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苦肉の策{済}

 ここは、ルドバの森の近くの草原。

 涼香(バルロス)たちは、ガディスを問い詰めていた。

「ふぅ、仕方ない、話すしかないようだな。だが、これだけは信じて欲しい。お前たちを助けたのは、あくまで俺の判断だという事を」

「ああ。そのことについては分かった。だが何故、あとをつけて来たのだ」

「それは、傷一つつけずに涼香を連れて来るようにと、ボンゼル様に命じられたからだ」

 ガディスがそう言うと要は、意味が分からず首を傾げる。

「傷をつけずにって、どういう事なんだ?」

「なるほど。そういう事ですか」

 クルテルは、ガディスが言ったことの意味が分かり頷いた。

「ガディス、なるほど。涼香をいや……この我と同化した涼香をルトルシニア国に引き入れたいというわけだな。だがどうやって、傷をつけずに連れていくつもりだった?」

「バルロス様。確かにボンゼル様に命じられ、最初は、涼香を騙し連れていこうと機会を伺っていました。ですが、考えが変わりました」

「考えが変わったとは、どういう事だ?」

「それは、ブレグラン国が龍の里を攻め落とした。そうなれば、必然的にルトルシニアに白羽の矢がたつ」

「なるほど。そうなれば、誰かの手を借りなければならないと。お前はそう判断したというわけか。それに、我が国もブレグラン国に恨みがある」

 そう言い涼香(バルロス)は、龍の里があるであろう方角へと顔を向ける。

「それに、龍の里を取り戻し里山の封印を解かねばならない。ガディス、それを踏まえてわざと本当のことを話したようだな」

「ああ。そういう事だ」

(あー少し違うが。まあ、そういう事にしておくか)

「ガディス。そういう事ならば、我だけでなく、我々の国の援助が必要なのではないのか?」

「確かに……。ということは手を貸してくれるのか?」

「必然的にそうなるだろう。だがそうなると。皆の意見も聞かねばならない。それに、お前の国の王がそのことを認めるかなのだがな」

「そのことならば大丈夫かと。現在、我が国ではブレグラン国を警戒し兵を増やし強化しています。奴らが龍の里を攻め落としたことを話せば容認するかと」

 それを聞き涼香(バルロス)は、どうするかと思考を巡らせる。

(ふむ、ガディスが言っていることを信用して良いものか?
 だが、ルトルシニアの力を借りなければ、今の我が国の者たちだけではなにもできん。さて、どうする)

(ここは、どんな手を使っても我が国に引き入れなければ……。さて、どうしたらいい?)

 クルテルは、2人が悩んでいて話が先に進みそうになかったので、ある提案をする。

「バルロス様。考えている場合ではないかと。もし悩んでるのであれば、このガディスを試してみてはいかがでしょう?」

「うむ。なるほど。だが今から試すとなると……」

「確かに、なにで試しましょうか?」

「んー、今からエルラスタにいくなら。そこで、なにをされてもガディスが耐えるっていうのはどうだろう?」

「要、それはどういう事だ⁉︎俺が……。クッ……」

「確かに、それは良い案かもしれんな。だがそれに付け加えるとすれば、敢えて期限をつけず我が判断する」

「クッ……。致し方ない。分かった」

 ガディスは、そのことに対し納得はしていなかったが、仕方なくその条件を呑むことにした。

 その後バルロスは涼香と入れ代わる。

 そして、要がガディスの縄を解いたあと、涼香たちはエルラスタへと向かった。

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