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 第6話  【メタルハート 6話 心鋼】

 メタルハート 6


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第6話
 【メタルハート 6話 心鋼】





「じゃあ、こっちの情報も伝えるわ」



 アイサは壁越しのティンに話しかける。



「雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)。奴らは予想通りこの村にいるらしい」



 アイサはティンにそう伝える。



「何か尻尾を掴んだのか?」



「ええ、奴らの拠点もここにある。もう見つけた」



「優秀だな。あなた達は……。分かった。増援入るか?」



「必要ない。あの人数なら私たちだけで制圧できる」



 アイサは自信満々に言う。しかし、ティンは一呼吸置いて忠告した。



「雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボスは不思議な技を使うと有名だ。油断はするなよ」



「当然」



 一通り、情報交換を終えたティンは気がつけば、その場から消えていた。



 ティンがいた場所に行くと、そこには布の包みに金貨が数枚入れられていた。



 今回の仕事での経費と給料の両方を含めての金貨だろう。



 ロウはアイサに金貨を渡す。



「少しは持っておきなさいよ」



「いらん」



 頑なに金貨を受け取らないロウに、アイサはやれやれと自分の財布に金貨をしまった。



 二人は一度宿に戻り、身体を休めることにした。



 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)にはロウ達の存在はバレていない。普通の冒険者だと思われているだろう。



 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)の拠点を制圧できれば、奴らと関係のある組織も一挙に掴まれることができるかもしれない。






 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)は闇の世界の武器屋である。違法に生産された武器を裏ルートで盗賊や反政府組織に販売している。



 主に販売している武器は、魔法を付与した特別な武器。魔道具と呼ばれるものだ。



 魔道具にはいくつか種類があり、魔石を使ったものから、魔法で武器に魔力を付与したものまで様々なものが存在する。



 魔道具は使い方によっては、日用品にも武器にもなる。王国では冷気を出す装置や、髪を乾かすために暖かい風を出すもの、お湯を簡単に沸かすものまで多くのものが存在する。



 そして武器であれば、爆発物を製造したり、通常の剣の切れ味をさらに上げたりと、用途によって大きく変化する。



 そんな魔道具を武器として違法に販売するのが、雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)である。



 アイサ達が雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)の拠点があると予想しているのは、村にある酒場である。



 通常では深夜を過ぎると店じまいをするが、深夜になっても数人の客が出て来なくなる。



 おそらくそこで取引が行われている。

 

 雲鼠(グリーズ・ニュアーズ)のボスらしき人物を見たという情報もある。




 ロウ達は潜入の日程を決めた。






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