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vsロドミナ

 ここにはノーコンが居ないので、ナビが実況しまーす! 何時もと違ってぇ、<>が無いけどよろしくねっ! 誓ってオネエ化したノーコンじゃ無いからねぇ!

(『ナビ? もう良いかしら?』)

 はいほーい♪

「ちっ、どいつもこいつも……」

「で、ロドミナさんでしたっけ?」

「ああ!? 気安く話しかけんじゃねえよ」

「ええ、私も貴女に話があるわけじゃないから」

 ええっ!? 無いのぉ?

「ああ!?」

「ルミナさん、居るんでしょ?」

「(ピクッ)……何言ってやがんだお前?」

 ルミナって誰だっけ?

「聖女様って言った方が良いのかしら? それとも昔の男を未練がましく追いか続けるみっともない女、かしら……?」

 うわぁ、乙女ちゃん、言うねぇー! って聖女様ってそんななん?

「ちょ、おまっ……(ビクビクッ、カクンッ)……あらあら。随分な言われようだわねぇ? ヒューエルの娘風情が生意気だこと。いえ? 中身は違うのだったかしら?」

「があうっっ!」

「ガイア? ちょっと待っててもらえる?」

「な゛ぁぁう……」

 お留守番ー。

「御免なさいね。……初めまして、ですわよね? 聖女の亡霊さん」

「ええそうなるわね。……貴女の御用を伺う前に聞いても良いかしら?」

「どうぞ」

「何故分かったの?」

「その娘が帝国に侵入してきた経路が、最初は全く解らなくてね。古い文献まで遡って調べあげたわ。そしたら何故かしら? 途中から伝わらなくなっていた抜け道が幾つも出てきたのよ」

「………………」

「その抜け道に関する文献が残っていたのは、全て4大家。……4大家と言えば、もともと聖女の生家であった貴族の姉妹達が成した家柄。この時点では半信半疑ではあったのだけど、貴女達が侵攻してきた時には確信に変わりつつあったわ。だって貴女達だけじゃなく後詰の大量の兵達までが、忘れられたはずの抜け道を通ってきてるのですもの。抜け道の一つ一つはそう大きくないけど数がある。その殆どを利用して侵攻してくるなんて合致しすぎていたのよね」

「なるほど」

「これは想像だけど、まだ貴女の言う事を聞く姉妹達が存命中から既にこの帝国崩しは計画されてたのではなくて? ……それとロドミナさんでしたっけ? 器の方」

「この器の娘の名前ならそうね」

「その方、ナビやノーコンちゃんの声が聞こえてる節があったのよ。普通の転生者は聞いたりできないから、特別な転生者なんだろうってね」

「………………」

「後はアレね。ガイアを見た時の反応もね」

「う゛な゛あぁ……」

 ガイアちゃん嫌がってるー。

「ガイア、嫌がらないで? それが決め手になったんだもの。器の娘、おもわず『たま』って名前でガイアを呼ぼうとしたのよね。貴女でしょ? この子にセンスの無い名前つけたの」

「………………はぁ。とても小さい時に見つけた子だったから『たま』で良いと思ったし、大きくなっても私にとって『たま』は『たま』だったからね。で? たまは何でそっち側に居るの? こちら側に来ないの?」

「ぐるっ! がああぁうっ!」

 嫌だってー。自分の知ってるのと違うってー。

「あらそう」

「まぁ、ガイアと引き会わせてみて、ガイアが聖女本人だと判断したのが決めてなのだけどね」

「……でしょうね。でもその前段階に関してはこちらの落ち度かしら? いえ、早かれ遅かれ誰かが気付くとは思ってたし、別に隠す気もなかったしどちらでも良いわね。……それで? 話って?」

「貴女、自分の国を滅ぼす気? この国にしたってどうでも良さそうだし……」

 崩壊寸前ー。

「帝国の事? 私の国じゃないわ? 裏切り者達の国よ」

「裏切り者達? ……勇者様絡みかしら?」

「……それを知ってどうするつもり? というか、今までの口ぶりからして知ってるのでしょう?」

 ぎゃあっ!? なんか怖いー!? 主に顔!

「私としてはフローラ達にちょっかい出して欲しくないのよね。だから協力できる事があれば協力して……」

(<おい! ふざけてんじゃねえぞ! 奴等に協力すんならあたしの身体返しやがれ!>)

 わお!? ロドミナって娘も介入してきたぁ!?

「流石特別製って所なのかしら?」

「黙ってなさいなお馬鹿さん。にしても、はぁ……代用品ってそういう所が嫌ぁねぇ?」

「………………」

「何故貴女達は自分の世界でもないここで、自分の常識が通用すると思うのかしら。ほんと、貴女達絡みで面倒な事ばかり起きてるわぁ」

「交渉は決裂かしら?」

 かしらー?

「最初からそんな余地は無いのよ。もう既に運命は坂を転がり始めてるの。もう誰にも流れを止められないわ」

(<よしよし、その通りだよな!>)

「仕方無いわね。じゃあ貴女を倒して、無理矢理にでも止めるとするわ」

「できるのかしらね? 私は『勇者』を支えた『聖女』様よ?」

「あら? あっさり捨てられて乗り換えられた、の間違いじゃない?」

「……何処まで知ってるのかしら? いえ、良いわ。聞かない。どうせ殺すんだもの」

 元聖女様? えーっとルミナはそう言うと、手を上げて大量の魔法を発動した。……って聖女様だけに、アレは光魔法なの?

