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四 あなたを選んだ理由

「ショウゴ、死なないで!死んだらダメよ!」
「ああ、クラリス・・・、ボクはまだ死なないよ・・・」
 ショウゴはベッドでクラリスに手を握られている。
 クラリスの手は若々しくて美しい。
ショウゴの手は血管が浮き、シミがあり、シワだらけだ。

「死なないって約束したでしょう!ずっといっしょだと約束したでしょう。
 もっとと生きて!お願い!」
「クラリスとたくさん生きた。これからもいっしょだ・・・」

「ダメ!死んだらダメよ!こうなるのがわかってて、どうして私を選んだの?」
「クラリスは初めて会ったときのままだ。いつまでも若くて綺麗だ・・・。
 クラリス、愛してる・・・」
「私も愛してる・・・。私を残して死なないで・・・」
「ああ、クラリスを独りにはしない・・・」

 ヒューマンのショウゴは、有機体型ヒューマノイドのクラリスにみとられて亡くなった。
 ショウゴの遺言どおり、彼の精神と意識のバックアップは、有機体型ヒューマノイドのクラリスに転送された。

 クラリスは自分自身の中にいるショウゴと一つになり、それまでの「あたし」ではなく、新しい個性の「私」を形成した。

『ショウゴが私を選んだんじゃない。「あたし」がショウゴを選んだのよ。
 この「私」の精神と意識を得るために・・・。
 ショウゴ、ありがとう。感謝してるわ・・・・』

 有機体型ヒューマノイドはロボットではない。
 バイオロイドと呼ばれる新しい生命体だ・・・。

(了)

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