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侵入方法{済}

 ここはエルラスタの街の門から、数十メートル離れた森の中。


 あれからラザリオとルナソルは、ルドバ付近の森で色々と考えていたが、いつまでもここにいても仕方がないと思いエルラスタに向かうことにした。


 現在ラザリオとルナソルは、森の中の茂みに隠れエルラスタの街を眺めている。

「ねぇ、ラザリオ。どうやって街の中に入るつもりなの?」

「そうだなぁ。商人にでも化けることができれば、怪しまれず入れるんだが。しかし変装するにも、今は何も持っていない」

「そうねぇ。そうなると……。やっぱり城に戻って、準備を整えてからの方がいいんじゃ?」

 ルナソルは不安な表情を浮かべ、アザレアがある方角をみたあと、ラザリオの方へと視線を向けた。

「確かにそうなんだろうが。だが、どうも気になる。ガディスのことや色々なことがな」

「でもここで、ただ街を眺めていても仕方ないと思うのよね」

「そうだな。確かに、ここでこうしていても無意味だ。うむ、どこかに抜け穴でもあればいいのだが」

 そう2人が話をしていると後方から荷馬車の音がし、ラザリオは後ろを振り向いた。

 すると荷馬車がこっちに向かって来るのがみえ、ラザリオは笑みを浮かべる。

「おい、ルナソル。神は我々に味方したかもしれんな」

「ん?ラザリオ。それってどういう事、って。まさかと思うけど。あの荷馬車を、襲おうなんて思ってないわよね?」

「フッ、襲う?いや、脅して借りるつもりだ」

 ラザリオは、荷馬車がエルラスタの街に近づく前に奪う方がいいと思い急ぎ向かった。

「ちょ、ちょとラザリオ、待って……って。行っちゃったけど。こんなことして大丈夫なの?でも、まぁ仕方ないか。確かに、この方法しかないだろうしね」

 ルナソルは不安だったが、仕方ないと諦めラザリオのあとを追った。

 ラザリオは、荷馬車の側までくると仁王立ちし急停車させる。

「申し訳ないのだが。その荷馬車と荷を借りたい」

「はぁ?なんだいきなり。荷馬車を止めたと思ったら、今度は荷馬車と荷物を借りたいって。アンタ何を言ってるんだ?全く、わけが分からないんだが」

「確かにそうだな。だが、どうしてもこの荷馬車が必要なのだ。悪いが力づくでいただく!」

 ラザリオは有無を言わせず、いきなり御者の男を掴み力一杯なげとばす。

 すると荷馬車の中にいた商人らしき2人が、その光景をみて身の危険を感じ逃げようとしていた。

 ラザリオはいつもなら追わないのだが、どうしても商人の服が必要だった。

 そのためラザリオは、逃げた2人を追いかけ剣で脅し服を脱がせる。そして、御者をしていた者と一緒に縄で縛った。

 そのあとからルナソルが来て、ラザリオから商人の服を受けとる。

 ルナソルは後ろめたい気持ちになりながらも、この状況では仕方ないと諦めその服に着替えた。

「ラザリオ。本当に、これで大丈夫なのよね?」

「ああ。おそらく問題ないだろう。まぁ何かあったとしてもなんとかなる。それに、ここで考えていても日が暮れてしまうだけだ」

 そう言いラザリオは荷馬車の後部から乗り込んだ。

 そして、ルナソルは御者として荷馬車を操るとエルラスタの街へ向かった。

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 場所は移り。ここは、アザレアの街にあるスラム。そして革命軍『銀色の女神(シルバーゴッデス)』のアジトだ。

 ルシルとマリスとクロフは、その他の革命軍のメンバー数名と広間で話をしていた。

「どうする?城の内部の情報を調べるなら、今のうちだけど。それに、城内が手薄だから楽に侵入できるはずだしさ」

「ルシル。確かに、城には四天王がいねぇ。だが流石に、そう簡単に城の中に侵入させてくれるとも思えねぇ」

「そうだね。ルシル、クロフの言う通りだと私も思うけれど。何か楽に侵入するいい方法でもあるのかな?」

「勿論ある。ただ、ラザリオやルナソルが戻って来たらアウトだけどな」

 ルシルはそう言いながら、その時のことを思い出していた。

「あの2人は、異常なほどに勘が鋭い。前に変身の魔道具を使い城に潜入した時に気づかれ逃げるのに苦労したからな」

「そういえば、そんなこともあったな。だがそうなると。またお前が変身の魔道具つかって行くつもりか?」

「ん?何であんな怖いとこに、また行かなきゃいけないんだ。それに、俺が行くよりも、強いクロフの方が向いてると思うんだけどなぁ」

「ルシル!あのなぁ。すんなり、はい行きます。って、俺が言うわけないだろう」

「そっか。クロフが行ってくれないんじゃ。それじゃ、マリスに頼もうかなぁ」

「ん?私は、別に構わないけど。変身の魔道具の他にも、何かあるんでしょうね」

「ああ、勿論ある。この前、手に入れ改良した転移装置。それとクロフが派手にぶっ壊したおかげで、修理と改良することができた変形自在の魔法銃がな」

 そう言いルシルはわざとクロフにみえるように、ポケットから魔法銃をおもむろに取りだす。

「だけどクロフが行かないんじゃ、魔法銃は必要ないし。それじゃ、これどうしようかなぁ」

 ルシルは、チラッとクロフをみる。

「ルシル!そんなんで俺が釣れると思って……あーでも、そうだなぁ。マリスが心配だし、やっぱ俺が行く!まぁお前は、はじめっから俺を行かせるつもりだったんだろうしな」

「クロフ。ああ、そういう事。それに、これはクロフじゃなきゃ無理だと思うんだ」

「そうかもしれねぇ。だが、上手くやれる保証はねぇからな!」

「クロフなら大丈夫だよ。多分ね……」

 マリスは意地悪気味に言った。

「マリス、あのなぁ。はぁ、まぁいいか。それよりも、ちゃんと策は練ってあるんだろうな?」

「ああ勿論、作戦ならちゃんと練ってきた。あとはクロフ次第なんだ」

 するとクロフは、ルシルをみて溜息をつき苦笑する。

 その後ルシル達は、話し合いを終えその場で解散した。

 そして各自、作戦を決行するため準備を始めるのだった。

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