バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

龍に護られし種族{済}

 クルテルは自分のことと、バルロスとの関係。そして、龍の里のことについて話しだした。

「私の名はクルテル=ラグザ。龍の里の領主シルヴァ=アルシェ様の従者としてつかえているものです」

 そう言いクルテルは一呼吸おくと、

「そして、龍の里の本当の名はドラフィルと言います。そしてドラゴノヴァ国内にある、バルロス様が支配なされている領地の一部」

 クルテルは龍の里がある方角へと視線をむける。

「私たち種族は、バルロス様やほかの龍にまもられ暮らしております」

「なるほどなぁ。そうなると、バルロスが龍の里ドラフィルの心配をする意味は分かった。だけど、クルテル達はなんで龍たちにまもられて暮らしてるんだ?」

「私たちは、はるか昔より龍と共存してきた種族。そして、龍の守護がなければ、生きていけないのですよ」

 そう言われたが要は、あまりにも普通とかけ離れすぎる話だったため頭が混乱していた。

「そうか。んー分かったような、分からないような。そういえばクルテル。種族って言ってたけど。なんの種族なんだ?」

「そうですね。んー……。一応、人間ではあるのですが」

 クルテルは考えながら話している。

「私たちは、この世に生を受けた時から龍の守護をたまわり、龍の守護のもとであれば力をつかうことができる種族なのです」

 クルテルはどう答えたらいいかと、頭の中で思考をめぐらせていた。

「そうですねぇ。あえて言うなら、ほかの種族からはドラゴナードと呼ばれています」

 そう言われたが要は、イマイチ理解できなかった。

 なので要は、これ以上きいても無理だと思いきくのをやめた。

「……そっかぁ。それで、さっき龍の里が襲われたって言ってたけど」

 要にそう言われ涼香(バルロス)は、思いだしたように話しだした。

「そういえばクルテル。シルヴァは無事なのか?」

「バルロス様。シルヴァ様は無事でございます」

「そうか。それならば良いのだが」

「ですが、軽傷を負っていて。現在、エルラスタの領主ユリナシア=オルキデ様のお屋敷に、ゲラ=ルスとともにおります」

「うむ。よりにもよって、あのユリナシアのところとはな」

「はあ。そういえば、バルロス様はユリナシア様が苦手でしたね」

「ああ。だが、状況が状況なだけに、この際やむを得ぬだろうな」

「ですが、バルロス様。シルヴァ様のところにいくにしても。あのユリナシア様が、その姿をみてなんと言われるか」

 クルテルは、ユリナシアがバルロスの姿をみてどう反応するか想像している。

「いえ。おそらく私、以上に……。ククク。あーいえ、申しわけありません。つい」

「クルテル。はぁ、確かにそうだな。ユリナシアに、おそらくは、なにか言われるであろう」

 一瞬ユリナシアの顔が脳裏をよぎったがバルロスは、慌ててかき消した。

「だが今は、そんなことを言っている場合ではない。シルヴァに会わねばならないだろうからな」

「確かに、そうでございます」

「んー、バルロスにクルテル。そうなると当然。俺と涼香もいくことになるんだよな?」

「必然的に、そうなるだろうな」

「そうか……」

「ん?なにか心配ごとでもあるのか?」

「あーいや。そういうわけじゃなくて。ただ聞いただけなんだけどな」

「それならば良いのだがな」

 バルロスがそう言うとクルテルは、辺りを見渡したあと話しはじめた。

「それでは日がおちる前に、ユリナシア様のところにいかれませんと」

 クルテルがそう言うと涼香(バルロス)はうなずいた。

 その後バルロスは涼香と入れ代わり、そして要たちはエルラスタにむかい歩きだした。

しおり