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聖なる逆さピラミッド。崩壊からのプロポーズ ピョンタ編

「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデートゥーユー♪・・」
「さて トモ・アグネスショコラ? トモちゃんは 一体いくつになったのかな?」

トモちゃんは 俺の手を握ると いつものように指を広げてほしいとバシバシ叩いてくる。
俺が 指を一本 また 一本と広げると二本目になったところで 嬉しそうに「これ!」といって 自分のえくぼに俺の指を押し当てて スマイルな顔をする。

「・・。・・。これ!。 2つ! 2つ!2歳!!」
「よくできました」

パチパチ

俺たちがなぜ夫婦なのか?それは女神のみぞ知ると言ったところだろうか?
でも 大人なので大人らしく振舞うところが ややこしかったりもする。
こないだは包丁で手を斬ってしまったし、女の子は一体何を考えているのか?
彼女を観察することが俺の課題だったしする。

それにしても 2年か~ 地球から転移してから一体何年経ったんだろう。
突然の転移は ホント おどろいたよ・・
・・天界にて・・
神「ピョンタよ。どうやったのじゃ?「神の積み木」の試練を解いたのはお前だけじゃ。
他の神々も驚いておったぞ。
通常ならば肉体を作り変えて転生させるのだが 神々の間でそれはもったいないと言う話になってな
お前にはそのままの体で異世界へ転移をしてもらう事に決まったぞ」

ピョンタ「どうやったって?もしかして マインドフルネスのことですか?
ゾーン状態(超集中)に入りやすくなるコツみたいなものですかね。
ああ でも 俺のステータスは凡人レベルのはずなので異世界に飛ばすなら勇者や魔王に転生させてください。
異世界で夢のような生活を送りたいです」

神「はっははは ケンソンするではない。それに勇者どもは何度も輪廻転生を繰り返すから稀にしか募集せぬのじゃ。。それに。神々の意思でお前は 転移と決まった、もはやワシが反対することも出来ぬわ」

ピョンタ「あの 神様?言っておきますが地球人ってめちゃくちゃ弱いですよ。素手でドラゴンとか倒せませんよ」

神「何?お前は何を目指しているのじゃ?平凡に暮らせばよいではないか?地球で頑張って生きた褒美みたいなものじゃよ。地球では暮らせぬが、その代わり異世界でのどかに暮らすがよい」

ピョンタ「異世界ファンタジーしたかったのですが。。どうせ地球には戻れませんし、それもいいですね。でも勇者や魔王の戦いに巻き込まれたりしませんか?」

神「確かに勇者も魔王も存在する世界じゃが 広い世界じゃ 自ら逢おうとせねば、お前が出会うことはないだろう。
それに 実のところはワシは 勇者や魔王は好かんのじゃよ。
なにせ 神々の決定のせいでワシの孫娘が花嫁になるために天空城に1,000年も眠ったままになっておる。
名前は「トモ・アグネスショコラ」
ワシの可愛い 可愛い孫じゃったのに、じぃじはさみしいのじゃ・・ゴッホん!
孫には平凡に幸せに暮らしてもらいたかったのに、勇者か魔王の助けられた方を好きになって嫁ぐことになっておる」

ピョンタ「へぇ~ 可愛い、可愛い孫ねぇ。そりゃ~いい話を。。いえいえ お気の毒に。。
でも1,000年も眠っているなら 仮に昨日や今日、居なくなったとしても誰にもわからないですよね? 
そこで ちょっと いい話があるのですが・・」
ピョンタはニマニマと 笑みを浮かべた。

神「お主・・ 悪じゃな。」

神はピョンタと握手をした。
・・・・

「ぽっくるぅぅ~」

ん?数年前の事を夢で見たのか。。 ふ~うあぁ!!!
天空城の迷路で目を覚ますと 枕元にはキノコが置かれていた。
精霊のポックルたちかぁ?
精霊たちは恥ずかしがり屋なので 姿はすでにないけど、
俺が農園を手に入れたときに交わした契約書には農園の所有権と一緒にその地に住む精霊との契約も結ばれることになっていた。
こっそり付いてきてくれたのか?
ポックルたちに感謝の念を込めてお礼を言った。
「ありがとう ポックルたち」

異世界転移してから数年かけて俺は天空城に来た!
トモ・アグネスショコラを手に入れたい。一度でいいから逢ってみたい。
1,000年眠り続けている子らしいけど 顔は超かわいい はず!いいや、絶対に可愛い!
勇者にも魔王にも渡さないぞ。
誰よりも先にトモ・アグネスショコラを救い出してみせるんだ!