「違うわ、ナビ。ルミナは精神生命体になるために、光魔法を全て捨てたのよ。4大家の基礎となった他の姉妹達に押しつけるように、ね」

「本当……よく知ってるわあ。ますます死んでもらわなきゃね?」

 ルミナは光魔法じゃない、えーっとなんだろ? 球状の何かを大量に空中に作っていく! あっ! 球が弾けた! ……中から骨の鳥が出てきた!? ぎゃー! 可愛くないいー!

「貴女に付いてるのって、本当にうるさい娘ねぇ……」

「概ね同意するけど、慣れれば可愛いものよ?」

 うへへ〜、可愛いってぇ!

「ああ、貴女達と会話すると色々苛々させられるわね。とっとと死んで頂戴。羽ばたけ、『飽くなき啄み』」

 大量の骨鳥さんが旋回始めた!? って、飽くなき啄みってどういう意味ー?

「多分だけど、骨でできた鳥だから、幾ら肉を啄んで食べようと満腹にならないってことじゃないかしら?」

 なるほどー。

「余裕を見せてるけど貴女、浄化魔法に特化してるのでしょう? 見た目はこんなだけど、浄化できる類の魔法ではないわよ? 打つ手はあるの? たまでも使うの?」

「ぐるぅ、がううっ!」

 たまって呼ぶなってさー。

「打つ手はあるに決まってるでしょう? 貴女の相手を私1人で受け持つと言ったのは、伊達や見栄では無いのよ?」

 エリやミエではないのよー。

「ナビ? 流石にそれは意味が違いすぎるわよ。なんか最近どんどん頭悪いキャラを演じるようになってない?」

 えへへー?

「………………行け」

 ぎゃー! 大挙して飛んできたー!?

「では行きましょうか」

 乙女ちゃんはそう言うと、髪をグルっとひとまとめにして手早く結い上げると、奥襟を掴んで引き千切る勢いでドレスを脱いだ! いやんっ、えっちっ!

「いかがわしい言い方しないで?」

「……それは」

「懐かしいかしら? 聖女の戦闘服よ」

 かつての聖女は勇者の隣で、癒やす・浄化する・満たす・戦うと、八面六臂の活躍をしてみせたー! らしいですー。特に戦闘面ではむしろ勇者より活躍したー? 何と言うか、服の模様は僧兵っていうか、モンクっていうか……んで持って見た目は武闘家?

「猿真似ってわけ? 見た目だけ真似ても……」

「ふっ」

 ドパパパパパパパパンッ!

「………………」

 うおー! すげー! 目にも止まらぬ拳撃の連打で、襲い来る骨を一瞬で粉々にしたー! かっくいー!

「ふむ。こんなものかしら? 次はこれ……ふぅっ!」

 シュパパパパパパパパンッ!

 うおー! なんだそれー! え? 動かずにどうやって遠距離攻撃? もしかして見えない速度でみょーんって伸びてるー?

「私はフローラじゃないから分からないわよ? もしかしなくても、何かのキャラクターでしょう?」

 うえっへっへー、ばれてーら。

「『飛拳』とでも名づけておこうかしら?」

「………………『解けろ』」

 ルミナがそう言うと、骨鳥さん達はさらさらと砂の様に崩れていった。……ダシとか取れたりするのかな?

「無理でしょう? というか、貴女食べれないわよね? 食べれたとして食べたいの?」

 ……ぱーす!

「ちょっと考えたわね……」

「はぁ……代用品風情がやってくれる。もう……本当に面倒臭いわ。だから……」

 ルミナが消えたっ!?

「この手で直接殺してあげる」

 乙女ちゃんの真後ろに出てきたっ!?

 ガシィッッ!

「 !? 」

「いらっしゃい、元聖女様。力比べがしたかったの? 良いわ、相手になってあげる」

「お前っ……!」

「ああ、そうそう。その顔よ。ようやく本気の顔が見れたわ。相手を格下と思い込んで舐めきっていた、詰まんないお馬鹿さんの顔がようやく消えたわね。あのまま不意打ちみたいに倒してたら、悔やんでも悔やみきれないわね? も・と・聖女様?」

「後悔するぞ。本気の私はこの国で最強の人間なのだから……」

「あら? まだ舐めてるの? そんなに言うならとっとと組み伏せてご覧なさいな?」

「………………っ!?」

(<おいババァ! 何サボってやがる! こんなヒョロい干物女なんざとっとと縊り殺しちまえよ!>)

「どう、なって、るの?」

「ああ、身体を動かすって楽しいわぁ。あら? まだやってたのねルミナさん。そろそろ待ち飽きたからこちらから仕掛けても良い?」

「(ゾワッ)くっ……!」

 ルミナンはがっぷりだった手を無理矢理に振り解くと、とーんとーんと大きく後ろに飛び退った。どしたんだろね?

「大方、嫌な未来が浮かんだんでしょうね」

 てか、乙女ちゃんつえー!

「ふふ、ありがと」

「………………ああ、正直舐めていたわ。まさかメアラやオランジェクラスの身体能力があるなんて思いも寄らなかった。察するに、有り余る魔力量をその肉体と相性の良い光魔法として使わず、身体強化などの別なものへと供給してるのね?」

「まぁそれだけじゃないけど、一応正解って言っておくわね」

「……はぁ、やだやだ。本気出さないと駄目ってどういうことかしら? 本当、お前達代用品って……ムカツクわぁ……」

 ルミナン、げきおことつにゅうー!

「……実況するなら、もう少し締めましょうよ?」

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