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持久戦{済}

 ここは、鉱山の街エルラスタ。涼香たちは、ユリナシアの屋敷にいた。

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 屋敷は白い煉瓦づくりの建物。そして、濃い青で三角錐の大小様々な形をした屋根が特徴的である。

 玄関付近の屋根の上には、キラキラしたユリナシアの小さな天使像が飾られている。

 屋敷の門の右側にハートと龍が描かれたエルラスタの旗と、稲妻が交差しその上に龍が描かれたドラゴノヴァ国の旗が左側に飾られている。

 ドラゴノヴァ国には4つの街があり、その1つがユリナシアを領主とするエルラスタだ。

 それぞれの4つの大きな街は、クローバー、スペード、ダイヤ、ハートのマークを象徴として掲げている。

 そして、ユリナシアが目指したのは愛で満ち溢れた街である。その象徴として、エルラスタの旗にはハートが描かれている。

 屋敷の広い庭には小さめの噴水がある。

 そして玄関の外の向かって右側には、きらびやかに輝く宝石が散りばめられた黄金の大きな天使の像が飾られている。

 至る所にベンチやテーブルや椅子が置いてあり、花壇の花々や木々など手入れがよく行き届いている。

 そして、辺りからは小鳥のさえずりが聞こえてくる。

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 その頃、涼香たちは2階のシルヴァが寝ている部屋で話をしていた。

 そして、涼香と要とガディスはシルヴァとゲラに挨拶をする。

 その後ガディスは、なぜかユリナシアの脇で正座をさせられていた。

(クッ……。なぜこの俺が、正座をしながら話を聞かなければならないんだ!)

 涼香と要は、シルヴァ達にここまでの経緯を説明している。

「……なるほど。先程クルテルから、ある程度のことは聞いている」

 シルヴァは、考えながら一点を見つめている。

「バルロス様は、涼香と同化してしまった。そして、ここに来る途中ブレグラン国の者たちに襲われ、そこにいるガディスが助けたというわけか」

(……まだなのか?流石に、足がシビレてきたのだが)

「そうらしいですわね。ですが、このガディスはルトルシニア国の者。そしてルトルシニアは、バルロス様と同化した涼香を自分の国に引き入れるためこの者に命じた」

 ガディスは、足がシビレてきたため、足をさすりながら身体をモゾモゾさせていた。

「はい、王は……。」

 ガディスはそう言おうとしたが、ユリナシアがそれを遮った。

「黙れ!今は、お前の発言は認めぬ‼︎ そのままお座りしていなさい!そうね、正座だけでは足りなかったかしら?」

 ユリナシアは、なぜか持っていた首輪と鎖をガディスにつけた。

「………」

 ガディスは苦痛で顔を歪めた。

(クッ、なぜ首輪?ペット扱いなのか?
 クソッ!だが、今は耐えなくては……。ブレグランとの事もある。下手にことを起こすわけにはいかない。
 ここは、ひとまず深呼吸だ。冷静になれガディス。お前はやればできる男のはずだ!)

 ガディスは、自分にそう言い聞かせ深く深呼吸したあと、平常心を取り戻していった。

(へぇ〜、面白いじゃないの。ここまでされても耐えてるなんて。
 噂では女好きと聞いていたから、もっとナヨナヨした男だと思っていました。
 ですが、もう少しだけ様子をみることにしましょう。それに見ていると面白いですしね)

(ふぅ〜。ユリナシアは、いい遊び相手をみつけたようだな。これで、やっと私は遊び相手にならずにすむ)

(……ガディス。大丈夫なのか?って、言い出したのは俺なんだけどな。でも、他に思いつかなかったしなぁ)

(ガディス。大丈夫なのかな?何か見ていて、かわいそうになってきたんだけど)

 “涼香、確かにな。だが、まだ耐えてもらう!これは、ユリナシアを納得させるためにも必要なことなのでな”

(そうなんだね。それなら仕方ないか)

(ふぅ〜。ユリナシア様の矛先がガディスに向けられ、私もようやく落ち着いて休むことができそうです。良かったぁ〜)

(さてさて、どうするのでしょうねぇ。おそらくユリナシア様のお遊びは、このままでは済まないと思いますが。
 ガディスは、それに耐えることができるのでしょうか?まあ、楽しみですがね。ククク……)

 そして涼香たちは、ガディスのその姿を見ながらまた話し出した。

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