、白菜、ミカンといったものを育てています」

 授業の一環でやっているのかな。アカネは農業をしたことがないので、どのようにするのかはわからなかった。

「学校にはプールがあります。温かい時期は、水遊びをします」

 家族と水遊びをしたのを思い出すと、涙がこぼれそうになった。アカネは死んでしまったので、二度と家族と水遊びができない。

「学校の説明はこれくらいですね。次はプラチナセンターを紹介します」

 プラチナセンターとはどのような施設なのかな。アカネは未知のものに、大いに興味を持つこととなった。

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