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第2話(4)奔放な電

「……という訳で、私も混ぜてもらうよ~」

 大洋と隼子、二人の機体のモニターに白衣姿の閃が映った。」

「その機体は何なんだ⁉」

「アンタ操縦出来たんか⁉」

 矢継ぎ早に尋ねる二人を閃は落ち着かせる。

「質問には一つずつ……まずこの機体の名前は『電(でん)』。大洋の乗っている光とは同時期に開発された姉妹のような機体だね~。実は詳細は私もまだよく分かっていないんだけどさ。操縦に関してだけど、どんな機体もマニュアルを大体見れば、人並みには動かせるよ。なんてたって天才だからね~」

「電……」

「それで人並みかい……嫌味なやっちゃな!」

「それじゃあチャチャっと片付けちゃおっか~」

 突然の砲撃を受けて体勢を崩している怪獣を大洋は跳ね除けた。そして素早く機体を起こして距離を取る。

「近づかせるとあの牙は面倒だ……」

「じゃあ近づかせなければ良いんだよ~」

 閃は再び電の右手の手首を折り曲げて、キャノン砲を構えたと同時に、二発発射する。

「⁉」

「お、おい!」

 発射した砲撃だが怪獣はすんでのところでそれらを躱した。

「あちゃあ~外しちゃったか~」

 呑気な声を上げる閃に対し、隼子が怒鳴る。

「大洋が近くにおるやろ! 当たったらどうすんねん!」

「当たらないように気を付けたよ~」

「き、気を付けたってアンタな~!」

「待て! イノシシの様子がおかしい!」

 大洋の叫び声を聞き、隼子と閃は怪獣へ視線を戻す。すると怪獣は猛然と自らの足元を堀り始めた。

「な、何や⁉」

「宝探しでも始めるのかな~?」

「んなアホな!」

「どうする気だ⁉」

 すると、怪獣は自分の堀った穴へと飛び込んだ。

「穴に入りよった!」

「まさか……!」

 大洋が足下に目をやる。怪獣が地中を猛烈な勢いで進んでいく様子が確認出来た。

「くっ!」

 大洋は慌てて光に防御の姿勢をとらせる。次の瞬間、怪獣が地中から姿を現して、光に向かって突っ込んできた。光が吹っ飛ばされる。

「ぐおっ!」

 光が急いで体勢を立て直すが、怪獣は再び地面に穴を掘り、そこに潜り込んだ。

「地中でも地上並みの速度で動けるのか!」

「大洋! 後ろや!」

「何⁉」

 怪獣が光の後方から飛び出してきた。全く予想外の方向から飛び出してきた為、光は体当たりの直撃を喰らってしまう。

「ぐおっ!」

「大洋!」

「猪突猛進かと思いきや、意外と能があるね~」

「感心しとる場合か!」

 怪獣はそこかしこに穴を掘り、地中を縦横無尽に動き回り、飛び出しては光に体当たりを繰り返す。光は防戦一方を余儀なくされる。

「くっ……どこから飛び出してくるか分からん……」

「おい、オーセン! 何とか援護せな!」

「う~ん、そうだね~」

「そうだね~やなくて!」

「……ジュンジュン、肩借りるよ~」

「はっ⁉ 肩⁉」

 閃は電の機体を隼子のFS改に向かって走り出させる。

「な、なんや⁉」

「大洋! そこからちょっと離れといて~」

「な、何⁉」

 電は飛び上がり、FS改の肩を踏み台にして、空高く舞い上がった。電は左手の手首を折り曲げる。そこからガトリングガンが出てきた。

「モグラ叩きならぬ、イノシシ炙りってやつかな~」

 電はガトリングガンを連続で発射する。激しい銃撃が地上に降り注ぐ。

「どわっ⁉」

 大洋は何とかその銃弾のシャワーを躱した。

「む、無茶苦茶しよる……」

 隼子が呆れ声を上げる。

「! あれは!」

 銃撃によって、地中に潜っていた怪獣の姿が露になった。

「今がチャンスだよ~大洋~」

 怪獣は戸惑いながら、近くに立つ光に飛び掛かろうとする。しかし、ガトリングガンによって脚を撃ち抜かれた為か、動きが随分と鈍くなっていた。大洋はその隙を見逃さなかった。

「もらった!」

 光が脚部から名刀・光宗を引き抜く。怪獣が口を開きながらジャンプして、牙で噛み付こうとする。

「喰らえ! 牙折り!」

 光が刀を横に勢いよく薙ぎ払う。怪獣の体が上下に別れた。

「やった!」

「お見事~」

 隼子と閃がそれぞれ喜びの声を上げる。



 戦いが終わり、防衛軍が駆けつけ、怪獣の死骸を回収している。大洋たちはまたも機体を格納庫に隠して、その作業を見守っていた。

「やっぱりこの機体も秘密なんやな……」

 隼子の呟きに閃が答える。

「そうだね~後もうちょっとは秘密にしておきたい所だね~」

「諸々条件が整えばと言ったな、その条件とは?」

 大洋が閃に尋ねる。

「まあ、それももうちょっと秘密にしておこうか」

「秘密だらけやな……」

「さっきも言ったけど、私もまだよくこの機体たちについては詳しく分かってないんだよね~」

「そうなのか……」

「まあ、それはそれとしてやな……」

「ん?」

 隼子が居住まいを正す。

「オーセン、さっきは悪かったな、何か意地の悪いことばかり言うてしもて……」

「あ~やけに突っかかってきた奴~?」

「そ、そうや、スマン!」

「別に気にしてないよ~」

「き、気にしてないって……?」

「客観的に見てみれば、落ちぶれている様に見えるのは事実だしね~。まあ、ジュンジュンはそんな私を自分と重ね合わせちゃったって感じでしょ? でも別段焦りもしてない私に対してイラついたって所かな~?」

「そ、それは……」

 隼子は何か言い返そうとしたが、黙り込んでしまった。

「話が今一つ見えないが……」

「大洋は自分の記憶を取り戻すことを優先した方が良いよ~」

「そうか、まあいい……それより閃」

「何?」

「お前の戦い方だが……自由奔放過ぎる、もう少し連携意識というものを持った方が良い」

 フンドシ姿で腕を組みながら大洋は閃に戦い方を説いた。隼子が思わず突っ込む。

「アンタはもう少し恥じらいというものを持てや!」

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