やるぞ~ えいえい おー!!

天空城は 3階構造の逆さまのピラミッドになっている。だけど ここに来るのは大変で
雲の上にある城なので 普通のドラゴンでは到達できない高度らしいし、選ばれしドラゴンみたいなのじゃないと来れないところらしい
ただ 俺の場合は。。なんと言うか。。地球人だからさ、ひらめいたと言うか、死者を天に届けるために気球を使う儀式がある地方で、金の力を使って乗り込んだのさ。そして ふわぁ~っと何となく入っちゃった。
でも 俺の乗った気球も片道切符というか 天空城の門の前で 燃えてしまって帰れなくなってしまったんだけどね。

そして神殿に入る前に門番の「聖なる悪魔」と名乗るモンスターが出てきて
「ここは神に選ばれし者の婚儀の場、資格亡きものよ。死ぬがよい」と言われて襲い掛かってきたけど
殺されかけて追いつめられた先の床に割れ目があって 運よく下の階へ降りることが出来て助かったんだ。
俺の戦闘力はゼロだから 体はボロボロになったし、今もまだ 体が痛む。 
「1,000年も眠ったままなのに まだ資格が必要なのかよ。」


さて 出発する前にポックルたちにもらったキノコを使って朝ごはんの支度をしよう。 
鍋とか気球に積んでたから最低限、持っているし それでも不便なところは大抵がこの「魔石」を使うことで解決できる。
魔石はすごいよ。魔法が使えなくても ライターがなくっても魔石があれば火を起こせてしまうからね。
魔法の使い捨て電池?というか 魔法の力だね。

グツグツ。。グツグツ。。

美味しそうなキノコ汁が出来てきたぞ。
異世界に来てから何個か仕事について その中の一つにレストランのオーナーの仕事があったんだ。
そこで覚えたのがハーブ類。乾燥ハーブも持っていると魔石と同じくらい便利に使える。
さてと あとはキノコ汁にハーブのネギを入れて。。。っと
よし!できたぞ。

このキノコは神殿にしか生えないキノコのようで見たことがない。
ダシなんて要らないくらい濃厚な味のキノコ汁が作れるんだ。

いただきます!
「うわー 美味しかった。ごちそうさま!!」

異世界に来たときは魔石に感動して これさえあれば何でもできると思ったけど
旨い話には裏があると言うか、魔石は魔物を呼ぶ性質も持っているんだよね。
よほど大量に持っている場合だけど 
でも 大抵はこうやって小石一個分の魔石を持ち歩いて旅をする人が多い。


ただ 日常生活に使う分を持っているくらいなら襲われることはないけど
それでも周期的に襲われてしまう場所がある。それが街や都なんだ。
魔石とお金は同等の価値があるから デフレーションとインフレーションの影響を受けやすくて
貴族や金持ちのせいで バランスが崩れて街の魔石が多くなると、魔物の襲撃を受けるんだ。
それも周期的に起きている。
ただ 経済のシステムのせいで魔物の襲撃を受けているなんて異世界の人たちは誰も思ってないんだよね。
それを知っているのは俺だけ。つまり これが俺のスキル! 「経済学」 なーんてね。
でも 「経済学」のおかげで魔物の襲撃で不景気になった街の安いレストランを 
タダ同然の値段で買い取って成り上がり、精霊を虐げていたライバルのスパイダーって悪い魔族から 精霊の農園を買い取って地主になり小さな町のオーナーになったんだ。

もう 働かなくてもお金が入って来るぜ!!

