<第34話> 日本のモノを複製! そして、
ジオフロントの完成まで丸5日。
そんなこんなで、その完成まで、特にやることがなくなってしまった。
目の前の半透明の地図画面の時計を見ると、【07:27】となっていた。
自分で直接作業等を行っているわけではないが、
異世界召喚された直後から、かなりハイペースでアレコレと作業を行っていると自負している。
異世界に来た2日目から、ダンジョンを作り変えるなんて、なかなかできることじゃないでしょ?
つまり、何が言いたいかと言うと、昼夜逆転気味なこともあり、ちょっと疲れた。
ということで、ここでちょっと仮眠タイムとシャレ込もうと思う。
日本から持ち込んだ荷物の中に、レジャーシートやら、マットやら、着る寝袋やらがあったはずだ。
それらを駆使して快適なお昼寝(今は朝だから朝寝?)を満喫したい。
”朝寝”、これは正に、リアル”小原庄助さん”である。
(まあ、朝酒、朝湯はしないけどね。)
それじゃぁ早速とばかりに準備を始めようとするも、日本から持ち込んだ荷物がないことに気がついた。
当たり前である。タマ(ダンジョンコア)に全て吸収してもらったのだから。
(そういえば、日本から持ち込んだモノは全てタマに吸収して貰ったんだっけ。)
(ということは、タマに頼んで作成してもらわないとダメなんだ!)
グルーミングを終え、満足げに香箱スタイルをキメながらフワフワと目の前を浮遊しているタマに話しかける。
「タマ~、またお願いしたいことがあるんだけど、いい?」
『タマの出番かニャン?』
「うん、さっき日本から持ち込んだ荷物を全部吸収してもらったじゃない?」
『ダンジョンコアに取り込んだニャン。』
「そうそう、それ。それでね、取り込んだヤツを全種類作ってもらいたいんだけど、お願いできる?」
『取り込んだヤツ全種類ニャン?』
「とりあえず、さっき作ってもらったヤツはもういいから、それ以外の全てをお願い。」
さっき先行して作成して貰った、ペットボトルのお茶やらチョコバーやらガムやら以外のモノを
とりあえず全種類、3つずつ作ってもらうことにする。
その上で、ダンジョンポイント的に端数(ダンジョンポイント1に満たない)が出るようだったら、
食べ物を中心に数を増やす方向で調整して貰おう。
(ダンジョンポイントって、結局どれくらいの価値があるのか、今一つ分からないんだよね。)
ダンジョンポイントの正確な価値が分からない以上、
作成者であるタマ(ダンジョンコア)に作成するモノの数を調整してもらうしかないのだ。
そんな感じで、日本から持ち込んだモノの作成条件等をタマに説明し、早速作成開始だ。
「それじゃ、タマ、日本から持ち込んだモノ、作成お願いします!」
『分かったニャン。』
するとタマの周辺に、一瞬にして大量の日本のモノが出現した。
(あれ? ダンジョン関係の作業の時は、ジャンプしたり、クレクレポーズしたり、なにかしらのアクションがあったのに……。)
何の前触れもなく一瞬で作成が終わってしまい、タマの可愛らしいアクションを期待していた身としては、
ちょっと物足りない気分になってしまった。
なにはともあれ、日本から持ち込んだモノは、その数を数倍に増やして、目の前を埋め尽くしていた。
「作成ありがとう、一瞬でこんなにたくさん作れて、タマは凄いねぇ~。」
『そうニャン。タマは凄いニャン。もっと褒めていいニャン。』
空中でお座りスタイルになったタマが、ムフンと胸を反らせてドヤ顔を始めた。
全体的にちょっとつり上がり、微笑みかけているように見える、タマのマズル周辺。
いつも以上に、更にプックリ膨らんだ髭袋が、可愛らしくその存在を主張していた。
(猫のドヤ顔って、こちらに笑いかけているみたいで、何だか見ているだけで嬉しくなるね!)
堪らず両手でタマを抱きかかえ、頬ずりをしてしまうのであった。