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顔合わせ

「いや~。ノックもせずに入ってきてしまってすまなかったね。うちのバカが急かしたもんで。」
僕らの向かい側に座った男のうち、眼鏡の男が筋肉男を指さしながら言う。
「誰がバカだ」
筋肉男がそうツッコむと、眼鏡の男は「はいはい」と黒い手袋をはめた手でいなした。眼鏡男は室内なのにハットをかぶっており、紫のハットの後ろには羽がついていた。ちなみに服装は純白のタキシードで、いかにも紳士といった格好だ。

「僕はフェザー、薬師さ。それでこっちのバカは……。」
眼鏡の男がそう言いかけたところで
「誰がバカだ。俺はトレック、盾師《シールダー》だ。」
筋肉男が自分で名乗る。こっちは赤い髪にヨレヨレの服とズボン、そして何より真っ黒に焼けた肌と一目でわかる異常な筋肉量が特徴だ。
「魔法使い、さっきはすまなかったな。」
トレックはゼロに頭を下げた。何だ、こいついい奴じゃん。そう思いながら

「俺は……。」
と名乗ろうとした。と、
「いいよ。さっき王様から聞いた。君は勇者のカラード、そしてその横が魔法使いのゼロ。そうだろう?」
フェザーがそう言ったので、
「ああ。」
と答えておく。

「ねえ、フェザー。一つ聞いてもいい?」
ゼロが唐突に口を開いた。
「何?」
「トレックとフェザーってどういう関係なの?」
「幼馴染みだよ。」
「へえ~、そうなんだ!いつから?」
「それはね……。」
ゼロとフェザーが二人で盛り上がり始めたので

「なあ、トレック。」
俺もトレックに話しかけてみる。
「あ?何だ?」
トレックはぶっきらぼうに答えてくれた。
「盾師《シールダー》ってそんなに筋肉いるのか?」
「あたぼうよ!なんせ敵の攻撃を一手に防ぐからな。ある程度はスキルで防げるが……、俺のステータス見てみろ。」
と言ったトレックは俺にステータス情報を共有する。
【トレック(盾師)・レベル5・HP:1560・攻撃:殴打Lv.2・防御:シールドLv.3・魔法:なし・スキル:肉壁・装備:鋼鉄の拳】

「な?そのスキルにこの体を使うんだ。ま、やられそうになれば俺の後ろに来い。守ってやる。」
トレックはそう言って豪快に笑った。
「ああ。分かった。」

とその時、ガチャリとドアが開いて
「パーティーメンバーお披露目の宴の用意ができました。そろそろご移動を……。」
王の側近が伝令に来た。
「分かりました。」
フェザーがそう言った。ゼロが立ち上がる。
「よっしゃ、いっちょかますか!」
そう叫びながらトレックも歩き出す。この三人と一緒に行くのか……。俺は何となくだが昂揚感を覚えていた。

ちなみにセバスチャンはいつの間にか気を利かせて帰っていたらしい。まあ、出発の時にもう一度来るみたいだから大丈夫だろう。

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