「ぽっくるぅぅ~」

ん? あっちの通路からポックルたちの声がしたぞ。
通路を進んでい見ると・・これは コケじゃないか? 
手にとって臭いをかいでみると 海苔のような香ばしい匂いがして食べられそうだ。
こいつはいい保存食が作れそうだぞ!
そうだ!手持ちの塩と唐辛子なんて入れてスパイシーにしたら美味しそうだ。
早速調理を始めた。

「ん~ いい香りだ。」

ヒュー ヒュー

ん?
風が香りをどこかへ運んでいった。
もしかしたら 出口が近いのかもしれない。
しばらく探すと 崩れた岩の隙間に下へ降りる階段があった。
もしかして ポックルたちが知らせてくれていたのは階段だったのか?
こんなに尽くしてくれる精霊たちなら農園を買って正解だったよ。
ただ 俺のライバルのスパイダーはどうして「精霊の農園」を簡単に手放したんだろう?
当時のアイツがやっていた事業は魔物の襲撃を利用して、だいぶ傾かせてやったけど、それでも簡単に手に入りすぎた気がするな。


薄暗い階段を下りて 2階の扉を開けると黒い岩に点々とライトの様に宝石が光っている部屋に出た。
「闘技場??」
観客のいない闘技場だ。

ガラガラ ドッスン!

俺が闘技場に入ると 後ろの扉が閉まって戻れなくなってしまった。
戦闘力ゼロなんですけど 大丈夫だろうか?
闘技場の前方の扉が開いた おそらくその向こうには1階へ降りる階段があるのだろう。
あと 1階!たった1階で彼女に会えるのに!
魔王とか勇者以外は通さないつもりかよ。

しかし 扉は開いたけどモンスターは出てこなかった。
あれ? おかしいな?
これは・・ 行けるのでは??
天空城は 知っているだけでも1,000年以上たっているわけだしその間は
向こう側の檻はずっと閉まっていたわけだよね?

つまり 死んでる!!

やった!! 俺の勝ちだ!! よっしゃ! ざまーみろ!
意気揚々と闘技場の真ん中まで進むと 突然 暗い出口から何かが飛んできた。

光っている丸い球? 魔石??
ピカ ピカ ピカ  ドッカン!!

これは魔石の暴発か。手前の門から見覚えのあるモンスターが現れた。

「ここは神に選ばれし者のくる場所だ。。愚かな魔導士よ。今度は騙されぬぞ!ががあががが!!」

あれは。。神殿の入り口で門番をしていた「聖なる悪魔」じゃないか?
あのデカい口を見ているだけで初日のトラウマを呼び起こすよ。 また アイツか・・。
でも あれ? 意識が消えていく。そうか。。だっきの爆弾か・・。
・・・・
「なあ メアリー。どうしても欲しい何かがあったら。メアリーならどうする?」
メアリーはテーブルにあるカモミールティーの茶葉を選び、 こちらに穏やかな視線を向けた。
「あたしに聞くまでもないだろうさ。あたしなら盗むね!まあ 昔の私なら、の話だけどね。ふふふ。 
それにしても何がそんなに欲しいんだい?・・」
・・・・

「ぽっくるぅぅ~」
はぁ! 意識が飛んでいたのか?
どこからともなく ポックルの声が聞こえて目覚めることが出来た。
それにしても 「聖なる悪魔」は門の前から突然姿を消した俺を 魔導士と間違えているのか?
さっきも 待ち伏せたように攻撃してきたし、かなり慎重だな。
もしかして ヤツは魔法に弱いのか? きっと 弱いんだろうな・・。
でも 魔法は無理だけど、思いついちゃったしやるしかないか。 ポックル!手伝ってくれないか?

「うりゃ~!」
俺は 闘技場の外周を走った。
ひたすら走ると 「聖なる悪魔」は腰に付けている魔石を投げてくる。
ピカピカと点滅をする魔石。
そして ドッカン!と爆発して 吹き飛ばされそうになるが立ち止まるわけには行かない。
立ち止まったら 俺がドッカン!だ。
ひたすら走っていると魔石の数はどんどん減ってきて、残り数個で無くなると言ったところだろうか
ヤツは 体を曲げてしなるように構えた。

