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第5話 食料

 今から始まる旅の不安が心を覆ったが無視して彼女と一緒に出発した。
「とりあえず、この道をまっすぐいてください」
案内してくれてありがたいな。
何かお礼を……。
そういえば、俺は金さえ持ってないな。
なにをおかえしにすればいいのだろう。
「お~い」
そんな声が上から聞こえてきた気がした。
たぶん空耳だろう。
「おい! 何で無視するんだよ!」
この声は…もしかして神様なのだろうか。
上を向いてみるとなんと神様が浮かんでいた。

 「お前に渡すものがあったのを忘れておった。それじゃあこれで失礼するぞ」
神様は俺にカバンを投げつけてすぐに消えてしまった。
もう少し優しく渡せないのだろうか。
「さっきの人は誰なのですか?」
ホトワが神様を見てしまったようだ。
本当のことを言っても信じて萌えないだろうから友人ということにでもしておくか。
「俺の幼馴染なんだ。なんか荷物を渡されたんだけど……」
そういいながらカバンの中身を見せると彼女は目を大きく開いていた。
「これが何かわかるのか?」
俺には少し小さく切ったコピー用紙のようにしか見えなかった。
「それこの国のお金なんです」
と彼女は驚いていた。

 「このコピー用紙が?」
「コピー用紙? これは日本円っていうやつなんです」
これが日本円なのか!?
「全部でどれくらいの金額になりそうなんだ?」
「そうですね、そのカバンに詰め込まれていると考えると家三軒くらい買ってもおつりがくると思います」
「家三軒分はオーバーすぎるだろ」
「この国では白い紙はとっても貴重なんです」
確かに黒い紙だったら書きづらいからな。
なんとなく納得した。
そういえば、新聞が黒っぽい紙だった気がしたけどあれもわざとだったんだな。

 「おいしいお米はいらんかね~」
彼女と話していたので気づかなかったが少しお腹がすいてきたな。
この金でどれくらい買えるのだろう。
「おじさん、この金でどれくらい買えますか?」
とりあえずカバンの中から一枚取り出してみた。
「こ、この屋台ごと買えます」
といわれてしまった。
現実の価値で考えると、米全部が100万円と屋台300万円ほどだろうか。
ということは、この紙一枚で400万円くらいのようだ。

 「でも精米しないと食べられないですね……」
これから旅をしていくのだから、いちいち買うのもちょっとめんどくさいな。
そうだ、このおじさんにお願いしてみるか。
「白紙2枚あげるので、この屋台と米を精米できる機械をいただけないでしょうか?」
おじさんは驚いて声が出ないようだった。
「やっぱり無理ですよね、失礼いたしました」
俺があきらめて言うと
「家からとってきますので少々お待ちください」
といって屋台を置いて走ってどこかへいってしまった。
もしかして売ってくれるのだろうか。

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