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警戒と疑問と実行と{済}

 ガディスは要に指示を出したあと、ネフロスと涼香の方に近づいていった。

 クルテルはその様子を伺っている。

(さて、どうしましょうか。魔氷剣のガディス。名前だけは聞いていましたが……。本当に信用していいのか。
 ですが、この状況下で頼れる者といえば彼しかいませんしねぇ。
 そうなると、私がやるべきことは……。そうですねぇ。あちらの方は、しばらく様子をみるとして。
 動くとすれば、状況しだいという事になりそうですね。それに、バルロス様も様子を伺っているみたいですし)

 クルテルはゴルボラを横目でみた。

(それと、この男。確か、ゴルボラと言いましたか。呆然としている今であれば、魔法で眠らせることが出来るかもしれません。
 そうなると、今の内に手を打たなければいけませんね)

 クルテルは、ゴルボラに気づかれない様に杖を向け小声で、

 《ブリス デ ソメイユ‼︎》

 と、呪文を唱える。

 するとそよ風が吹き、ゴルボラの顔の周りを上へ上へと螺旋を描きながら仄かな眠気を誘い消えていった。

 ゴルボラは気持ちよくなり眠くなり始め、そのまま地面に倒れそうになる。

 クルテルはそれをみて、周りに気づかれるとまずいと思い、すかさず杖を翳し小声で、

 《ミュート‼︎》

 と、呪文を唱える。するとゴルボラの周りの音が消えた。

 そしてゴルボラは、音を立てずに地面に倒れこみ眠ってしまった。

(ふぅ。とりあえず、これでいいでしょう……)

 クルテルはそれを確認すると、ネフロス達を警戒しながら、ゴルボラのことを側で見張ることにした。

 そして指示どおり要は、ガディスの後ろを一定の距離を保ちながら歩いている。

(とりあえず今は、コイツの指示どおりに動くしかない)

 ガディスは後ろを確認した。

(要はちゃんとついて来てるようだな)

 ラゴスはネフロスと涼香のいる方に近づいていった。

(んーなにか引っかかる。もしあの女が、異世界の者だとして。なぜあそこまで、顔をみられるのを嫌がるんだ?
 それに、ガディスの様子も変だ。ただ異世界の者を自分たちの方にと思うのであれば、あの要とかい言うヤツも同じに扱っているはず。
 だが、そうはしなかった。あの女だけを……。なんなんだ!この違和感は?)

 ネフロスはラゴスが来るのを待ちながら、ガディスと要の動きを警戒していた。

(それにしても。異世界の者が2人か……なるほど。
 ここに来て、過去にも起きたと言われている異空間の歪みがまた生じたいう事か。話でしか聞いたことは無かったが。
 そうなると、あながちあの男の言っていたことは、嘘ではなかったという事になる。
 それに龍の住む山里を封印することが出来たのも、あの男の力のおかげ。
 ただこのことを知っているのは、私と一部の者だけで。ラゴスとルナソルは聞かされていない。
 それにだ。確かあの男も黒髪に黒い瞳だったはず。んー……)

 ネフロスは、要をみたあと涼香へと視線を向ける。

 涼香(バルロス)はネフロスの動きを警戒していた。

(さて、どうする。涼香と入れ代わったはいいが。下手には動けんしな……)

 ネフロスの側に来るとガディスは、左手を帽子に添え位置を直し要に合図をおくる。

 要は合図を確認すると涼香の方に近づいていった。

 ネフロスはそれをみて剣を鞘から抜き構え要に剣先を向ける。

 ガディスはそれをみるとすかさずネフロスに剣を向けた。

 ラゴスは慌てて魔法の弓を構えるとガディスに向ける。

 クルテルはその様子を警戒しながらみていた。

 ゴルボラはクルテルに眠らされ眠っている。

 そして涼香(バルロス)は、警戒しながら出方を伺っていた。

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