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第9話(3)迎撃戦、開戦

「11時の方向!」

「了解!」

 閃の言葉を受け、隼子は電光石火の両肩のキャノンを数発発射させる。トビウオ型ロボット四機の内、二機に命中した。

「あ、当たった!」

「飛行しながらの難しい射撃だったが、見事だ」

「編隊飛行が乱れたよ!」

 閃が言った通り、キチンと組んでいた編隊がやや崩れた。予期せぬ反撃を喰らったためか、ヴァールアの部隊にはいくらかの動揺が見られた。

「これは……畳みかけるチャンスだな!」

「その通り! ジュンジュン! 右脚部に収納されているライフルを使って!」

「ほいきた!」

 隼子はコントロールパネルを操作し、右脚部からライフルを取り出して、電光石火に構えさせた。片目をつぶりながら静かに呟く。

「空中での姿勢制御もちゃんと出来とる。地上に立っていると同じような状態……後は演習と同じや、的をよく狙って……」

 照準が合ったことを確認した隼子はライフルを発射した。

「喰らえ!」

 発射された銃弾がトビウオ型ロボットに命中した。羽のような部分を撃ち抜かれたその機体はバランスを大きく崩し、落下していった。

「……」

「隼子! まだ残っているぞ!」

「わ、分かっとる!」

 隼子は同じ要領でライフルを三発発射させた。いずれもことごとく命中し、片方の羽をもがれたような形になったトビウオ型ロボットたちは力なく落下していった。

「流石は紀きノ(の)國くに機械きかい工業こうぎょう製『アサルトマゴイチ』だ……威力は十分だね~」

 閃はライフルの挙げた戦果を見て、満足そうに頷いた。

「編隊は一組崩れた。もう一組だ、隼子」

「あ、ああ!」

 大洋の言葉を聞き、隼子はもう一組のトビウオ型ロボットの編隊に狙いを定めて、ライフルを発射させた。しかし、今度は躱されてしまう。

「くっ! 外した!」

「相手もやるな……」

「ジュンジュンの狙いがやや馬鹿正直すぎるのかもね~」

「馬鹿は余計や!」

「失礼失礼、ここは一つ提案なんだけど……」

 閃の提案に隼子たちが驚く。

「そ、それは……」

「そんなん当たるか~?」

「まあまあ、騙されたと思ってやってみようよ」

「騙されては堪らんねん!」

「来るぞ!」

 射撃を躱して体勢を整えた残りのトビウオ型ロボット編隊一組が電光石火に向かってきた。二機ずつ左右に分かれ、攻撃を仕掛けてこようとしていた。

「二手に分かれたぞ!」

「いちいち狙いを定めてられんか! しゃあないな、オーセン! 騙されてやるで!」

 隼子は電光石火の片翼を引き抜いて、ブーメランのように投げ込んだ。射撃がくると読んでいた相手は完全に虚を突かれたためか反応が遅れ、二機は直撃を喰らい、残りの二機も回避しきれず、機体に損傷を負った。戻ってきた翼を掴んで、隼子は歓喜する。

「よ、よっしゃ!」

「本当に当たるとは……適当に思い付いた策でも言ってみるもんだね~」

「思い付きをやらせんな!」

「今の攻撃で二機落ちた! だが、まだ二機残っている!」

 大洋が叫ぶ。閃に文句を言っていた隼子はすぐさま視線を前に戻す。

「く、しぶといな……ん?」

 残った二機が機体の方向を変えて、電光石火の目の前から飛び去った。

「な、なんや……?」

戸惑う隼子に閃が指示を飛ばす。

「母艦に戻る気だ! 追撃しよう!」

「え、ええんか? センター付近から離れても……」

「航空防衛軍の機体が戻ってきたのを確認したよ! ここは彼らに任せよう!」

 閃の言葉に大洋が頷く。

「そうだな、アドリブで戦線をぐちゃぐちゃにかき回す感じでよろしく! と恥ずかしい恰好のお姉さんも言っていたものな!」

「殿水さんや! そ、それにそこまでしろとは言ってなかったやろ!」

「いずれにせよ好機には違いない!」

「えーい、分かったわ!」

 隼子は電光石火を逃げた二機の追撃に向かわせる。相手は全速力で逃げていたため、電光石火が追い付いたのは約90秒後のことだった。

「追い付いたで! あ、あれは⁉」

「ヴァールア自慢の潜水型母艦だね! 周りには護衛艦が三隻!」

 そこに再び殿水から通信が入る。

「来たわね! 正直手こずっていたから助かるわ!」

「へえ……意外とやるじゃないの」

 火東が感心したような声を上げる。大洋が大声で語り掛ける。

「下半身コンビさん! 指示を下さい!」

「「下半身コンビって言うな!」」

 殿水と火東が揃って大洋を怒鳴る。隼子が慌てる。

「アホ! それはNGワードや!」

「隼子も言っていたじゃないか」

「余計なことを言うなや!」

 殿水が咳払いをして、指示を飛ばす。

「護衛艦はこっちが片付ける! 電光石火は敵母艦を!」

「了解しました!」

 大洋が勢いよく返答する。しかし、母艦や護衛艦から激しい対空射撃が飛んできた。

「く! どないする⁉」

「このまま突っ込む!」

「ええっ⁉」

「大洋に賛成! ジュンジュン! ガードを固めて、左側の護衛艦の甲板に突っ込んで!」

「! 分かった!」

 電光石火は両腕をクロスさせて射撃を防ぐと、相手護衛艦の甲板に着地した。そして、間髪入れず、母艦の方に向かって飛んだ。

「護衛艦を踏み台にした⁉」

「やるわね!」

 横目で戦況を確認していた殿水たちが驚きの声を上げた。

「よし! ここでモードチェンジ! 大洋、任せた‼」

「任された‼」

 電光石火が近接戦闘モードに変形すると同時に、名刀・光宗を大きく振り上げた。

「貰っ……何⁉」

 大洋は驚いた。電光石火の機体が大きな触手に巻き付かれていたからである。

「こ、これは⁉」

 次の瞬間、機体の自由を奪われた電光石火は海面に激しく叩き付けられた。

「ぐおっ!」

 ヴァールアの母艦よりも巨大なタコ型ロボットが海面から顔を出した。

「な、なんて大きさ!」

 殿水が驚き、火東が呟く。

「こんなもの隠していたなんて……一筋縄では行かないってことね……」

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