「追いつめられたのは お前の方だ!! ががあががが!!」

突然の突進!! 突進してきたかと思ったら ガシ!!と 首を掴まれ片手で持ち上げられている状態になった。
アイツも闇雲に攻撃していたわけじゃなくて誘導されていたのか?
でも ヤツは俺に直接触れたことで戸惑う表情を浮かべた

「あと3つで魔石がなくなるところだったぞ。惜しかったな。。ん?お前・・魔法が使えぬのか?
選ばれし者でもないお前が なぜここへ来た?力試しではないであろう??」

「トモ・アグネスショコラに会うのにお前らの許可がいるのかよ」
俺は 朝ごはんの時に使った魔石を「聖なる悪魔」の顔の前にかざした。


「ががあががが!!愚かなる者よ。使命は民のため、ゆくゆくはお前のために存在するのだ。
さて、さっさと、その小石(魔石)を爆発でもさせるがよい。お前は意味のないまま死ぬのだ」

だけど それはこちらの作戦だった。

ドッカン!
小さな爆発が起きて 爆風と一緒に赤い粉が舞う。
唐辛子の粉だ。

「「聖なる悪魔」ともあろうものが 涙が出てるぜ。触ってみろよ!!」
「くっ バカなことを。」

「聖なる悪魔」は 涙をぬぐった。
「ぬぐったのか?あ~ ああ やっちゃったな。素人コックと同じじゃないか!そんな手で目なんて触っちゃダメだぜ がははは」

実際の痛みのほどはわからないが 目を抑えて怒りに満ちたヤツの表情を笑ってやった。
「うっ 目が! ふざけたマネをしおって! 頭をバリバリと食ってやるわ!!」

「ぽっくるぅぅ~」

いいタイミングだ!
俺の手にはポックルが持たせてくれた魔石がある。
唐辛子でひるんだすきにポックルたちが「聖なる悪魔」からこっそり奪ってくれた魔石だ。

俺は魔石をアイツの口の中に投げ込んでやった
「デカい口だな!3個くらい食べれるだろ!!!」


「うがぁぁぁ!!ゴックン」 ドッガン!!!!!

名付けて スキル名「スパイシーコック」だ!

闘技場は 爆音の後、何事もなかったかのように静まり返った。
光った石・・高く売れないかな。。いやいや そうじゃない

さて 次はこれだな。
俺は天界でこっそり神様からもらっていた、一本のカギを取り出した。
虹色に光る奇麗なカギだ。 いつ見ても奇麗なカギだな。 
「ぽっくるぅぅ~」

ポックルたちも 一瞬だけ姿を現してまた消えてしまった。
どうやら 「そうだね」って言ってくれたんだと思う。

闘技場の階段を降りると第1層には天空城を飛ばしている動力の巨大水晶と棺が置かれていた。

このカギで開ければ 棺の中にトモ・アグネスショコラがいるのか。

俺は 想いに浸ってしまった。
異世界に来てから何年もかかってついにここへたどり着いた。
今までいろいろな出会いや 別れもあったけど、やっとこれで想いを遂げられる。
そして約束も果たされる。。。

そして・・・そして・・。
・・・
・・

ビー!ビー!ビー!
 
ハズレ!の効果音のような 警報音がなった。
さっきのが 最後の試練じゃないのかよ!

さらに 今度はなんだ? 魔力を感じるぞ。巨大水晶から俺の体の中に どんどん どんどん 魔力が流れ込んでくる。
今なら魔法も使えると思う。でも これってワナだよな?
「聖なる悪魔」が使っていた魔石爆弾なのか?
俺の体が膨大な魔力で爆弾に変わろうとしていた。

天空城「オマエに 後悔ノ トキを与える・・アガクガ、イイ」

床が持ち上がりテーブルのようになると 水晶玉が現れた。
水晶玉に手を置くと 流し込まれる魔力の流れがブロックに見えるようになった。
この水晶が満たされたら俺は爆発すると?
ん?・・このブロック 俺の意思で動かせるのか? あがけってそう言うことかよ
パズルゲームじゃないか? よし!!
でも まずは 解く前に ふぅー っと息を吐いた。

「マインドフルネス!!」

そして パズルに集中していく、、、
パズルを解き始めると 俺の心の中にいるもう一人の俺が 体が爆発したときの恐怖の映像をこれでもかってくらいに脳裏に流し込んできた。

