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第2話 少女との出会い

 「なんで俺を選んだんですか? ほかにもたくさん暇そうにしている人がいると思うのですが……」
神様は少し表情を曇らせたが
「お前が面白そうだからだ」
といって消えてしまった。
そんな理由だったのか。
『お前が選ばれしものだから』みたいな展開をちょっぴり期待してたんだけどな。

 さてと、とりあえず……
俺は自分の体の色を見てみた。
当り前だが、白黒だった。
でもはっきりとした白黒ではなく昔の写真みたいな感じの色だった。
俺の色がカラーだったらよかったのに。

  自分の色の確認が終わったので、周りを見渡してみたのだが、人はいなかった。
それにしてもここはどこなのだろうか。
鳩時計や机などの家具があるが、どこだかわからない。
俺の部屋はもっと汚かったはずだしな。
この部屋にはドアもなかった。
俺はいったいどこから入ってきたのだろうか。

 探し回って疲れたので椅子に座ったのだが、机に文字が書いてあるのを見つけた。
『困ったときはここに電話してくれ』
誰かが落書きのように書いた文字だった。
ここに電話すれば何かわかるかもしれない。
そう思ってスマホを取り出そうとしたのだが、いつも入れていたはずのポケットに入っていない。
もしかして神様に没収されてしまったのだろうか。

 電話はあきらめて外に出る道を探そうとしたのだが、隠し扉のようなものもなかった。
外に出ることをあきらめて壁によりかかると、壁がいきなり動いた。
地震かと思って思わず奇声を上げてしまった。
壁から離れてみるとそこは隠し扉みたいになっていたようだ。
もしかして、ここはさっきの神様が作ったんじゃないのだろうか。

 まったく。あの神様もこんな仕掛けを作る時間があるなら、自分で色を探しに行く時間くらい作れると思うのだが…。
もしかして自分で探しに行けない理由でもあるのかな。

 神様への愚痴を言いながら、外を見てみた。
田舎のような風景で、一面田んぼが広がっていた。
一歩踏み出してみると
「うわーー!」
いきなり大声をあげられてしまったせいで、びっくりして転んでしまった。
「いてて……」
「あっ、ごめんなさい! 怪我はありませんか?」
「全然大丈夫ですよ、この通り元気で」
元気なのを伝えようと思ってジャンプしたのだが、足を捻挫してしまったみたいで、足に激痛が走った。

 「すみません、ちょっと捻挫してしまったみたいです」
相当痛かったのだが、声を絞り出した。
捻挫したところを触ってみると黒くなっていた。
どうやらこの世界には赤色が存在しないから、真っ黒になっているようだ。
昔の写真の中の世界みたいなところに来てしまったな。
早くいろを見つけ出して帰りたい……。
そう思ったが、痛くて自分だけだと動けなさそうだったので助けを求めた。
「すみません、ちょっと手を貸していただけませんか?」

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