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7 爆縮レンズ

 首相が言う。
「爆縮レンズの設計図は入手可能か?最新の設計だ!」
「米国に問い合わせます」
 首相補佐官は、そんなことができるはずがないと思っている。

「国防総省にあるのはわかっている。
 東海村の原子力研究所は、プルトニウムの生成が可能だ。
 各企業も、巡航機能を搭載したロケットを量産できる」
 首相はつぶやくように言った。

 首相は思った。
『かつて政府は、
 核兵器を持たず、作らず、持ち込まさずの非核三原則を遵守するとともに、沖縄返還時に適切なる手段をもって、核が沖縄に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである、
 とした。このことで、時の首相はノーベル平和賞を授与されている。
 後日、来日していた米国東アジア・太平洋担当国務次官補は、
 核兵器の持込みに関する密約は事実存在し「非核三原則」は有名無実である旨を言明した。
 時の首相は、ノーベル財団をコケにしたのだから、あきれる・・・。

 我が国は法律上軍隊を持たないことになっている。
 しかし我が国には高度な技術力を有する企業が多数存在する。
 原子力技術とロケット技術とIT技術、これらを合体させれば、高性能の核兵器を作れる・・・』

 首相は考えを述べた。
「新しいロケットに巡航機能を持たせ、プルトニウムの詰まった爆縮レンズを搭載する。
 地球上のどの都市にも飛行できるように、巡航機能をプログラムする」

 閣僚の一人が言う。
「どうせなら、某国の都市から発射されたようにプログラムするのはいかかでしょうか?
 多数のロケットが某国の都市まで低空水平飛行し、都市に達したら、そこから発射したように垂直上昇し、ターゲットへ飛行するのです」

「いい考えだ。これは、あくまで考えに過ぎない。
 我が国の国是は非核三原則だ。閣僚の皆は、かつての米国東アジア・太平洋担当国務次官補のような、安易な発言はせぬようにしろ・・・」

 首相は閣僚たちをにらみつけ、誰も議事を記録していないのを確かめた。
      
(了)

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