でも 動じない。。 今必要なのは100%の俺の力だから。
純粋な 一つの俺。だから喜怒哀楽は 必要ない・・・。
パズルに ただ、ただ 心を注いだ。

天空城「ビビビビッビ・・」

「ぽっくるぅぅ~」

「ああ 大丈夫さ。 これをネジって ここをこうしたら・・ はい おしまい!」
パズルが解き終わると 警戒音が鳴り止み、雰囲気が変わって静かになった。
俺の勝ちだ! 名付けてスキル名「マインドフルネス」?
いいや パズルだったから「ソーシャルゲーム」か?
パズルだったのは運がよかった。地球人やってて良かったよ

天空城「使命・・ナゼ 邪魔ヲする?・・」

「使命?どうせ 「みんなのために」とかいって富の半分以上を独占していくどこかの星の連中と一緒だろ?
1,000年も頑張ったトモ・アグネスショコラには 俺、特製の手料理を食べてもらうんだ。俺のハンバーグはちょっと有名なんだぜ 」 

天空城「意味ガ わからナイ・・ プシュー。。。」

天空城の水晶の光が消えて薄暗くなった。
ドン!!!
棺から音がしたような気がする・・ いいや 気のせいか?

おっと 熱弁し過ぎてマインドフルネスが解けちゃったか。
感情とあの子への想いが体と心に戻ってきた。。

もう 我慢できない。 鍵を早く開けたい。 
開けるぞ!!

ガチャ ガチャ・・・

うわぁ~そこには・・・ 神秘を感じさせる女神が眠っていた。
1,000年も誰も見たことがない、女神とウェディングドレスかよ!!可愛すぎるぜ
そして この子を見ているとワクワクした気持ちになる。
助けに来てよかったと思えた。

「ぽっくるぅぅ~」
ポックルが何かを伝えようとしている。 どうしたんだ?

ガタガタ ガタガタ

???

バキバキ バキバキ!!!!

崩れるぞ! 逃げなきゃ
「トモ・アグネスショコラ 逃げるよ! わかるかい?」
「あ~ あ~ あ!うん。逃げる」

良かった まだ 意識はハッキリしていないけど言葉は通じている。
俺は彼女の手を引いて走った。 
そして気が付いた。でも逃げるってどこに?
空中にある城はバラバラに崩れだして廊下もバラバラになった。
天空に浮いているだけあって 押しつぶされることはなかったけど 俺達は 空に放り出されてしまった・・・・・

「手を繋ぐんだ!」
急いで 彼女の両手を掴んだ。

え!
トモ・アグネスショコラ「に・・じ(虹)」

「虹だって?」

あたりがオーロラのような虹の光に囲まれた。
恐らく天空城に使われているレア鉱石などの影響だろう。それにしても奇麗だ。
そして ふと思いついた。
そうだ!チャンスはいまだと思った!

今しかないぞ!どうした俺! 男だろ! 
でも 神に選ばれし者じゃない俺には神々の加護はないだろうから 彼女が突然、惚れると言うことはないだろう。
・・だけど後悔はしたくないんだ。

「俺と結婚してください。二人で精霊の農園でのどかに暮らさないか?」
「ぽっくるぅぅ~」


彼女は寝起きのような顔から 笑顔になりさらに・・

トモ・アグネスショコラ「うっ うん あなたと ケッ ケッコンするわ!」

めちゃめちゃ 満面の笑みで答えてくれた。けど この子すごいよ。即決したよ!
俺自身、どう喜んでいいのかわからなくて、心臓が血液を送る場所に困ってドキドキと胸から飛び出そうとしていた。

「よっしゃ! じゃぁ 生きて地上に戻らなくっちゃな」

天空城は役目を終えると 壊れる仕組みだったらしく俺たちは事情まで無事に降りることが出来た。
まあ 若干 ガレキに挟まれたりもしたエピソードもあったけど いい思い出ってことで。
ただ 救出された「トモ・アグネスショコラ」は のちに今日より以前の記憶をすべて失っていたことが分かった。
そして 18年後・・・・。

しおり